第57回ロカルノ国際映画祭でトリプル受賞、サンダンス映画祭においても日本で唯一のコンペティションノミネートされた,『トニー滝谷』の記者会見と初日舞台挨拶が行われた。
本作品の原作は、『ノルウェイの森』で人気の村上春樹さんの短編。会見には、市川準監督、イッセー尾形さん、宮沢りえさん、西島秀俊さんと豪華な顔ぶれが揃った。
会見が始まると、まずは市川監督から各映画祭での受賞とノミネートについて報告があり、「初めはヨーロッパ受けする映画だと思っていたが、(サンダンス映画祭コンペティションノミネートされ)アメリカでも受けた。特に、アメリカでは一番観客が笑っていた。(サンダンス映画祭の)結果が出るのが楽しみ。」と語った。
記者からの質疑応答の際、キャスティングについて質問され、イッセ−さんと宮沢さんに関しては、「二人の素顔をカメラに収めたかった。二人とも一人二役やるのにふさわしい。」と語った上で、ナレーションを務めた西島さんについて、「声のトーンに生命力がなく、自分の声に似ていた。」とコメント。西島さんも、「撮影当時38度を越す高熱で本当に生命力がなかったが、それが良かった。」と撮影中のエピソードを披露した。
続いて舞台挨拶では、市川監督、イッセ−さん、宮沢さんが登場。イッセ−さんは、「普段は一人で何役もやり、役も作り込むが、監督に素を求められ、恥ずかしく、難しかった。一人二役だったので、カツラをつけたり髭をつけたりするのが楽しかった。」と語った。
宮沢さんは、「広い広場に舞台を作り、そこが(撮影するシーンによって)毎日変化していったので、『今日はどうなっているのか?』と毎日楽しみにしていた。」と振り返った。
本作品は、市川監督も話していたように世界でも話題となっており、ロシア、ポルトガル、ドイツ、韓国、オランダ、タイ、アメリカ、カナダでの公開が決定している。宮沢さんは、「日本でも多くの人に観てもらいたい。」と語った。
(上坂 沙耶花)

■本日よりテアトル新宿、ユーロスペースにて公開中。
 2月より、大阪のテアトル梅田他、全国順次公開予定。

□作品紹介
『トニー滝谷』