「川村ゆきえのいい匂いを覚えて帰ってください」映画『吸血少女 対 少女フランケン』血ではなくサービス精神がほとばしる大阪舞台挨拶決行!
9/19、大阪・心斎橋シネマートに於いて、全国順次公開中の『吸血少女 対 少女フランケン』の舞台挨拶が行われた。
ゲストとして登場したのは、美少女吸血鬼・もなみ役の川村ゆきえ。グラビアだけではなく、NHKのドラマからホラー映画『ひとりかくれんぼ 劇場版』まで女優としても露出拡大中だ。
そして、『ミナミの帝王』シリーズの脚本や大槻ケンヂ原作の『STACY』で知られる友松直之監督。特殊メイクや残酷効果の第一人者として『片腕マシンガール』『東京残酷警察』などのコアな映画ファン御用達映画から、『Lchange the WorLd』といったブロックバスターまで幅広く活躍中の西村喜廣監督。
学園スプラッターコメディ『吸血少女 対 少女フランケン』は、映画史を彩る愛すべきモンスター同士が闘ったら、どちらが勝つ?そんな映画ファンの声に応えたボーダレスな『VS』シリーズに新たな1ページを加わえたといえる作品だ。
原作である内田春菊の『吸血少女』と『少女フランケン』という2つの作品をベースに、オリジナル要素をプラス。
2人の美少女モンスターのキレのいいアクション。西村映造印の画面を被い尽くす血の描写はそのままに、80年代のアイドル映画を思わせる友松監督のラブコメ演出。主題歌の70年代風ポップス、画面や小道具のキッチュな色合い。ゴスロリアレンジや花魁アレンジの衣装も大きな見所で、ホラーファン以外にもオススメのポップな味付けに仕上がっている。
■西村監督の大阪リベンジ、なるか?
司会の映画評論家・ミルクマン斉藤の紹介で、友松・西村両監督とともに川村ゆきえがセーラー服姿で登場!会場の拍手もひときわ大きくなる。
西村監督によると「『東京残酷警察』を上映した時、全国で目に見えて客が入らなかった地域が大阪」とのこと。
「それは『“東京”残酷警察』だからだよ!」大阪出身だが今まで大阪での舞台挨拶の機会がなかったという友松監督の突っ込みに、
「そうか、大阪の時は全部変えて『大阪残酷警察』にすればよかったんだ!」とノリのいい西村監督。
大人しい会場の空気を察して、「オレが怖いと思ってるのはお客さんの反応の薄さ」あっけらかんと西村監督が言えば、
「みんなもっと盛り上がろうよ!」と友松監督も大声で煽り、マイペースな雰囲気で舞台挨拶が進む。
■かっこいいシーンの裏に川村ゆきえの苦闘あり!
吸血少女を演じた事に対して川村は、
「楽しかったです。血糊が好きなんでウキウキしましたね。牙が生えたり、剣が付いたり。一番楽しんだのは制服を着られたことです」
「そこか!」川村の答えに爆笑する両監督。
血がもう1つの主役とも言える本作。全てCGで作った血のカットはなく、クライマックスでも大量の血糊を使い合成しているとのこと。
撮影時の苦労について、川村は
「最初、ゴスロリ軍団の顔をリンゴ剥きにするシーンがあって、私の顔に向かって血が吹き出すんですよ。目を開けろって言われたんですけど、全然開けていられなくて。目をパチパチパチパチしてる顔が間抜けですよね」
西村監督は平然と「いいんじゃない?かっこいいよ。血が入ってきたときに、目を閉じない訳にいかないでしょ」
「言いましたよ!開けとけって!」と笑いながら訴える川村に、
「閉じるんだけど、頑張って開けろよってことだったんだよ」と返す西村監督。
友松監督も「あれで完全に目が開いてたらCGだって思われちゃうよね」とフォローを忘れない。
「凄く頑張りました」という川村渾身のオープニングの血まみれバトルシーンは要チェックだ。
■ネジ虫って生きてるの?
ここで川村から特殊造形物についての質問が飛び出した。
「ネジ虫ってどうやって動いてるんですか」
劇中重要な役回り(?)になるネジが生物化したネジ虫は、西村監督が中学生の頃絵に描いたものが素になっているとのこと。
「あれは針金2本。手のひらに乗ってるカットは、指と指の間に針金を入れて動かしているだけで、CGは使ってないんですよ」
ボールの中のカットは、針金をCGで消すといった使い分けをしているとのこと。こういった特殊造形のギミックについて聞けるのも舞台挨拶ならでは。
ネジ虫の声は友松・西村両監督が担当したとのことで、“ネジー!ネジー!”となりきりで合唱する2人の監督に川村も
「えーそうだったんだ!(笑) 私もやりたかったです」と、屈託のない笑顔を見せた。
■二人の監督による分業演出
ラブコメ初挑戦となった西村監督は最初戸惑いがあったという。「企画があった時に、ラブコメかー。大丈夫かなって心配だったけど、ニューヨークの映画祭では“けっこうコメディもいけるね”って言われました」
友松監督は「『STACY』の流れで見ていただければ。ラブコメかつスプラッターっていうのがいいよね!」と作品をアピール。
今まで仕事上の接点がなかったという友松・西村両監督。その演出について川村は、
「バラバラだったんですよ。学校シーンは友松さん、基本血を使うシーンは西村さん、と分かれていたので正直不安でした」と本音を覗かせた。
「台詞があれば闘いの途中でもオレが演出したり。完全な分業ですね」と、友松監督が演出方法を解説。
西村監督は「この映画は、2週間で撮りました」と、タイトなスケジュールを披露。
「クライマックスシーンで斉藤工くんのアップがあって、切り返しで川村さんになるんですけど、実は別の日の撮影。工くんは空ヌケなんで黒バック、川村さんの後ろには夜景が見えるからグリーンバックが必要なんです。まったく違う環境で同じ心情で演じるのが大変だったと思います」
そんな現場だったからこそ、撮影前に緻密な絵コンテを作ったとのこと。
川村は「絵コンテがあったので、イメージしやすくて、その分演じやすかったですね」と、笑顔を見せた。
■お客さんに楽しんで帰ってもらおう!
残り時間もわずかとなり、ここで突然、西村監督の提案が飛び出した。
「観客の人たちは写真を撮れないから、川村ゆきえのいい匂いを覚えて帰ってもらおう!」
キュートな笑顔を振りまきながら劇場内を一周する川村の思いがけないサービスを、観客たちは大喜びで見守った。
プレス向けの写真撮影では、なんとか大阪らしいお笑いポーズをとろうとする3人。そんな心遣いにも映画同様サービス精神が溢れていた。
川村ゆきえシリーズ第二弾の可能性を聞かれると、西村監督も友松監督も「いいと思いますよ!」と即答。
正統派女優としてのステップアップ必至の今後も、ホラークィーン川村ゆきえとしての更なる大活躍を期待したい。
(Report:デューイ松田)