第21回東京国際映画祭コンペティション部門『コトバのない冬』は、俳優・渡部篤郎の長編初監督作品となるシンプルで美しく、哀しいある冬におきた物語を描いた映画。その渡部監督と主演女優の高岡早紀をお迎えして、舞台挨拶と公開記者会見が行われました。

■ 日付 10月19日(日)
■ 舞台挨拶 10:30〜 (TOHOシネマズ六本木ヒルズ Screen 2)
■ 記者会見 11:10〜 (ムービーカフェ)
■ 登壇者 渡部篤郎(監督)、高岡早紀(女優)

高岡:こんにちは。本日は、朝早くからお越しいただいてどうもありがとうございます。東京国際映画祭に参加させていただくのは、今回が初めてです。今年はエコということでグリーンカーペットを歩かせていただいたり、そしてパーティにも参加させていただいたのですが、本当に華やかで、驚いてしまうくらいでした。この『コトバのない冬』の撮影時には、このような華やかな席にお招きいただけることとは程遠い環境だったので、大変嬉しく思います。ありがとうございます。

渡部監督:おはようございます。監督の渡部篤郎です。本日は、朝早くからお越しいただき心より感謝しております。この作品には、ものすごく大きなストーリー展開もすごく強いメッセージもございません。普通に生きていることが、とても素晴らしくて美しいことで、何気ない日常にも一人ひとりにはドラマがあって、その瞬間といいますか時を集合させた作品です。気持ちで見ていただける内容であればと思います。

質問:冬の北海道での撮影を振り返って、思い出すことは?
高岡:冬の北海道は初めてだったので、寒いとは聞いていたものの、どれくらい寒いか全く想像がつかなかったんです。でも本当に寒くて、あのポスターの表情・・・本当に寒いんですよ! 何枚も重ね着しても足りないくらいお洋服を着ていました。泊まっていた宿に温泉があったので、温泉に入れる喜びと、それから北海道は本当に美味しいですね。そして、素敵な北海道の景色に触れることもできました。渡部さんが集めるキャストやスタッフがステキな方たちばかりで、寒さを抜かしたら楽しいことばかりでした!

質問:役者仲間、同業者である渡部さんが監督されるということで、やりやすさ、やりにくさはありましたか?
高岡: 渡部さんとは、私が18歳くらいの時からの知り合いで、その頃から何本かご一緒させていただいています。ただ、同業者であっても監督をなさる時は監督なので、また今回渡部さんは俳優としても出ていらっしゃるのですが、俳優の渡部さんと監督さん側にまわった時の渡部さんに対する私の反応は、言葉づかいもちょっと違ったりもしたと思います。
どんな方であっても監督さんは監督さんなので、やりやすい・やりやすくないというのは、難しい質問だと思います。俳優さんが監督をやられている作品には、他にもださせていただいているのですが、女優・俳優の心理を良くわかってらっしゃるので、ご親切で、困ることがなく、ありがたいな、暖かいなと思うばかりです。

質問:自身で監督しようと思った理由は?
渡部監督:自分が撮るということにそんなに大きな意味はありません。ストーリーを思いついた人が撮ればいいのだと思います。5年くらい前からずっとやりたいと思っていて、いいタイミングがあって勢いでいけました。撮影期間は3週間くらいでした。高岡さんは、お芝居の空気感を色々なかたちにしてくれて、波動感が素晴らし女優です。彼女をはじめとする素晴らしいキャストと大変優秀なスタッフに支えられて、「コトバのない冬」を完成させることができました。