観る者の疲れた心を癒し、静かに感動を与える話題作『トンマッコルへようこそ』の来日記者会見が都内で行なわれ、シン・ハギュンさん、チョン・ジェヨンさん、カン・ヘジョンさん、そしてパク・クァンヒョン監督が本作についての話を聞かせてくれた。

トンマッコル—”子供のように純粋な村”。本作は誰もが訪れたいと思うような村、トンマッコルで繰り広げられる笑いと涙のヒューーマン・エンタテインメント。元々はチャン・ジン監督の舞台劇だったものを、初監督作品としてパク監督が映画化したもの。すでに韓国では6人に1人が観るという大ヒットを記録し、数々の映画賞を総ナメにしているという話題の映画だ。
「撮影当初は大変で、日本にまで公開できるとは想像もつかなかった」と言う監督は、この映画で反戦メッセージを強く訴えたそうだ。「戦争は本当に大切なものや愛すべきものを一気に奪ってしまうもの、という警告を発しました。そうすることでより美しく、純粋なものとして見てもらえると思いました。」それにしても本作の舞台となるトンマッコルの村のセットはかなり大規模なもの。「舞台では小さな村でしたが、台本を読んだ時に頭に浮かんだのは見たことのないような神秘的な空間だったんです。そうであってほしかったんです。セットは確かに大規模だったので、製作費集めは大変でしたが、そこにはあくまでも固執し続けました。」と監督は想いを語った。

舞台にも映画にも出演されたチョン・ジェヨンさんとシン・ハギュンさんは、舞台との違いは表現方法だと語った。「舞台で私が演じたのは映画の役とは異なり、舞台だけにある解説者兼ナレーションでした。スクリーンではキャラクターの内側を強く打ち出しました。」とチョンさん。

また、この映画の音楽をジブリなどの映画音楽で有名な久石譲さんが担当したことでも注目を集めているが、久石さんの指名について監督は「実は久石さんの音楽を聴きながらシナリオを書いていました。彼の音楽は私にインスピレーションを与えてくれてたんです。完成した時には同じような音楽が作れる人を韓国で探したのですが、見つからなかったのでダメもとで思い切って久石さんにお願いしたんです。お互いの気持ちを確認しながら作っていったのですが、とても楽しんでくれてました。」

物語のヒロイン、精霊のようなヨイルを演じたカン・ヘジョンさんは、まさにピッタリなかわいらしい女優さん。そんなカンさんのキャスティングについて、監督はCM撮影現場で休憩中の彼女の姿を見て決めたのだと言う。「普通の人とは思えないような行動をしてたんです(笑)。ピッタリだと思いましたね。彼女から子供の頃の話を聞いたりして、是非やって欲しいと思いました。」と監督。それに対してカンさんは「監督が撮影前に話していた通りのものが出来ました。私は監督に”ヨイルは頭がおかしいの?それとも純粋すぎるの?”と聞いたりしましたが、それも慎重に選んだ方が演技ができると思ったからです。演じる時はいろいろな考えを捨てて、前向きな考えだけをもつように努力しました。」

心惹かれる景色と物語が見事に調和している『トンマッコルへようこそ』。
疲れたらちょっと立ち止まって。暖かい人たちが住む村、トンマッコルを訪れてみてください。
(umemoto)