4月20日(水)パトリス・ルコント監督が『親密すぎるうちあけ話』のPRのために来日し、都内で記者会見を行なった。今までも作品の為に来日を何度もしていて、日本にくることが美しい習慣になっているというルコント監督。今回は最新作『親密すぎるうちあけ話』について語ってくれました。

監督の作品には美しいヒロインが登場しますが、選び方の基準は何ですか?
「自分の中で、ヒロインを演じる女優に特殊な感情が生まれていることには気付いています。恋に落ちるような感覚を覚えますね。撮っていると、自分がそのラブストーリーの中に生きているように感じることもあります。」

ファブリス・ルキーニの起用理由について聞かせてください。
「ファブリスの今回の役は、これまでの出演作での役柄とは違うものでした。でも同じような役でいつも見せてくれるものとは違う、表現や側面を見るのはおもしろいでしょう?当初ファブリスは今回のような演技は慣れていないと言っていましたが、演技が非常に達者な俳優なのでこういう寡黙な男という役でも素晴らしい演技が伝わってきました。」

サンドリーヌ・ボネールの起用理由について聞かせてください。
「『仕立て屋の恋』でも仕事をしました。気が合うし、仕事がしやすい方です。再び一緒に仕事ができる機会を待っていました。要求に沿った演技をしてくれますし、今回は内面にミステリアスな部分を持っている女性を上手く演じてくれました。」

本作では脚色もされたされているそうですが、ストーリーはどのように生まれたのですか?
「今回は最初に提案されたものがありました。冒頭で間違ったドアをノックするシーンがあるのですが、あそこはこの映画で重要でもあり、好きな部分でもありました。原案を読んで、ストーリーがどう展開されるのかに興味を覚えたんです。話はシンプルですが、どいう広がりをみせるのかという可能性がたくさんありました。だから映画にしたいと思ったんです。読んだだけで、おもしろい!と感じて、撮る上で好きな方向に導きながら2人で書き進めていきました。」

男性のキャラクターは繊細で子供っぽい役が多いですよね。そういう部分に惹かれる理由は何ですか?
「大人になった時に子供であったことを忘れる人は多いですが、それは残念なことです。あえてその部分を忘れて大人になるのはまじめすぎると思います。確かに子供っぽい部分を男性のキャラクターに入れていますね。自分が持ってる部分も多いですね。子供の部分はないと寂しいと思いますね。」

ハッピーエンドで終わるのはめずらしいですよね。
「多くの作品は、確かに悲劇的でドラマチックな終わり方をします。今回は撮りながらポジティブなものにしようと思ってました。若い時は悲観的な方に思考が強く向きました。でも年をとってからは楽観主義的な方向に向いていってますね(笑)」

映像で魅力的に描く時に注意していることはありますか?
「キャラに対しても、女優や男優に対しても愛情を持つことは最も重要なことです。愛情を感じていないと美しく撮れないですからね。愛情がこもった眼差しで撮って、それがいかに生かせるかです。」

これから映画を観る人にメッセージをお願いします。
「一人で閉じこもっていては何も変わらない。最近は人間同士のコミュニケーションが希薄になり、会話が少なくなってきています。出会いや、出会った人達との会話を大事にして欲しいです。」

(umemoto)

□2006年6月、シャンテシネにてロードショー公開
『親密すぎるうちあけ話 』