3月22日(土)に公開される筧昌也監督劇場デビュー作品『Sweet Rain 死神の精度』を記念して、テアトル新宿にて3月7日に筧監督と石田卓也のトークショーが行われ、司会は映画評論家の森直人がつとめた。この日は3月1日から行われていた筧監督特集上映の最終日であり、フジテレビでドラマ化する「ロス・タイム・ライフ」など傑作ショートフィルム群を見た後の観客たちは、満足げに3人を迎えた。

■筧昌也監督コメント
この映画は死神がある人間にくっついて、話をして、生かすか死なせるかを決めるというのが大筋。『死神の精度』は最初、プロデューサーさんが気に入ってやってみたいならと薦めてくれた作品でした。自分的には日本映画でファンタジーというものがそんなにないと思い、やってみることにしたのがきっかけです。ジャンルから入っていった作品ですね。今までの映画、例えば『美女缶』や「ロス・タイム・ライフ」なんかは「死」をテーマにした作品が多かったから、そのテーマを引きずったと考えられているかもしれないけれど、『死神の精度』も偶然そんなテーマでした。
脚本を書いていた時は、あまり大きな作品だという認識はなくって、何部かに分かれている話でもあるし、それにアクションやファンタジー表現としてのCGが付いたりして豪華になっていった感じ。ヤクザもののシーンがあって、普段女性はそういうシーンが得意ではないかもしれないけれど、試写で見た女性は割とそのシーンが気に入っていたみたいです。僕がそういうシーンを撮ると、斬った貼ったって感じじゃなくなんかソフトになるみたいで。
脚本は1年半くらいかけて書いたのでイメージ通り撮影したいなと思っていた。自分にとっては、初めての長編映画であり、初めての小説の映像化だった、そして更にファンタジーの難しさを感じました。青春映画みたいな日常の手前にあるものだったりしたら、ふっと簡単に入っていけたのかもしれないけれど、ファンタジーには脚本書きのルールがあって、そのルールを見つけ出すのに時間がかかりましたね。

■石田卓也コメント
筧監督の作品はDVDで結構見たのですが、『美女缶』や「ロス・タイム・ライフ」にしても発想が面白いなと思っていました。なかなか自分では考え付かないようなものばかりですね。
現場での筧監督は演技について質問すると、監督自ら即興的に演技して教えてくれるので、ニュアンスが伝わってきてわかりやすかったですね。(共演した)金城武さんは、いつも演技のアイディアを話してくれ、どんな風にしたら伝わりやすいかなども教えてくれて、とても勉強になりました。

(Report:Nori KONDO)