フランス・ベルギーの合作社会派のリアルドラマがやってきた。

『ジョニー・マッド・ドッグ』が上映され、上映後に、マルク・コナンクス撮影監督が登壇した。

リベリア元少年兵を起用し、過酷な内戦に翻弄される少年達をリアルに描いた衝撃作。

不条理な戦争で荒廃した現代のアフリカ。15歳の少年兵ジョニーは子供らしい生活とは無縁で、全身武装し、「猛犬」になるという思いにとり憑かれている。ジョニーはコマンド部隊の仲間とともに、道で出会う人間たちから無差別に強盗し、殺害していく。一方13歳の少女ラオコレは、少年兵たちから村を追われ、手押し車に傷ついた父親を乗せ、8歳の弟フォフォを連れて逃げのびようとするが……。

まず、来日できなかったジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督から「映画を観て辛いなと思うかもしれないが、現実を反映している映画です。」とのメッセージが伝えられ、続いてそしてマルク・コナンクス氏が質問に応じてくれた。

〜Q&A〜

Q:キャスティングについて。

-A:監督が1年かけてストリートチルドレンを見て、選びました。そしてオーディションで500人から20人に絞り込みました。読み書き出来ない子達が多く、キャスティングを変えざるをえない状況もありました。

Q:出演している子達の大半は、やはり”人を殺す”など戦争を経験している子達ですか??。

-A:ジョニーマッドドッグ役の子と同い年の年齢の高い17・18歳の子達は、実際に人を殺している子達もいます。そして14歳ぐらいの子達は、幼いながらも食料を運ぶなど、サポート役をし、実際に戦争を経験しています。更に年齢の低い子は、小さ過ぎる為、殺すなどの経験はないが、日々の糧を探す毎日だったと思います。

ですが、この事は”リベリア”だけの問題ではない。そして良い扱いをうけてない。女はレイプをされたり、男は薬物を使って、戦いに行かせたりしていたそうです。

この作品の原作(エマニュエル・ドンガラの同名小説)ではコンゴの状況を扱っている為、コンゴでの撮影も考えたりもしたが、撮影許可がおりませんでした。この映画は2005年から撮影が始まったのですが、リベリアでやっと許可がおり、撮影を開始する事ができました。その当時新しい女性の大統領が決まったばかりで、彼女もリベリアが内紛を終え、いかに変わったか世界に教えたかったんだと思います。
しかし、今もビルマなどで30万人の少年兵が活動しています。
よりリアルさを出す為にも、かつて少年兵だった子達で演技を撮りたかった。

撮影では”プラスチック”でできた銃を使ったのですが、果たして現実に肉薄する映像が撮れるか不安でした。よりリアルさを出す為に、銃の上から粉をかけるなど、工夫しました。
用意された銃を見て、子ども達は怯えていました。筋肉が盛り上がり、緊張したようになり、目の奥に恐怖がにじみ出ていました。

Q:撮影をする際、子ども達は順調にこなしていきましたか。

A:とても難しかったです。最初はその場で喧嘩する子もいたりして、私達が仲裁に入らなければならない時もありました。しかし、撮影をこなしていくうちに、だんだんと分かって来たようで、言う事を聞いてくれるようになっていきました。

撮影は終わったが、それで終わりではなく、子ども達の為に、基金を作り、彼らの通学や、就職を支援しているという。

(Report:長島美秋)