『メールで届いた物語』清水浩監督・相武紗季『Mail』トークショー・セリフない難役をこなしたその撮影秘話とは・・?
わたしたちの日常において、もしかしたらもはや会うことよりも比重を占めているかもしれないメールのやりとり。気がつけば1通のメールや手紙がきっかけで笑い、泣き、日々を過ごしていることは誰もが思い当たる生活の一部分となっているのではないだろうか。そんな一つのメールのやりとりから紡ぎ出される4本の恋愛物語(ストーリー)のオムニバス・フィルム、『メールで届いた物語』がその公開を来週土曜に控え、GWで賑わうHMV池袋店においてインストアイベントが行われた。
トークショーでは、オムニバスの最初を飾る、「Mail」の清水浩監督、そして主演の相武紗季さんが登場し、撮影秘話などを語った。
『Mail』は、ある少女の恋人へ当てた手紙を読んでしまった郵便配達員と手紙が唯一の伝達手段である病を患った少女との悲しくもはかない恋物語を主演の相武紗季さん、加瀬亮さんがみずみずしく演じ、また『みんな〜、やってるか!』(95)『BROTHER』(00)などの北野作品の助監督で頭角をあらわし自身のデビュー作『生きない』(98)また2作目『チキンハート』(02)で独自の人間愛の世界を表現してきた清水浩監督がメガホンを取るということで、4作品の中でも特に話題の一編だ。
作中では口がきけない重病の床にある入院中の少女という難役に挑戦した相武さん、撮影について聞かれると「役つくりは特にしませんでした。始めは病気について調べたりもしましたが、監督からは深く考えすぎないでねと言われましたね。伝える手段がなかったのでどうやって相手に感情を伝えようか・・と思っていました。」と、今となっては話せる役作りの苦労を聞かせてくれた。
そして、その演出について清水監督は、「ほとんど演出については何も言っていません。行間を埋めるような芝居をしてくださるのでとてもよかったです。台本にかかれている以上にアドリブが加瀬さんとの間に出てきていたところがよかったですね。」とまさに相武さんの演技を絶賛。その撮影は、始まってみるととても息の合ったスムースな撮影現場だったのだとか。また相武さんは、作品の見どころについて「映画を観にいくんだという感じではなく、4作品それぞれあるので気分転換になるのでは。(自分の役どころについては)行動や表情で伝えるということで、体全体で演じているところを観てほしい。」とのこと。
そしてトークショー前には、主題歌をうたう注目の女性シンガー牧伊織さんがミニライブを行った。カップリング曲の『楽園』、そして続けて『約束の場所』の全2曲をのびやかな歌声で披露すると、熱気漂うHMVのイベントブースはクールダウン、草原を感じさせるような透き通った存在感で池袋の喧騒を忘れさせてくれたのであった。牧さんは「エンドロールは観た映画を思い返すのに大切な時間なので、自分の曲で思い返して欲しいです。楽しい作品も切ない作品もあるので映画を観終わった後の曲もまた違って聞こえると思うので映画を見に行ってください。」と歌を通じて早くも作品にファンレターを送っていたのでした。
恋へとつながる4通のショートメールで動き出す日常を描くこの異色作は、他に吹石一恵主演の『CHANGE THE WORLD!』、岡田義徳・大蔵孝二主演の『アボカド納豆。』、北村一輝・原沙知絵・津田寛治出演の『やさしくなれたら・・・』の3つのストーリーも見逃せない展開が待ち受ける!『メールで届いた物語』は5月7日(土)テアトル池袋にてロードショー公開!
(Yuko Ozawa)