世界の映画祭・批評家・シネフィルから高い評価を受けている小林政広監督最新作『ワカラナイ WHERE ARE YOU?』が、8 月5 日スイスのロカルノ国際映画祭コンペティション部門で8 月6 日ワールドプレミア上映されました。
『ワカラナイWHERE ARE YOU?』は、2007 年に同映画祭コンペティションに出品された『愛の予感』がグランプリの金豹賞を受賞したのに続いての小林監督のコンペティション出品作品。
現地には小林政広監督と『ワカラナイWHERE ARE YOU?』で初主演を飾った小林優斗が参加しており、上映中、会場からは物語に入り込んだ観客からすすり泣く声が聞こえ、エンディングで少年が父親と出会うシーンでは上映中にも係わらず大きな拍手が場内を包みました。
コンペティション部門の受賞発表(授賞式)は同映画祭最終日15 日(現地時間)に行われます。

『ワカラナイWHERE ARE YOU?』は小林政広監督による21 世紀の『大人は判ってくれない』(フランソワ・トリュフォー監督)とも言うべき作品で、主人公の少年「亮」を17 歳の新人、小林優斗が演じています。
映画は、母親を病気で亡くし、医療費も葬儀代も払えず、そして自分自身が食べる事さえ困難な貧困の中を生きていくしかない現実と向き合う少年をリアルに、時にファンタジックに描きます。社会から見放された少年の行動の全てを、観察するように、時には見守るように、ドキュメンタリー映画のような距離を保ちながらカメラはとらえていきます。

<本作品への小林監督のメッセージ>
私は、毎回映画を作る時、デビュー作を作るような気持ちになります。この映画「ワカラナイWHERE ARE YOU?」も同様です。初めてのキャラクターたち、初めてのストーリーを前にして、心躍る気持ちと、不安が、交互に現れてくるのです。
ティーンエイジの映画を作るのは、初めてのことで、そのことも私の心を動揺させました。少年の目線で、今の日本が浮かび上がってくるような映画を作りたかったのです。
その試みは、半ば成功しているように思います。
映画のエンディングに、皆さんが、どんな感想を抱くのか、とても興味があります。
しかしながら「Quatre Cent Coups」(邦題:大人は判ってくれない)の主人公アントワーヌ・ドワネルがそうであるように、この映画の主人公・亮のあらかじめ失われた人生との闘いは、今、始まったばかりだということです。