◆質疑応答内容

Q:生で歌を収録したことについて。

ヒュー:困難よりも良さのほうが上回っていました。
生で歌えたことは、言ってみれば毎日生の舞台に立ってオープニングナイト(初日)を迎えているような気分でした。
帰って就寝するときには、きっとこの歌を歌うことは二度とないんだろうという特別な思いで、いつも撮影に臨めました。
オープニングナイトだけでなく千秋楽とも感じられ、よりよく自由に演じることができました。
生で歌うことを可能にするためにリハーサルも2ヶ月以上十分にとってあり、素材を熟知することもできました。
大変なこともありました。午前8時から夜8時まで歌い続けたり、マイナス2度の山の上で歌わないといけないときもありましたが、常に、この映画を実現してくださった監督に大変感謝しています。

Q:なぜそんなに歌が上手なんですか?秘密があったら教えてください。

アン:ありがとう!歌うというのは母に教わったものでもあります。とても美しい声を持っている母は実は『レ・ミゼラブル』アメリカの最初のナショナルツアーで、アンダースタディでファンテーヌを演じたこともあるんです。
ですから、歌うことは自己表現のひとつとして思っていましたし、小さいころから大好きでした。
ボイストレーニングは10年ほど続けていて、それだけに今回『レ・ミゼラブル』で歌う機会をいただけたことは自分は何年間も予習をしてきたんだなという思いがしました。こういう作品に出るときは朝起きて寝るまで歌のレッスンは必要ですし、同時にスタミナもつけないといけないですね。

アマンダ:『アニー』のオーディションを受けるために歌の勉強をはじめまして、11歳〜17歳まで歌のレッスンを続けてきました。俳優業が忙しくなったこともあり途中でやめてしまいましたが、『マンマ・ミーア!』でまた始めました。そのときはABBAの曲を楽しんで歌ったという記憶があります。
本格的に歌のレッスンを再開したのは、この映画のオーディションのためですね。
私にとって歌は一生の趣味であり、歌い続けていきたいです。

ヒュー:20年前、もともと私は舞台俳優として仕事をはじめました。演劇学校を出たばかりだったんですが、『美女と野獣』のオーディションを受け、“STARS”を歌いました。そのときに「間違っても君はその舞台に出ることはないだろう」
と言われました(笑)。そのあと歌のコーチをつけたほうがいいと言われ、マーティン・フロストという方を紹介されました。
彼の歌があまりにも素晴らしかったので、彼の歌い方を5年ほど真似していました(笑)。
今はアンと同じボイスレッスンを受けていて、長いこと歌の訓練は続けています。

マッキントッシュ:今のヒューの言葉に付け加えさせていただくと、『レ・ミゼラブル』シドニー公演の際に、ヒューは雇わなかったのですが、歌のコーチのマーティン・フロストは雇いました(笑)。

※アンが記者にマイクを渡すという、優しいハプニング!

Q:配役の決め手は?

監督:私のジャン・バルジャンの候補リストはとても短くて、一人しか名前が挙がっていませんでした。
それはヒュー・ジャックマンでした。(会場より大拍手)
もしヒューがいなかったら、今この時期にこの映画を作らなかったと思います。(さらに大拍手)
映画スターで歌えて演技がきちんと出来る人、ジャン・バルジャンの思いやり、精神性を持っていて人格者で…この人を置いてバルジャンは考えられないと思います。
ヒューのオーディションをしたのが、去年の5月でNYでした。
そのときは本当にエキサイティングでした。彼が自然にパワフルに歌っているのを聞いて、この映画の方向性を決めました。歌うことによって新しいヒュー・ジャックマン像を皆さんにご覧いただけると思っています。

アンもNYでオーディションをしました。ファンテーヌはありとあらゆる映画スターが欲していた役です。
“I Dreamed a Dream”を歌ってくださったとき、吹っ飛びました!
この役は彼女しかいないと思いました。彼女が見せてくれたのは、歌でファンテーヌを表現すること。
物語を語れる女優さんです!

コゼットには世界一美しい映画スターを探したいと思って、ここにお座りでございます(笑)。
(ここでアンとヒューから「なんだって?(笑)」とツッコミ)
いや、最も美しいブロンドの映画スターでした(苦笑)。
真面目な話をすると、アマンダはコゼットに必要なものをすべて持っていました。
明確な強さを秘め、強靭な知性を持っていて、加えて母性というものがこの役には必要でした。
そして彼女は天使の声をお持ちです!

Q.役が決まったとき、どう思われましたか?

アマンダ:興奮しました。心待ちにしていたお返事がいただけたのは
クリスマスの3日前でした。最高のクリスマスプレゼントでした!

ヒュー:スバラシイ!

アン:ここで監督のことを褒めちぎろうと思っていたんですが、さきほど最高に美しい映画スターをアマンダとおっしゃいましたので、もう私にとっては知らない人だわ(笑)。
いつもは役をいただいたときは喜びでいっぱいで駆け回りたいぐらいなんですが、この役は違ったんです。自分の夢が叶ったという思いが強すぎて、そういう表現をすることもできなかったのです。人生において本当に重要なことが起こったとき、私は静かに心に触れる、心に染み込んでくるみたいです。
時間が流れて今日になっても役が決まったときの喜びが続いています!
本当に自分はなんて幸運なんだろう、人生は捨てたものではないという思いです。

※2500人の観客から来日ゲストに向けて「民衆の歌」の合唱プレゼント。

MC:それでは最後に日本の皆さんにメッセージをお願いします。

ヒュー:アリガトウゴザイマス!スバラシイ!(日本語)
ここにいる来日ゲストを代表して、日本のみなさんにお礼を申し上げます。
日本でとても愛されている『レ・ミゼラブル』という作品を、私たちが映画としてお届けするというのも意義があるものだと思っています。
みなさんと共有できることをうれしく思います。日本にまた来ることができてうれしいです。
(日本語で)スバラシイ!