韓国・全州国際映画祭リポート②チャン・ゴンジェ監督、新作『紙杻(チチュク)の夜』で参加


韓国・全州市で開かれた「第27回全州国際映画祭2026」では韓国のインディペンデント映画界をリードする監督たちの作品も多く上映された。
『ひと夏のファンタジア』(2015年)、『ケナは韓国が嫌いで』(2024年)のチャン・ゴンジェ監督は、新作『紙杻(チチュク)の夜』(原題)のワールドプレミア上映のため全州を訪れた。
■現実とフィクションの交錯

『紙杻の夜』が描くのは、初春のある夜にソウル郊外の「紙杻駅」周辺で行われている2つの低予算映画の撮影現場だ。
偶然にも2つの映画は、どちらも監督の過去の体験に基づくもの。雪が降るシーンをカメラに収めようとしているのも同じだ。違うのは、男性監督の映画は恋が始まったばかりの男女の物語、女性監督の映画は恋が終わりに近づいた男女の物語であること。2人の監督は自身の当時の感情をスクリーンに投影しようと、それぞれの作品の俳優たちとディスカッションを重ねる。

終盤、移動中の2つの撮影チームが出会う。2人の監督はぎこちなく会話を交わす。背景ですれ違う列車のように、人生と映画、あるいは現実とフィクションが交錯する。
本作は撮影スタッフがキャストとして出演もしていることで、現実とフィクションの境界がいっそうあいまいになっているように感じる。『ひと夏のファンタジア』同様、不思議な感覚に陥る映画だ。

(リポート&撮影:芳賀恵)