何があっても離れない夫婦の十年を描いて、報知映画賞最優秀監督賞、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞(木村多江)、ブルーリボン賞最優秀新人賞(リリー・フランキー)など数多くの賞を受賞した名作『ぐるりのこと。』(2008年6月公開)から7年。
誰もが待ち望んだ橋口亮輔のオリジナル脚本による長編映画『恋人たち』が本日初日を迎え、テアトル新宿にて橋口亮輔監督と出演者の篠原篤さん、成嶋瞳子さん、池田良さん、安藤玉恵さん、黒田大輔さん、木野花さん による初日舞台挨拶を行いました。

<イベント概要>
日程: 11月14日(土) 11:40〜12:05 (9:20の回上映後)
場所: テアトル新宿   (新宿区新宿3−14−20 新宿テアトルビルB1)
登壇者: 橋口亮輔監督、篠原篤、成嶋瞳子、池田良、安藤玉恵、黒田大輔、木野花

橋口監督の新作を待ち望んだ多くのお客が集まり、会場は満席。立ち見も出るほどの盛況で舞台挨拶は始まった。
満員のお客を前に橋口監督は、「7年たって、やっとここまで戻ってまいりました。まずは、この映画のプロデューサーの松竹ブロードキャスティングの深田誠剛さんと小野仁史さんにお礼を申し上げたいです。彼らがいなかったら、私はこの場にはいなかったと思います。
そして、この世知辛い世の中にクラウドファンディングに出資をしてくれたみなさま。そしてまだ日本映画も捨てたもんじゃないと思わせてくれたスタッフのみなさま、本当にありがとうございます」と感謝を述べた。

主演の篠原さんは、「自分は器用ではないので、もう限界だと思う瞬間もあったのですが、それでも監督は常に細かい演出をしてくださり、「お前だったらやれる」と僕に声をかけてくれました。自分以上に、監督は僕がこの役を演じる事を信じてくれたと思います」という言葉に対し、「本当に、誰もがみんな限界を超えて演じてくれた」と監督が感慨深い表情を見せた。

高橋瞳子を演じた成嶋さんは、「光石さん演じる藤田の前で、一人語りをするシーンがあったのですが、あれは私がワークショップで自己紹介した言葉なんです。現場で監督に「あれは何を伝えたかったの?」と私がそれを言えるまで何度も聞かれました。」と話すと、「ワークショップの自己紹介をする成嶋さんが、おかしかったんだけどなんだか切なくて。ああ、成嶋さんらしいなと思ったんです。」と語った。

四ノ宮役の池田さんは「橋口さんは、現場でエネルギーがとにかくすごくて、気迫を感じました。でも、いまはすごく橋口さんは優しい表情をしていますけど、現場で怖かったんです」と話すと、監督は「撮影1週間前に「監督、僕は裸になるシーンがありますけど、腹筋は割れたほうがいいですか?」って聞いて来たんです。「あと1週間で6パックになれるの!?」と思って聞いたら「無理ですね」って。なんであんなこと聞いたの!?」とツッコミを入れ、会場は爆笑。

また、『ぐるりのこと。』以来2度目の橋口組に参加した安藤さんは、「橋口監督の現場は独特な緊張感があるんですけど、それがなぜか心地よいんです。「ん〜皇室か」という印象的な台詞があったのですが、監督から「これはあなたのために書いた、あなたしか言えない」と言われて(笑)すごく愛を感じました。」と語った。

同じく橋口組は2度目の参加という黒田さんは、「『ぐるりのこと。』のときも同じように思ったんですけど、試写会で出来上がった作品をみた帰りに、「ああ、この映画の中の住人になれて幸せだな」と心から思いました。」と感慨深げに語った。

さらに木野さんは「もともと大好きな監督だったので、すごくはりきって撮影に望みました。監督には、丸々自分の心のなかが見られている気がして、ウソがつけないなって。本当に、映画への愛にあふれていて幸せな時間を過ごせました。」とあつく語った。

そして、舞台挨拶の最後には橋口さんを再び映画の世界へ呼び戻した恩人 深田プロデューサーが橋口監督へサプライズで花束のプレゼントを贈った。監督は感激の表情で「辛いときに、深田さんが僕の家に来て「映画やりましょう、映画やりましょう」といつも言ってくれた。
今日こうしているのが夢のようで、こんな日がくるとは思いませんでした。本当にありがとうございます。」と締めくくった。