イラクの日本人人質事件を題材にした問題作『バッシング』初日舞台挨拶!
2004年にイラクで起こった日本人人質事件を題材に、帰国した女性が周りの人間からバッシングを受けながらも自らの強い意志である決心をするまでを描いた『バッシング』が公開初日を迎え、監督と出演者による舞台挨拶が行われた。
カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に公式参加した本作について小林政広監督は「長い時間がかかりましたが、やっと公開にこぎつけました。この映画では実際起きたことをどれぐらい映画で撮り直し、そこにテーマを盛り込めるかということが重要でした。1つの作品として普遍性を持たせるように作りました。確かに理解されにくく、周りには否定されると言われましたが、そんなものを作ったわけじゃありません。」と語った。
また、バッシングされる主人公・高井有子を演じた占部房子さんは「簡単な役では決してなかったけれど、監督が私に合う役を書いてくれると言ってくれたので飛び込みました。とても真剣に取り組める役柄で、やってて楽しかったですね。彼女のことを考えていると楽しかったです。」と語った。
有子の父親役を演じた田中隆三さんは「もしこういうバッシングを受ける人が親しい人にいたら、というのを考えました。大事な人に対しての愛を感じさせつつ演じるしかないと思ってやりました。」と語り、有子の元恋人役を演じた加藤隆之さんは「僕の役はバッシングする方の味方だったんですが、自分の中では彼女に対して否定的ではなかったので難しかったですね。」と語った。そして本多菊次郎さんは「この映画での経験はいい財産になりました。今まで思っていた役作りというものが全く違うものになりました。自腹をかけて作った映画でカンヌに行くという生き様を持っている人は世界中探しても、小林監督以外にいないんじゃないかなと思います。」と話してくれた。
この映画のエンディングは、なんとフォーク歌手としても活動していた小林監督自身によって歌われている。そんなところからも作品への愛情が感じられる『バッシング』。どんな状況で、何が起こるのかを自分の目で確かめてみてください。
(umemoto)