『ギャラクシーにようこそ』監督/パトリシア・プラトネール
俳優/ベルナデット・ラフォン(モナ役)フィリップ・バス(リュシアン役)

色使いの変化が気持ちの変化
友情と連帯が人生の転機に力を…

 夫の暴力からのがれた女性クリステルが、心の港のようなギャラクシーホテルで新しい人生を歩き始める…。そんな『ギャラクシーにようこそ』の監督と主演俳優の三人にインタビュー。和気あいあい、がやがやと座談会のような雰囲気。

Q.監督に伺いたいんですが、こういう映画を撮ろうと思ったわけは?
パトリシア「このシナリオに惹かれて…。モーテルのオーナー・モナと美容師クリステルの女性同士の関係に魅力を感じました。あと、トラック運転手リュシアンの詩人のようなところも気に入ったから。直前にインド映画の『メイド・イン・インディア』というインド人女性の解放を扱った作品を撮っていたんです。人間関係や人間の連帯というテーマはどの世界でも共通していて、私は友情と連帯をテーマにしたかったんです。友情と連帯は、自分の人生を変えたいなと思った時に大事なんじゃないかと思うんですね」
Q.では、この映画に出演なさってのご感想とご自分の役についての想いを…。
ベルナデット「幸いなことに私は、女優としてのキャリアを40歳前に築きました。でもその40歳を越えた女性には、なかなかいい役がまわって来ないんですね。でも今回のモナは素晴らしい役で、パトリシア・プラトネール監督との出会いが、私の人生の中のプレゼントのようなものでした。映画は終わりましたけれど、私たちの中には友情と連帯が芽生えたと思います。
 このモナは“場所”と密接に結びついた女性だと思うんですね。モナ、イコール、ギャラクシーホテル。ひとつのおとぎ話みたいに、クリステルという女性がたまたま行き着いた場所がギャラクシーホテル。とてもいい場所です。ここに集まる人もみんないい人たち。リュシアンも素敵な心を持った男性で、彼にとってもギャラクシーホテルは港のような場所なんです」
フィリップ「リュシアンはいい役ですよね。いい立場に立たせてもらって、クリステルとの素敵な出会いがあって。映画そのものも素晴らしかったし…。監督と話しながら役づくりをしました。監督から“リュシアンは詩人なのよ。トラック運転手だけれど”と言われたのがすごく印象に残っています。リュシアンは歌を歌ったり、ひとりで長距離を旅したり(トラック運転手だから)…詩人のようですね。そしてクリステルに出会って、男性としての感情にも目覚める…」

Q.ベルナデットさん、ギャラクシーホテルのモナとあなたは同じ輝きを感じます。モナを自然体で演じていらしたのでしょうね。
「素敵なことを言ってくださってありがとう。私は今回映画の紹介でここにいるので、できるだけモナのままで過ごそうと思っていたのです。この映画の原題が『レ・プチット・カラーズ』で、“たくさんの色”という意味なんですね。だからカラフルな洋服をわざと着てみたり、映画の中で履いていた靴を履いてみたりしていたんです。“モナと同じ”って思っていただければ、私のもくろみは成功ですね」
Q.原題が“たくさんの色”という意味なんですね。映画の中でも、ホテルの壁の色が途中で変わったり、みんなの髪の色が変わったり…。それがみんなの気持ちとシンクロしていて、楽しかったです。
パトリシア「私は学生の頃に美術を専攻していて、プラスティックのアートを作っていたんです。だから色を使うことが大好き。今回の映画の脚本はもともと『クリステルの美容室』というタイトルで、“ストーリーは気に入ったけれど、このタイトル大嫌い”と思っていたんです。で、ある時『レ・プチット・カラーズ』という名前を思いつき、それからはいろんなイメージがわいてきました。リュシアンにはブルー、クリステルにはピンクのようなパステルカラー…というように、それぞれの人物にいろんな色を使う。そのうちに壁も椅子も床も天井もというように、アイディアがわいてきたんですね」

Q.色使いも楽しかったし、映画の中にコンスタントに流れていたテレビミュージカル『愛の牧場』も爆笑ものでした。
ベルナデット「『愛の牧場』は成功ですね(笑)。あの番組を実際のものだと思った友人が“あの番組のビデオ、どこで買えるの?”と…(笑)。あのメロドラマと映画の人物たちの人間関係が、並行して進んでいくでしょ。面白いですよね」
パトリシア「テレビドラマも作ると製作費がかかりすぎるという反対論もあったけれど。もしうまくいけば、あれこそが成功の鍵になると私は確信していたんです」(ここで全員で『愛の牧場』のテーマをハミング)
Q.これから『ギャラクシーにようこそ』を見る人にメッセージを!
パトリシア「90分のお楽しみです。勇気が出てくる映画ですよ」
フィリップ「人間的なストーリーの映画、と私の父が言っていました」
ベルナデット「見たあととても幸せになれる、思わず笑顔になる映画です」

取材・構成/かきあげこ(書上久美)