SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2009:長編コンペティション部門『鷹匠の息子』舞台挨拶!
2009年7月13日(月)長編コンペティション部門作品『鷹匠の息子』が上映され、プロデューサーであるスタッファン・ユーレンが登壇し舞台挨拶が行われた。
本作は、広大で美しいリアルなモンゴルの大地を舞台に、鷹匠の息子バザルバイの成長を描いた作品となっている。主役のバザルバイをはじめとする、多くのキャストの自然な演技と美しい自然に魅了される。
(スタッファン)「今回日本に来るのは初めてです。この作品ではモンゴルの西を舞台としていますが、古くたどっていけば日本とモンゴルは関係がありますよね。この作品へのご意見やご感想をとても楽しみにしています。」と挨拶をした。
本作は何故、モンゴルという土地を選んで撮影したのか?
(スタッファン)「このモンゴル西部ではカザフ族は少数派です。しかし、しっかりと文化が息づいているのです。カザフ族の宗教はムスリム教であり、モンゴルという地では、宗教も民族も多様性をもっていることをお伝えしたかったのです。この作品は世界の子供のための作品でもあり、バザルバイと鷹を題材として普遍を意識し、共感出来るよう制作しました。」
本作の撮影地は、モンゴルの首都であるウランバートルから7日も移動にかかる遠隔地であり、全ての撮影機材をもち移動することは非常に大変だったようである。
本作のキャスティングに関して、
(スタッファン)「当初はドキュメンタリー作品を撮ろうとしていました。そのためモンゴルの地で、鷹匠フェスティバルが開催される日程に合わせて、6組の家族を訪ねて取材を行いました。その取材を通して、≪鷹匠≫というものは、父親から直接教えて学ぶものではなく、自らがトライアルとエラーをしながら一生をかけて習得するものであるということを学びました。そして自国に帰り、脚本をフィクションとして作り上げていきました。ドキュメンタリーを撮る予定で行っていた取材で出会った家族の方々にキャストとして本作に出演してもらいました。バザルバイの兄の役だけはプロの役者を起用しましたが、それ以外の役は全て素人の方です。」
主役を演じたバザルバイとの出会いについて、
(スタッファン)「鷹匠フェスティバルの為にカメラを回していた際に、丁度バザルバイがやってきました。後ろのりで馬にまたがっていて、素晴らしい才能だと思いました。ある意味、バザルバイが私たちを選んだのだと思います。」
本作で描かれていた鷹匠以外の、サーカス・炭鉱・お寺等のシーンの要素というのは、ドキュメンタリーで描こうとしたものであったのか、もしくはフィクションの要素として描こうとしたものか?
(スタッファン)「当初私たちが制作しようとしていたドキュメンタリーでは、山の上の鷹匠の地域を拠点としようと思っていました。取材を通して出会った、モンゴルの様々な側面であるサーカスや炭鉱、お寺といったものをキーステーションとして話の中に組み込んでいきました。」
本作の一般上映のことに関して、
(スタッファン)「ドイツでは6月に公開され、さらにこの秋スウェーデン、ノルウェー、フィンランドで劇場公開されます。日本やモンゴルでも公開されます。」と、述べた。
(Report:大倉真理子)