韓国釜山市で2026年10月6日〜15日に釜山国際映画祭が開催された。アジア最大級の映画の祭典は今年31回目。59カ国・地域の247作品が上映され、約27万7,000人が映画やイベントを楽しんだ。日本の監督や俳優も多く参加し現地のファンと触れ合った。

◽️チュ・ジフン、最新作を語る

俳優にじっくり話を聞く人気トークイベント「アクターズハウス」。今年は映画やテレビドラマで活躍するチュ・ジフンら5人が登壇した。
チュ・ジフンは11月4日からDisney+で配信されるロマンスファンタジー「再婚承認を要求します」で久しぶりのロマンスに挑んでいる。奴隷と恋に落ち、シン・ミナ演じる皇后に離婚を言い渡す皇帝を演じる。
原作は韓国の同名の人気ウェブ小説だが、最初にオファーがあった時は「世界観がよく理解できなくて何度か断った」。信頼できる知人の説得で出演を決めた後も、演出部の若手に原作の魅力を聞いたりして試行錯誤を続けた。役作りは苦労したが「ミュージカル風に役にアプローチすることで、気持ちが少し楽になった」という。
配信ドラマとの出会いは2019年のNetflixの「キングダム」。世界的なヒットとなり、アジアを超えて名が知られるようになった。「当時はNetflixをよく知らず出演料も安かったが、物語は面白く共演の先輩たちにも恵まれた。海外に行くと韓国語であいさつしてくれる人が増えてグローバルな波及力を感じた」と振り返った。

◻️俳優賞に姫野花春

コンペ部門「釜山アワード」では、「さとこはいつも」(沖田修一監督)の姫野花春が俳優賞を受賞した。同作は、有村架純、石田ひかりと姫野が演じる3人の「さとこ」が「自分の物語を書く」ことを通して人生を見つめ直すストーリー。姫野は初めての恋心を持て余す鼻炎持ちの中学3年生をコミカルに演じている。
上映後のQ&Aには筒井竜平プロデューサーとともに登場。300人が参加したオーディションで選ばれ、初の映画出演を果たしたエピソードが紹介された。
受賞後には「おばあちゃんになっても俳優を続けていられるように、これからも頑張っていきたい。次の作品も丁寧に思い切り楽しんで、生き生きとした力を届けられるように精一杯頑張ります」と初々しいあいさつで会場を沸かせていた。

姫野花春(撮影:芳賀恵)

◻️新たな愛の形描く「このごにおよんで愛など」

コンペ部門には、女性絵本作家(長澤まさみ)とその夫(柄本佑)、作家の担当編集者で恋人でもある(石橋静河)との三角関係を描く「このごにおよんで愛など」もノミネートされた。上映には広瀬奈々子監督、柄本佑、石橋静河が参加。主演の長澤まさみはインフルエンザのため訪韓を直前でキャンセルし、柄本が長澤の写真を手に登壇した。
記者会見で広瀬監督は「既存の家族像や固定観念に縛られながら恋人や結婚のこと、子どものことで悩んでいる人に届けたい。性的マイノリティーだけでなくいろんな方に届けられたらいいと思っている」と話した。
海外の映画祭は初参加という柄本。「スタッフと観客が一丸となって、温かく受け入れてもらっている気がする。映画が特別なものではなくて当たり前にある感じ」と釜山の雰囲気に触れ、観客と一緒に映画を見た時に「ピュアに純度高くこの映画を見てくれている気がした。自分が『この映画の面白さはここだよね』と思っているところとは全然違うところで笑いが起きるのを見て、ああ海を超えたな、と嬉しくなった」と振り返った。

◻️笠松将、韓国映画に初主演

笠松将が韓国映画「Shaving」(原題)に初主演し、キム・ジョンフン監督、共演のノ・ジョンミとともに記者会見に出席した。
同作は、人里離れた古い家で繰り広げられるサスペンス・スリラー。笠松は恋人の家で見つけた古いカミソリでひげを剃った後、穏やかな性格が狂気に一変する男を演じている。
劇中では韓国語と日本語を自然に行き来しながら演じている。昨年も配信ドラマ「グッドニュース」で釜山映画祭を訪れて韓国語を披露したが、会見ではさらに流暢になった韓国語で質問に答えた。言語の学習法については「文法を覚えて基本単語を覚えて、それから(韓国の人と)酒を飲んだりしてスラングを取り入れていく方式」と、日々の努力を明かした。
また、韓国と日本の撮影現場の違いについて聞かれると「韓国は奇跡を生み出すためにコンテや演出、衣装などを綿密に作り込む。日本は奇跡が起きるのを待つ雰囲気がある。どちらがいいというのではなく、両方に学ぶところがある」と実感をこめて語った。

(レポート&撮影:芳賀恵)

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