黒木和雄監督を偲んで『紙屋悦子の青春』 原田知世、永瀬正敏ほか完成披露試写舞台挨拶
今年4月12日に巨匠・黒木和雄監督が急逝してからちょうど三ヶ月後となる7月12日夜、遺作となった『紙屋悦子の青春』の完成披露試写会で開催され、出演4名による舞台挨拶が行われた。
ヒロイン・悦子役の原田知世さんは、どのシーンも大切で思い出深く、愛おしく感じられると語り、悦子に一目惚れする永与少尉を演じた永瀬正敏さんは『(監督は)ユーモアにあふれていられました。昭和の人間をやるにあたって緊張の連続でした』と話した。悦子が密かに思いを寄せる明石少尉役の松岡俊介さんは『黒木監督の特徴のあるかけ声が記憶に残ります。御冥福をお祈りいたします』と故人を偲ぶコメント。悦子の兄(小林薫)の妻・ふさを演じた本上まなみさんは、『一人でも多くの方に見ていただけたら』と観客に向けメッセージを贈った。
太平洋戦争末期の鹿児島の日常生活をリアルに描いた今作品は、岸田國士戯曲賞などを受賞した劇作家松田正隆による戯曲の完全映画化。黒木監督が撮影前に語った「人生の在り処を描きたいんです」という言葉を受け、スタッフ・出演者が大切に紡ぎ上げ、完成度の高いものに仕上がった。忘れてはならない戦争の記憶は、61年の時を経て私達の脳裏に鮮烈に蘇える。
(m.nibe)
『紙屋悦子の青春』 8/12より、岩波ホールほか、全国順次ロードショー
監督:黒木和雄 出演:原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本上まなみ、小林薫
配給:パル企画