第64回カンヌ国際映画祭便り【CANNES2011】6
映画祭4日目の14日(土)。“コンペティション”部門では、イスラエル映画『フットノート』とオーストリア映画『ミヒャエル』が公式上映(監督はともにカンヌ初参加)。特別上映部門ではハリウッドの人気シリーズ最新作『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』が登場。“ある視点”部門ではチリのクリスチャン・ヒメネス監督の『ボンサイ』などが上映。また、“カンヌクラシック”部門では審査委員長のロバート・デ・ニーロにオマージュを捧げ、彼が1993年に初監督した『ブロンクス物語』が上映され、深夜には恒例の花火大会も行われた。
ヨセフ・シダー監督の『フットノート』はエルサレムの学者親子のライバル意識と確執を遊び心ある映像でユーモラスに描いた作品。『ミヒャエル』は、2009年のパルムドール受賞作『白いリボン』(ミヒャエル・ハネケ監督)のキャスティング・ディレクターを務めたマルクス・シュラインツアーの監督デビュー作で、中年の小児性愛者とその犠牲となって監禁された少年の日常をまるでホームドラマのように淡々と描いた確信犯的作品。日本発祥の“盆栽”を題名とする『ボンサイ』は、チリの作家アレハンドロ・サンブラの同名小説を映画化したビターな青春映画で、昨年の東京国際映画祭のコンペティションに『見まがう人たち』を出品したクリスチャン・ヒメネス監督の第2作目である。
◆豪華キャストの『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』の公式記者会見場前は黒山の人だかりに!
13時から開始された『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』の公式記者会見には予想通り報道陣が殺到。入場できなかった記者たち(カンヌ映画祭の報道陣には歴然たるヒエラルキーがあり、色分けされたバッチによって入場等の優先順位が異なる)の怨嗟の声であふれかえる事態となった。登壇者は、ロブ・マーシャル監督、ジョニー・デップ(キャプテン・ジャック・スパロウ役)、ペネロペ・クルス(海賊アンジェリカ役)、ジェフリー・ラッシュ(バルボッサ役)、イアン・マクシェーン(海賊“黒ひげ”役)、サム・クラフリン(宣教師フィリップ役)、アストリッド・ベルジュ=フリスベ(人魚シレーナ役)、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーの総勢8名。
ジャック・スパロウ船長の役作りについて問われたジョニー・デップは「僕はキャプテン・ジャックを18世紀のロックスター、すなわちキース・リチャーズとスカンクのペペラ・ピューの間のような存在だとみなしているからね(笑)。つまり“スカンク(信用できないやつの)”なんだよ。とてもロマンチックなスカンクというわけさ」とコメント。また、家族の反応に関しては「うちの家族は僕の出演作を僕よりも何度も観ているんだ。子供たちの反応を見れば、自分がうまく演じたかどうかが直ぐわかるのさ。今まで、子供からダメ出しは出てないよ」と語り、会場を湧かせた。
女海賊役で新たにシリーズのキャストに加わり、運動神経抜群なダンサーだと監督から讃えられたペネロペ・クルスは、妹のモニカが彼女のボディダブルを担当したことを披瀝。「モニカは素晴らしいダンサーで、剣の扱いもうまいのよ」と、妹の協力に感謝した。監督のロブ・マーシャルによれば「撮影最後の1週間、モニカに手伝ってくれって頼んで、ワイドショットなどを撮影したんだ。なので、シルエットが違ってたりする(笑)」とのことで、人気スターだけでなくベテラン俳優、さらには新進俳優たちにも様々な質問が飛び交う賑やかな記者会見となった。
(Report:Y. KIKKA)