埼玉県内で4サイトの映画館<シネマコンプレックス>を運営するユナイテッド・シネマと、トップクリエイターの輩出を目指すSKIPシティとのコラボレーション企画として、「ご当地映画」と「観客10万人動員」をキーワードにしたトーク・イベントが、24日彩の国ビジュアルプラザ・HDスタジオにおいて3時間以上にわたって繰り広げられた。

冒頭、平井健一郎(株式会社スキップシティ)が、「ご当地映画」についてと観客10万人動員がインディペンデント映画の一つのリクープライン(出資金の回収ライン)であるという根拠を、製作委員会の事業スキームを例に挙げて説明した。

田部井悟氏(ユナイテッド・シネマ株式会社 理事 マーケティング部部長)は、日本における映画興行とシネコンの現状を説明し、「映画ファン、映画館ファンを増やすことが課題だ」と語った。現在ユナイテッド・シネマは、地元密着型の映画館運営を目指し、ご当地映画製作に結びつくプロットを募集する「Cinema Plot Competition」(シネマ・プロット・コンペティション)を主催している。審査員として関わる川端基夫氏(株式会社モブキャスト取締役、映像グループ・チーフプロデューサー)は、「映画を撮るチャンスのない若者に映画作りの足がかりになれば」と語った。

2003年2月の開設当初よりSKIPシティと関わりの深い本木克英監督は、映画『釣りバカ日誌』シリーズ等、ご当地映画を監督している。「ご当地映画もご当地のみに留まらず、全国展開されていく映画でなければいけない。若手監督が全国に発信する映画を作るには、自分の世界観を観客に共鳴させていくことが大切だと感じる。」と熱いまなざしで語った。

プログラムの終盤は平井が司会となり、本木監督、川端氏、田部井氏でディスカッションが行われた。ご当地映画がヒットする要因は何かという質問に3名はこのように答えている。
本木監督「ご当地映画というくくり方かはわかりませんが、作品が普遍的なドラマであることですね。」
田部井さん「とにかく地元の人を巻き込むことですね。特にメディアにその映画を取り上げてもらい、(多数のメディアを目にした)市民に映画が刷り込まれることによって、映画館に足を運んでもらう・・・今までやってきてそれが大事だと感じました。」
川端さん「どこの地域の人が見ても面白い映画が大前提だと思います。」
観客の嗜好も多岐に渡る現在、映画館の運営、シネマコンテンツのあり方が大きく変化しようとしている。SKIPシティ×ユナイテッド・シネマ「Cinema Plot Competition 2008」フォーラムは、ご当地映画と観客10万人動員に向けたアプローチを様々な視点で語り合う刺激的なプログラムとなった。

(Report:Hiromi Kato)