注目作『銀のエンゼル』公開前夜、監督・出演者によるトークショー・イベントが催された。『銀のエンゼル』は北海道のコンビニエンスストアを舞台に、銀のエンゼル5枚を求める人々のふれあいを描いた心あたたまるドラマ。監督・原案を務めたのは、北海道が生んだ奇才・鈴井貴之。驚異的な人気を誇り、いまや伝説の番組となった「水曜どうでしょう」を企画・構成・出演を担当したことでも有名。『銀のエンゼル』は、『man-hole』(01年)『river』(03年)に続く監督第3作目となる。
 今回のイベントは1000席以上ある新宿ミラノ座で開かれたが、発売後3分でチケットは売り切れ。イベント当日、難関を突破しチケットを手に入れたファンたちは、鈴井監督、主演の小日向文世、佐藤めぐみ、浅田美代子、辻本祐樹、大泉洋を熱烈な拍手で迎えた。

 映画留学から一時帰国中の鈴井監督は「こんなに集まっていただいて本当に嬉しい」と感慨深げ。小日向さんは「ミラノ座であると知って、さっきまで家でぼーっとしてたので、驚いています」と話し、会場をわかせた。小日向さんの妻役、浅田美代子さんは「北海道のおいしい空気を吸えて、現場も楽しくて、とてもいい映画になっていると思います」と語り、佐藤めぐみさんは「現場はとても楽しくて、大泉さんの絶妙なトークも快調でした」、辻本祐樹は「とてもいい映画ができました。皆さん楽しんで見てください」と続けた。そして、「水曜どうでしょう」で鈴木監督と共演した盟友・大泉洋さんは「ミラノ座をネットで検索しようとしたんですが、ミラっていれただけでミラノ座って予測されるんですね! そんな大きな映画館ですごいですね!」と興奮ぎみに話した。舞台に上がった監督、出演者たちの雰囲気はとても和やかで、全員がとてもいい現場だったと口を揃えるのもうなずける。

一方、鈴井監督が「僕は、エンドロールまで映画だと思ってます。だから最後まで見てもらいたいです。エンドロールで上がってくるスタッフの人々がたくさん関わって、映画1本を作っているから。僕はエンドロール終ってからもシーンありますから。まだ終ってないぞと(笑)」と話すと、大泉さんが上海国際映画祭でのエピソードを披露。「エンドロールに入ったら、みんな帰っちゃったんです。そしたらこいつ(鈴井)、前に出て「NOーーー!」って叫んで。びっくりしてお客さん、みんな席に戻られてました」

会場が思わず爆笑するおもしろエピソードがいくつも飛び出し、鈴井監督、大泉さんのトークも絶好調だったトークショー。最後に鈴井監督は「口コミが今すごい力を持っている。じんわりくるタイプの『銀のエンゼル』を、皆さんの力でぜひ広めて欲しい」と語り、ファンからの大きな拍手でイベントは締めくくられた。
 実は『銀のエンゼル』には“続編”がある。鈴井監督が自ら執筆した小説『銀のエンゼル 出会えない5枚目を探して』だ。映画・小説両方を楽しみ、冬の寒空で凍った心をあたためるのもいいかもしれない。
 
(山本)

☆『銀のエンゼル』は新宿シネマミラノにて公開中

■作品紹介
『銀のエンゼル』