映画『日本のいちばん長い日』 (8月8日より全国公開中/アスミック・エース、松竹配給)は、昭和史研究の第一人者・半藤一利の傑作ノンフィクションを、『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』の原田眞人監督が完全映画化。太平洋戦争終戦の舞台裏では何が行われていたのか? 日本の未来を信じ、今日の平和の礎を築くため、身を挺し闘った人々の物語に挑みます。ベテランから、躍進目覚ましい若手俳優まで、今の日本映画界を代表するキャストの豪華競演が実現。すべての日本人に伝えたい、戦後70 年の壮大な記念碑となる感動作です。

このたび、8月14日(月)新宿ピカデリーにて、主演の役所広司、原田眞人監督が登壇しての来場者100万人突破記念舞台挨拶を実施いたしました。

『日本のいちばん長い日』 来場者100万人突破記念舞台挨拶 概要
【日時】 9月14 (月)  
【場所】 新宿ピカデリー スクリーン3
【登壇者】 役所広司(59)、原田眞人(66) *敬称略

8月8日より全国公開中の本作が、上映34日目となる9月10日に観客動員数100万人を突破したことを記念し、9月14日(月)13:20回の上映後に行われた記念舞台挨拶。
まず冒頭の挨拶では、主人公・阿南惟幾陸相を演じた役所は「本当にめでたいですね!おそらく中高年の方が劇場に来ているんだろうなと思っていましたが、若い世代の方々にもたくさんこの映画を見てくださっているとの事で、本当によかったです」。そして原田監督は「こういう大人の考えさせられる映画が100万人を突破するのは難しいんですよね。ですから、またこうやってみなさんと舞台挨拶という場でお会いすることができて、幸せに思っております」と語り、ここからご来場のお客様からとの質疑応答へ。

ご来場のお客様からの質疑応答

Q:原田監督の作品では、これまで「戦後」や「戦後の影響」をテーマに描いてきたように思いますが、今回、戦争の混乱そのものを描こうと思ったきっかけはなんですか? (男性より)
監督 「僕自身は戦争映画を観て育って、戦争の悲惨さ、正義とは何かというのを、一つの国にとらわれずに見ることができた。戦争映画がなぜ良かったかというと、人間のドラマとしての究極の状況ですよね。極限の状況に置かれた人間がどういう美しいことを示すのか、どういう美しくない行為を示すのかと。今回『日本のいちばん長い日』でいうと、(本作映画の参考となった)半藤先生の著書「聖断」にある、昭和天皇の最後の聖断に至るまでのプロセスに惹かれたのと、阿南陸相の最後の美しい行為、そういった部分をどうしても自分自身の手でやりたいと思ったのが、今回の映画化するに至った一つの要素ですね」
役所 「戦争映画について原田監督はすごく詳しいので、前から色々な戦争映画について聞いてました。監督はお金があれば、いくらでも戦争映画を撮ると思います(笑)」

Q:戦後、昭和天皇の姿をストレートに描くというのはタブーだったと思うのですが、演出上、気をつけたことは?(男性より)
監督 「2006年に公開された映画『太陽』から、天皇をこのように描いていいんだなと思い、あそこから(天皇を描くことについて)自由になった気がしました。僕自身は今回、昭和天皇に敬意をもって主役の一人として描きたいと思いました。ただ、皇族の周辺に関しては、半藤先生の原作でもはっきりと書かれず、昭和天皇と貞明皇太后との関係や、なぜ聖断が遅れたのかなど面白いものがあるのですが、ある意味で自主規制をかけ、この映画では描いていません。昭和天皇に関して規制をすることはありませんでしたが、その周辺に関しては規制をかけました」

Q:青年将校たちのキビキビした姿に感動しました!(女性より)
役所 「撮影中に若い青年将校役の俳優たちの所作をみて、自分が演じていた役とは別の意味で美しいなと、ものすごく感動を受けました。戦争を知らない自分ですけども、阿南という役をつくるのに青年将校たちは大事でした」
監督 「1967年の岡本喜八監督版の映画『日本のいちばん長い日』では、若い畑中陸軍少佐は狂気的なキャラクターとして描いていて、当時、遺族たちはものすごく反発をしていたのですが、今回の畑中の人物像に対しては実際にこういう人物だったと言っていただけましたね。やはり人間ドラマですからね。決起をする将校たちにしても、今回は人間像というのが描けていたかなと思います」

中学生からシニアまで幅広い客層が劇場を訪れた本舞台挨拶。質疑応答では、玉音放送を幼いころに実際に聞いたという70代の男性が「この機会に観られて本当によかった」と感慨深げに作品を振り返り、当時を知っている方でも「知らないことばかりで驚いた。知ることができてよかった」などの熱い感想も述べられました。

そして最後の挨拶では、役所は「おかげさまで100万人を突破しましたが、この映画はひとりでもたくさんの方に観て頂いて、語り継いでいただきたい作品です。どうもありがとうございました」とコメント。
監督は「この映画はいま香港の5館で上映していて、評論家達はすごく褒めてくださっているようです。来月はシカゴの映画祭で、その後はハワイで上映されます。英語のウィキペディアのページでは、昭和天皇についてあることないこと事実が捻じ曲げられて語られていますが、昭和天皇が全面に出ているということで、今度はアメリカ本土の反応も含めて世界にもこの映画が拡がって、またその評判が日本にも拡がって、DVDの売上も含めて作品を観て頂いて、今度は200万人突破を目差してこれからも頑張って行きたいと思います。よろしくお願いします」と本作の更なる飛躍に向け熱く訴えかけた。