2026年2月13日より3日間にわたり、北海道倶知安町にて第2回北海道国際映画祭in NISEKOが開催され、その2日目の14日に『DEAD OR ZOMBIE』のワールド・プレミア上映が行われました。

『DEAD OR ZOMBIE』は、『湖底の空』(2019)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020グランプリを受賞した佐藤智也監督が、映画祭からの次回作支援金と文化庁の助成金を合わせて製作した短編映画『DEAD OR ZOMBIE ゾンビが発生しようとも、ボクたちは自己評価を変えない』(2022年製作、2026年2月現在Amazon Prime VideoU-NEXTなどで配信中)の前日譚やその後を描いた計4本の連作短編をまとめた長編映画です。

映画祭で行われた佐藤智也監督と主演・倉島颯良さんによる舞台挨拶を以下レポートします。


©MAREHITO PRODUCTION

Q:倉島さんは最初の短編(エピソード1)の撮影はどういう感じで参加されていたんでしょうか。

倉島:ゾンビ映画に参加させていただくのが初めてだったので、
監督の思い描くゾンビ像というか、世界観を必死に追いかけながら撮影していたなという風に思います。

Q:3年後に新たに撮影するということが決まった時の心境はどんな感じだったんでしょうか。

倉島さん:
エピソード1を撮影している時に、本当は長い作品の一部を今回は作ってるんだよという話をされてたんですけど、まさか3年越しに実現するとは思ってもいなかったです。それで本当に嬉しかったです。今回は新しい女の子の登場人物が増えたのも嬉しかったです。

Q:現場での監督はいかがだったんでしょうか。

倉島さん:
エピソード1の頃から監督は必要最低限の指示しかしない。「ここはこうしてね」という押さえていただきたいポイントだけを言ってくださって、自由に1回やってみてというスタイルでした。私たちはもちろんゾンビの方も自由に芝居させていただいたなって思います。

Q:ゾンビも穏やかだったと。


倉島さん:そうですね。監督も怒らなさそうな雰囲気でした。本当に優しい監督です。

佐藤監督:倉島さんはじめ、他の役者さんもちゃんと自分の役を理解してやってくれているので、こっちから「いや、それじゃない」みたいなことは言う必要が全然なくて、割と楽に演出させていただきました。

Q:倉島さん、前回と今回を含めて、自分の中でどう演じようとか、感じたことを教えてください。


倉島さん:エピソード1の時はかなり等身大で、主人公・早希はあまり人生に熱意を持てない、そういう感じだったと思うんです。今回は新たな登場人物が増えたことでちょっと先輩ぶってるというか、少しだけ、本当に少しだけ成長している部分みたいなのを意識して演じていたように思います。

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Q:新たな登場人物・愛生と出会っての役作りはいかがでしたか。

倉島さん:
私は結構ロジックで芝居を作ろうとしちゃうんですけど、愛生役の涼井(菜生)さんはパッションで芝居されている印象がありました。カットのたびに全然違うアプローチをかけてきてくださったりとかしていたので、刺激を毎日受けてたなと思います。

Q:愛生役のキャスティングについて監督にお聞きします。

佐藤監督:涼井菜生さんが演じた愛生役はちょっと難しい役だと思っていました。周りにもその年代でできそうな方がいなくて、俳優事務所のマネージャーさんに相談して「こういう役できる人いませんか」と聞いたら、涼井さんを紹介してくれて…すごくよかったです。

Q:今回の撮影場所はどういう風に探していったんでしょうか。

佐藤監督:クレジットにもありますが、群馬県のフィルムコミッションに相談に行きまして、こんなような医療施設とか、浄水場とかフェンスがあるところとか、そういう抽象的な条件をつけたんですけど、良いところを紹介していただきました。

Q:ゾンビメイクって結構時間がかかるんじゃないかなという風に思うんですが、実際どうでしたか。

佐藤監督:特殊メイクの第一人者である江川悦子さんの会社にやっていただいたんですけども、方法論をいっぱい持ってらっしゃるんですよ。ゾンビの作り方にも 3種類あって、メイクだけのゾンビと、いろいろ貼り付けてさらにメイクをするゾンビ。あとマスクをかぶる。
マスクをかぶるのは一番時間がかからないので、シーンによって使い分けたりしていただいて。予算もない、時間もない中で、うまくやっていただきました。

Q:最近の映画では速い動きのゾンビが多いですが、監督が撮られたゾンビはスローな動きが多く感じられました。


佐藤監督:そうですね。自分が最初に影響を受けたのは、ジョージ・A・ロメロ監督の『Dawn of the Dead』。あれはゆっくり動くゾンビでした。人間側の反応もいろいろだったと思うんですよ。
夫が蘇って帰ってきてくれたと思って抱きついたら噛まれたとか。ゾンビ映画の肝というのは「親しい人がゾンビになった時、あなたはどうしますか」という問いかけだと思うんです。ただ最近のゾンビは走るので、走られると考える間がないんですよね。
ガーって来られたらガーって逃げるしかないから。最近のゾンビ映画は人間ドラマがないな…ゾンビを絡めた人間ドラマがないなと思っていて、そこはちょっと昔風に戻しました。

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倉島さん:佐藤監督が作るゾンビ映画の特徴って、
ゾンビが走らないことだと思います。この映画を見ると、ゾンビを通して対話できたり、自分を振り返ることができるというところが、佐藤監督が描くゾンビの魅力だと思うので、これから見る方には、今まで見たゾンビ映画の概念を一旦置いておいて、新たな視点でこの映画を見ていただけたらいいなっていう風に思います。

佐藤監督:世代的に倉島さんが物心ついた頃は走ってたと思うんですよ。こちらとしては「いやそうじゃないんだ」っていうところを、とか言いつつ、ちょっと一部走ってましたよね(笑)。

Q:若干早歩きぐらいの頑張れば走れるゾンビもいるという(笑)。身体能力がちょっといいゾンビみたいな(笑)。

佐藤監督:最近のゾンビ映画ってゾンビになった途端みんな同じスピードで走り出すので、生前の生活を無視しています(笑)。
体の弱い人はもっと弱々しくなっただろうし。そこら辺はこだわります(笑)。

(レポート&撮影:澤田直矢)


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映画『DEAD OR ZOMBIE』作品情報

【キャスト】
倉島颯良 みやべほの 紀那きりこ 宮澤寿 程波 阿部力 涼井菜生 和田光沙
松村光陽 大西多摩恵 吉川勝雄 上村愛香 長谷川千紗 石川秀樹 ジョン ハオ 吴翰 斉玥 金光竜佑 小田原麗 中村朱貴 加藤伊織 村上秋峨 川村桜禾 Phillip Bachman Sergio Elias Liza Waldron Jasmine Rose

【スタッフ】
プロデューサー/吉田邦彦 熊谷睦子 アソシエイトプロデューサー/猪股祐一郎
ラインプロデューサー/玉置太郎 撮影・照明・編集/永野敏 録音/西田敬 古賀陽大
音楽/谷口尚久 歌唱/Cloe 音響効果・整音/谷口広紀 荒川翔太郎 井口勇
VFX/内田剛史 特殊メイク/江川悦子 特殊造形/工藤秀昭 イラスト/宇野晶紀子 ヘアメイク/山本仁美 碧池色抄浬 スタイリスト/濱田恵 宣伝デザイン/内海由 小林敦子
スチール/鈴木教雄 ロケーション協力/ぐんまフィルムコミッション
配給宣伝/ムービー・アクト・プロジェクト 配給協力/ミカタ・エンタテインメント 製作協力/アルゴ・ピクチャーズ ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 ARTS for the future!
製作プロダクション/マレヒト・プロ
共同脚本/山本裕里子 監督・脚本/佐藤智也

2025年/⽇本/カラー/128分 ©MAREHITO PRODUCTION