第12回ソフィア映画祭最優秀ブルガリア映画賞&観客賞のダブル受賞をはじめ、第3回チューリヒ映画祭 観客賞、第28回ゴールデン・ローズ映画祭 最優秀脚本賞、最優秀撮影賞など、数々の映画賞を受賞した感動作、『さあ帰ろう、ペダルをこいで』が、5/12(土)よりシネマート新宿、5/19(土)よりシネマート心斎橋ほかにて公開致します。

本作には物語の鍵を握る重要なアイテムとして、「バックギャモン」が登場し、天から与えられる“運”、自らの実力で切り拓いていく“人生”を象徴しています。
この度公開を記念し、プロバックギャモンプレイヤーで、2011年世界ランク1位の望月正行さんをゲストに迎えての、ミニ試写会付きトークショー&バックギャモン体験イベントを実施致しました。
初心者も経験者も一緒になって夢中でゲームに興じ、世界チャンピオンの望月さんが初心者との対決に負けてしまうという驚きの場面も。
連休初日のお昼、お酒も振舞われて大人が夢中になったゲーム大会になりました。

ドロッセルマイヤーズ×映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』プレゼンツ 
グランドファーザーズ・バックギャモンパーティ

・日時: 4/28(土)13:00〜16:30
・会場: Tokyo Family Restaurant内「playroom」

◆イベント内容
・映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』のご紹介&プチ試写会
・バックギャモン世界チャンピオン望月正行さんによるトーク
(聞き手:ボードゲーム店ドロッセルマイヤーズ店主・渡辺範明さん)
・バックギャモン体験

以上の三部構成

◆登壇者:望月正行(プロバックギャモンプレイヤー)
1979年生まれ。遊戯人口が世界で3億人と言われるバックギャモンで、
98年にプロになり、09年に世界チャンピオンとなる。
11年の世界ランキング1位。12年ヨーロッパチャンピオン。共著に『バックギャモンブック』。

望月正行さん(以下、望月)
バックギャモンって時々映画に登場するのですが、「有り得ないだろう!」と言いたくなるような局面が劇中で繰り広げられていたり、大抵扱われ方が雑なんです。演出家も小道具のスタッフもきっとバックギャモンを知らないのだろう、 と言うのが透けて見えるわけです。
でもこの作品は監督のバックギャモンへの愛が感じられます。盤面も正確ですし、劇中、バックギャモンを通して祖父から孫に語られている人生訓が、プレイヤーとして非常に共感できます。

MC
この映画は主人公がスポ根的にどんどんバックギャモンに強くなっていく映画ではなく、何かに勝ち抜いていく訳でもありませんが、他に置き換えられない重要なアイテムとして、ポイントとなるところに必ずバックギャモンが登場します。
望月さんが仰る通り、バックギャモンが持っている世界観や人生訓が語られていますよね。
冒頭で車が事故で横転するシーンも、転がるサイコロを表現されていたり。
子供が生まれるシーンも、サイコロを振るようにこの世に「投げ込まれる」という意味を表しているかと思います。生死がサイコロで例えられているなど、奥深い見方が出来る作品ですよね。

望月
一番印象に残っているのが、孫のサシェが最後にサイコロを振るシーンです。
全てやり尽くして後は運命に身を任せるだけ、という状況になった時、サシェが本当にきれいな瞳をしているんです。
同じことを実は僕も経験したことがあって、初めて大きな大会に出たとき、連日対戦し続けて、決勝戦での最後の一振りという瞬間があったのですが、意外なほどに澄み切った感覚を味わったんです。
もっと感情が昂ぶったり、恐れたりするものだと思っていたのですが、勝つにしても負けるにしてもどちらでも構わない、戦い続けた人だけに許される祈りの心境になりました。後にも先にもあの感覚は体験していませんけど、サシェもきっと同じような感覚で臨んでいると思います。「ここまで映画で描けるのか」と感心しました。

トーク後に行われたバックギャモン体験コーナーでは、
敵陣地から自分の陣地にコマを“帰って来させる”というバックギャモンのルールそのものが本作で語られている“故郷に帰る旅”というテーマに実は深くリンクしているなど、映画との関連性が新たに発見され、納得した客席からは、「おぉ〜!なるほど!」という歓声が上がっていました。