監督は若干30歳で長編は『サンキュー・スモーキング』に次いで2作目、脚本家にいたってはこれがデビュー作という不利な条件の中、第80回アカデミー賞にて作品賞・監督賞・主演女優賞・脚本家賞部門の主要4部門にノミネートされたのは、ティーンエイジャーの“予想外”の「妊娠」と「出産」をポップでキュートに描いたラブコメディ『JUNO/ジュノ』。

13日(金)、多くの人が集まるアップルストア銀座店にて、本作の監督ジェイソン・ライトマンと、今年10年という節目を迎える「ショートショートフィルムフェスティバル」(SSFF)代表の別所哲也が『JUNO/ジュノ』公開前夜祭スペシャルトークショーを行った。過去、ライトマン監督は「SSFF」に短編作品がノミネートされたことがあり、今回このような機会が設けられた。実に久しぶりの再会となった別所とライトマン監督は、楽屋でも話に華が咲き大いに盛り上がったそう。

別所は「最初に彼に会ったとき、映画に対してすごく情熱を持っている方だと思いました」と語り、本作『JUNO/ジュノ』の感想については「笑いもあり、ラブストーリーもあり、社会のつながりも描いており、とても考えさせられるし前向きになれる作品」と大絶賛。
主演エレン・ペイジについても同じ俳優として、「1シーン1シーンおもしろいシーンはたくさんあったけど、何よりエレン・ペイジの演技力には驚かせられた」と評価した。

ライトマン監督は、「僕はやっかいなテーマで映画を撮るのが好きなんだけど、それは例えば10代の喫煙や妊娠とかね。そういったものを描こうとするとき、ドラマよりもコメディの方がよりオープンに語れると思ったんだ」とし、演出方法を別所がたずねられると「他の人のアイデアを盗みながらやったんだ」とジョークを交えながら答えた。また、「劇中の音楽もすばらしかった。この映画では音楽がすごく重要な意味を持っていると思った」と別所がライトマン監督に伝えると、うれしそうにほほ笑んで「じゃあ、サントラの中の1曲を歌ってくれない? 何年か前に来日したとき、あなたが歌っているのを見てすごく上手いと感じたんだ」。すると「それなら、ミュージカル『ミス・サイゴン』をやるから見に来てよ」と別所が切り返し、その後も笑いあったりハイタッチをしたり昔からの親友のようにトークを続けた。

最後に、ライトマン監督と別所はそれぞれ「たとえ言葉が通じなくても、映画は国境を越えるものだと思う。それってエキサイティングだよね!」(監督)、「映画は時に人生を変えてしまうような要素をたくさん含んでいます。映画人同士の出会いを作ったり、はじめの1歩を踏み出すためのきっかけを『SSFF』は作っていて、ライトマン監督もこの映画祭から1歩1歩着実に映画監督として歩んでいっている。その姿は私たちにとって励みになります」(別所)と、コメントを残した。

14日(土)は「SSFF」最終日、そして映画『JUNO/ジュノ』の初日とまるでリレーのようにバトンタッチされる両者だが、当日はアップルストア心斎橋でもこのイベントがライブ中継されているということもあり、別所が「この2つをはしごしてください」と訴えかけると、ライトマン監督も「僕を見足りない方は、初日舞台挨拶にも登壇するからぜひ来てね」と満々の笑みでアピールしていた。

(Report:Naomi Kanno)