8月17日より公開中の全米で最も危険な地区でロケを行った映画『エンド・オブ・ウォッチ』のサウス・セントラル地区潜入特別映像(web限定公開)のイメージソングに新曲『Sound Of Money』を提供したZeebraさんと、低く渋い声でリスナーを魅了するバイリンガルの名DJ小林克也さんをお迎えして、公開記念トークイベントを行いました。
  
  『エンド・オブ・ウォッチ』の舞台となったのは、世界一危険な街と言われる“L.A.サウス・セントラル”。現地のマスコミも近づくことを躊躇する最も危険な地区のストリートには危険がいっぱい!本作はそんな地域をパトロールする警官コンビの日常を臨場感たっぷり描いた作品として話題となっています。
  そんなサウス・セントラルに行ったことのあるZeebraさんと小林克也さんの登場とあって、男性客が中心の観客の皆さんが、真剣なまざなしでトークに聞き入っていました。

『エンド・オブ・ウォッチ』 Zeebra×小林克也トークイベント
日程/8月18日(日)   会場/丸の内TOEI② 

小林/落書きみたいなカルチャーとかミックステープとか、いろいろなものがヒップホップから来ているんだよね。70年代にイベントなんかをやるホールで、学費を稼ぐためにレコードをかけて皆を躍らせたのがDJの始まりとも言われているけど。

Zeebra/クール・ハックというジャマイカ人がアメリカでやろうとしたことがルーツとも言われているから、レゲエがヒップホップのお父さんと言えるかもしれません。

小林/家で大きな音でレコードをかけていると、お母さんが「お前何やってんの!?」と怒鳴るから、その度にレコードを止める。そのときにレコードを止めたギッという音が入って、録音したものを聴いてみるとそこが一番カッコ良くてスクラッチが始まったとかね。そういえば僕はサウス・セントラルに行ったことがあるけど、すごく怖かった。スヌープ・ドッグに会った時に「卒業アルバムを見ると、半分が死んでるんだ。それでどれだけ怖い場所か分かるよね?」と言っていたくらい。Zeebraは?

Zeebra/僕ももちろんサウス・セントラルに行ったことがあるけれど、昼間は子供たちも普通にいるから、平和な場所かな? と錯覚するけど、夕方になると急に怖くなりますね。

小林/今回この映画にサウンドを提供したのは?

Zeebra/もともと『Sound Of Money』は、次のアルバム用の曲で、ストリートのリアリティっぽい感じの曲なんです。この映画も何でこんなにデンジャラスなのかっていうと結局お金のことに繋がってくる。だからストリート・リアリティという部分で繋がっていると思ったんです。この映画は、リアリティとフィクションの境目の無さ加減がすごい。映画を観ていてどこがフィクションなの? って、すごい迫力だった。

小林/ビデオ撮影の手法でできているから、観ているうちに引き込まれてしまうよね。
Zeebra/映画は警察24時っていう感じなのと、You Tubeの投稿映像にものすごく近い。そことの境目が分からないのがすごかった。You Tubeのある時代を表していると思います。

小林/スマホで皆が何でもできる時代に、こういう映画を作れる人って何だろうと思う。それに主人公二人の会話が面白い。人種が違うからね。

Zeebra/日本人だけのカルチャーだと分からない。アメリカは多民族で世界の縮図的なところがあるし、それが個人単位でぶつかった時にはどうなるかという実験をしているのかなと思う。日本でもいろんなエリアの人に会うと多少のカルチャーの違いはあるけど、そこを乗り越えて生活してる。映画ではメキシカンと黒人がすごく対立しているのに、メキシカンもアメリカのヒップホップを聴いていたり。それに、この映画を観ておまわりさんてこんなに大変なんだと感じた方がいいです。たまには警察側の視点になってみるのもね。女性警官もすごく大変だと印象に残りました。

小林/主人公二人のノリを監督が相当丁寧に描いている。最初からアクションにじゃなくてさりげないように見える会話。それがあるから心に残るね。二人の男を見て、めちゃくちゃ心に残る。そんな映画です。

Zeebra/観て、グッと引き込まれると楽しい映画です!