SKIPシティ国際Dシネマ映画祭『グッバイ・マイ・ラブ』Q&A
中国からの出品作『グッバイ・マイ・ラブ』のプロデューサー、チェン・ツゥーチュさんが映画上映後にQ&Aを行った。
本作は、甘やかされて育った落ちこぼれのスマンという青年とその母親の話。母親は仕事の忙しさ故にスマンにお金を与えるだけの生活をさせていたのだが、ある日、自分がガンに冒されていることを知る。堕落した生活をしている息子を心配し、自立させるために家を追い出すが、自活することの苦労を知ったスマンは母親を憎むようになってしまう・・・。
チェンさんは10年前に音楽プロデューサーとして来日したこともあったそうだが、去年からデジタル映画の製作に携わり始め、本映画祭で『グッバイ・マイ・ラブ』のスタッフを代表して来日した。
Q:どういうキッカケで作られたのですか?
チェン:「この作品の背景には実話があります。インターネットのニュースを通じて、監督がそのストーリーに感動したのが始まりでした。私は昔から母親を題材にした、良いストーリーの映画を作りたいと思っていました。若い頃は母親という存在への認識が薄かったのですが自分に子供ができ、妻の子供への愛情を見ていると、母親の深い想いを感じるようになったんです。スタッフにその考えを話すと、同じことを思っている人ばかりでした。何か母親の心の強さについての作品を作りたかったんです。この映画を通して自分自身の母親を尊重し、愛してほしいし、強い母親がいることに気づいてほしいですね。」
Q:オリジナルのタイトルは“さよなら最愛の人”という意味ですが、それは母親から息子に対してのものなんでしょうか?
チェン:「元々のタイトルは「天国」だったんですが、ふさわしくないと思ったので変えました。タイトルには2つの意味があって、1つは“母親にとっての息子の存在”が最愛の人であるという意味、そしてもう一つは“息子にとって母親と家という存在”が最愛であるという意味です。いずれにもいつか「さよなら」を言う日が訪れるでしょう。それでも私はいつか再会できることを信じています。また、最愛の人というのは人生の中で何人も出てくるかもしれません。しかし、生活をする中で、誰が最愛の人なのかわかってくると思います。」
Q:デジタルでの撮影に意図はありますか?
チェン:「デジタルというのは最新の技術ですから、マスターしたいという気持ちがありました。そして、中国の市場でデジタルシネマを作る人間が多くないこともその理由の一つです。中国ではデジタルシネマを上映する劇場も増えているんですが、上映する映画が足りないという現状もあるんです。」
Q:スマン役のウェン・チャンさんをどうやって見つけられたのですか?
チェン:「監督が彼を見つけたんですが、ウェンは中国で最も有名な映画学校の学生です。実は監督と同郷なんですよ。私たちはこの映画を観終わった後、彼が将来のスターになることを確信しました。しかし彼は私たちの会社とは契約をしていないんです(笑)。しかし、私たちは彼に1つのチャンスを作ってあげたいと思っています。彼を日本に連れてきて、この映画と共に日本の方々に知ってもらいたいんです。」
(umemoto)
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006 公式HP
http://www.skipcity-dcf.jp/