映画『恐怖』KYOFU BARファイナル イベント/Jホラーの監督よりコメントが届きました!
『リング』『呪怨』などを手掛けた一瀬隆重プロデューサーと数々のJホラーの脚本を手がけてきた、高橋洋監督が、Jホラーシアター完結編として話題の『恐怖』。6月14日(月)よりOPENしたUSTREAM上の”恐怖バー”。高橋洋を店主に据え、柳下毅一郎、佐々木浩久、黒沢清などホラー映画を語らせたらうるさ型のお人を向かえ、ここでしか聞けないトークを繰り広げてきました。ファイナルトークの7月5日(月)は場所を新宿ロフトプラスワンに移し、今年の日本冒険小説協会賞を「ダイナー」で受賞した作家の平山夢明、『呪怨』の清水崇監督、『予言』の鶴田法男監督、主演女優の藤井美菜他豪華ゲストを迎え、締めくくられました。当日は2部構成でホラー談義を行い、ゲスト・観客共に大きな盛り上がりを見せました。
第1部は『恐怖』主演の藤井美菜をゲストに迎え、高橋監督と司会の柳下毅一郎と映画『恐怖』のキャスティングについての話題で盛り上がりました。
高橋監督は「以前、テレビで彼女がバランスボールに乗りながら”三毛猫にはなぜオスが少ないか?”というクイズに答えていた。そのときから面白い子だと思っていた。」対する藤井は「オーディションのとき普通の監督は、いろんな質問をしてくるのに、高橋監督の場合は、映画の内容や役柄について延々と1人で話していたので、大丈夫かな?と思っていました。」
藤井美菜退場後、作家の平山夢明氏が参加。映画『恐怖』のテーマの一つである<脳>の話で、盛り上がりました。過去に実際に行われた脳実験で、被験者が自分が全く忘れていたことを脳を刺激することによって記憶が蘇ったことを受けて、平山氏は「受験生には朗報だね」といって、客を笑わせる場面も。
第2部はホラーを深く知る一瀬隆重プロデューサー、映画監督の鶴田法男、清水崇、佐々木浩久、といった<Jホラー>を牽引した面々と平山夢明がゲストとして登場。Jホラーとは何だったのか?これからのJホラーは?といった内容を深く話し合った。
一瀬プロデューサーは、Jホラーシアターシリーズをつくろうと思ったのはなぜか?と聞かれ
「『リング』『呪怨』のあと、海外で売れる日本のホラー映画をつくろうとしたところ、6本まとめて買ってくれる会社があったのがきっかけで始まった。」と答えた。
鶴田監督は、スプラッターとは違う、Jホラーという新しい表現を思いついたのはいつ?と聞かれ、「80年代中ごろは『13日の金曜日』『エルム街の悪夢』などのスプラッター作品が日本でもたくさん出ていたが、スプラッター以外でも怖い映画は作られるんじゃないかサラリーマンのころ思っていた。たまたま「本当にあった怖い話」のコミックと出会い、映像化したら面白いんじゃないかと考えたのがきっかけ。」 と回答。
佐々木監督は第一部で見せた猿の実験映像に触れ、「あの映像を役者にみせてどうするの?ベテラン俳優に見せなくて良かった。」と述べ観客の笑いを取った。
また清水監督が映画美学校の生徒時代に製作した『呪怨』の原型ともいえる3分間の貴重な映像作品を上映し、『呪怨』の怖さの表現について聞かれると「高橋監督や鶴田監督とは一回り年代が下で、目標としてきた人々がやってきた怖い表現のルールを破ってやろうと作った。」 と語り、また模倣された(?)『リング』韓国版と『呪怨2』の裏話に、場は大いに盛り上がりをみせた。
最後に、これからのJホラーはどうなるのか?について高橋洋監督は語った。
「ホラーはやりつくされてしまった感じはするが、まだまだ開拓できるところはある。まずは、今回の『恐怖』で取り上げた”脳”などは、まだまだ解明されないことばかりなので、これから題材として使っていきたいと考えている。」
下記、ホラー映画を語る上でははずせない監督たちよりコメントを頂きました。
TVから這い出る貞子…
映画「リング」で、原作や国境を越え、世界中に這いずり出してしまった、”あの恐怖のトラウマ描写”を生み落とした”映画界の死神博士”こと高橋洋氏。
僕にとって”呪いの師匠”でもある氏が、
ついに自らの手で、その脳内の深淵に秘め続けていた”闇の世界”の封印を解いてしまった…!
思えば約10年前、僕はこんな闇の申し子の元で脚本の手ほどきを受けていたのか…
「恐怖」を観て…否、魅せつけられて、自分はまだその淵際に佇んでいる子供に過ぎない…と少し安心さえ感じてしまった。
この人は、この映画は、一体どこへ逝ってしまうのだろう?…そら怖ろしい…
清水崇監督『輪廻』
これがホラーだ!血塗られた1本のフィルムから蘇る邪悪な霊!背筋が凍り、我々の脳髄を破壊し尽くす戦慄の女神ここに降臨!「怖さ」が違うこれが真のホラー映画だ!
佐々木浩久監督『血を吸う宇宙』
今まで私を含めた監督たちのオブラートに包まれてきた高橋洋の剥き出しの恐怖がここにある。まさにJホラーシアターの最後を飾るに相応しい作品。
鶴田法男監督『予言』
「イングロリアス・バスターズ」は劇中の映画でナチを殺すが、「恐怖」は我々見る者までを殺そうとする。狂度最凶!
白石晃士監督『ノロイ』
(順不同・敬称略)