実際に起こった事件を基に描いた傑作ヒューマン・ミステリー『最愛の子』が、現在開催中の「第16回東京フィルメックス」で上映され、本作のメガホンをとった『ラヴソング』『ウォーロード/男たちの誓い』のピーター・チャン監督が上映後のQ&Aに登壇いたしました。

監督はひと足早く本作を鑑賞した観客に向け、「日本のみなさま、お久しぶりです。今回は悲しいお話をご覧いただきましたが、これは実話をベースにした映画です。この(子どもの誘拐の)実話を知ったとき、私は心を動かされ、映画にしなければと思いました。」と語った。「なぜ、この事件を映画にしようと思ったのか」という観客からの質問には「中国では年間20万人の子どもが誘拐されています。中国における子どもの誘拐事件には、貧富の差や急激な経済成長、都市と地方の格差、一人っ子政策など現代中国が抱える問題が大きく関係している。中国にとってセンシティブなテーマではあるが、(子どもを奪われた側、その子どもを育てた側の)両側面から見てみたいと思った。そのために、敢えて商業映画ではタブーとされる二部構成にして、被害者の親、そして加害者の親それぞれの視点を描きました。加害者とされる母親は悪い人ではないのです。ただ子どもを愛しているのに加害者として責め立てられるシーンでは、被害者の人々が逆にモンスターのように見えたりもする…。世の中に絶対の悪や正義などないのです。何か大きなテーマを掲げて説教するのではなく、映画というかたちでみなさんの心にこのお話を届けられたらと思いました。」と応え、本作への思いをあらたにしました。さらに上映後のアンケートには、「育ての親、生みの親、それぞれの子どもへの愛の深さに心を動かされた」「スリリングな展開に引き込まれた」と感想があがり、「愛する子どもを奪われたくない。ただ、一緒にいたい」という“親”たちの純粋な願いと、被害者と加害者という関係性を超えた親が子を思う「至上の愛」は観客の心に広く届いた模様です。

さらに、Q&Aで本作の公開初日が、2016年1月16日より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開と決定したことも発表致しました。