OAFFクロージング(左から高橋伴明監督、高橋惠子氏、梶原阿貴氏)
提供:大阪アジアン映画祭事務局
OAFFクロージング(左から高橋伴明監督、高橋惠子氏、梶原阿貴氏)
提供:大阪アジアン映画祭事務局

2025年3月の「第20回大阪アジアン映画祭」のクロージング作品は、高橋伴明監督、毎熊克哉主演の『「桐島です」』だった。上映後には高橋監督らが舞台挨拶に立った。7月4日の劇場公開を前に、舞台挨拶の様子を振り返る。

2024年1月、世間を騒然とさせるニュースが伝えられた。神奈川県内の病院に入院していた男性が「私は桐島聡です」と語ったことが明らかになったのだ。桐島容疑者は1970年代の連続企業爆破事件に関与したとして指名手配されていた人物。末期がんを患っていた男性はこのニュースが報じられた3日語に亡くなった。

本作は、謎の多い桐島の人生を映画化したものだ。桐島の友人で現在も反権力闘争を続ける宇賀神寿一氏らに取材。史実や報道をもとにフィクションを織り込み、約50年間にわたる逃亡生活で桐島が何を考え、どう生きていたのかを描く。

「桐島です」OAFF
OAFFクロージング
提供:大阪アジアン映画祭事務局

大阪アジアン映画祭のワールドプレミア上映では、高橋監督、脚本の梶原阿貴氏、監督のパートナーで映画にプロデューサー・出演者として参加している高橋惠子らが登壇。髙橋監督と梶原氏は『夜明けまでバス停で』(22年)に続いてタッグを組んだ。劇中「謎の女」として登場する高橋惠子は、監督にタイトルを聞いた段階で「どんな役でもいいから出させてほしい」と言ったという。また、監督が梶原氏に5日で脚本を仕上げるよう依頼したことも明かし、会場を驚かせた。

『「桐島です」』場面写真©北の丸プロダクション
©北の丸プロダクション

桐島聡役は映画・ドラマで活躍中の毎熊克哉が務めた。本作では20代から70代までを演じている。工務店での真面目な仕事ぶり、ライブハウスで出会った歌手とのささやかな恋、社会の不条理にひとり怒りをぶつける姿などさまざまなエピソードを丁寧に積み重ね、「内田洋」という別人として生きる男の心情をありありと表現している。特に、いまわの際に病院のベッドで本名を口にするシーンは胸を打つ。

©北の丸プロダクション

高橋惠子、甲本雅裕、白川和子らが顔をそろえるほか、奥野瑛太や北香那ら若手俳優の熱演も見どころだ。

『「桐島です」』公開情報

出演:毎熊克哉、奥野瑛太、北香那、高橋惠子

監督:高橋伴明

製作総指揮:長尾和宏

企画:小宮亜里

プロデューサー:高橋惠子、高橋伴明

脚本:梶原阿貴、高橋伴明

音楽:内田勘太郎

制作協力:ブロウアップ 

配給:渋谷プロダクション
製作:北の丸プロダクション

2025年│日本│カラー│アメリカンビスタ│5.1ch│日本語│105min

2025年7月4日より新宿武蔵野館他にて全国順次上映

『「桐島です」』ポスタービジュアル ©北の丸プロダクション
©北の丸プロダクション

(リポート:芳賀恵)