ひたすら息子への愛情を胸に、体を張って戦い続けるプロレスラーの下田牛之助。素直になれず、父親の職業を恥ずかしく感じている息子・一雄。そんな父子の心の交流を愉しく温かく描いている『お父さんのバックドロップ』が本日公開初日を迎え、上映後に監督・キャストによる舞台挨拶が渋谷シネ・アミューズにて行われた。本作は、故・中島らも氏の同名短編小説の待望の映画化。映画化の話が三度水に流れ、四度目でやっと実現したという。試写を終えた時、中島氏は涙が止まらなかったと聞く。

 悪天候にもかかわらず、超満員の会場!大きな拍手で迎えられ登壇したのは、3月間で約12Kgもの増量をして撮影に挑んだ、映画初主演の宇梶剛士さん(牛之助役)、神木竜隆之助くん(一雄役)、南果歩さん(焼肉店の肝っ玉かあさん・英恵役)、そして本作が初監督作品となる李闘士男監督。
 「台風接近中で気象庁が外出を控えてと言っている日に、こんなに来て頂いてありがとうございます」と宇梶さんが挨拶をすると、「大丈夫!気象庁の人間も来てるから!」と客席から声があり笑いと拍手が起こるなど、冒頭から盛り上がりを見せる。
 宇梶さんは、「一人一人持てる力を出して、撮影を乗り切りました。プロレスシーンは、びびっている余裕も無かったです。大日本プロレスの、逞しくチャーミングな方々に色々と教わりました」と述べ、中島氏に「目が溶けるほど可愛い」と絶賛された神木くんは、「心はあったまりましたか?」とお客さんに問いかけて皆を和ませる。監督いわく“ちょっとおかしい”役を演じた南さんは、「映画に出演して、今までの自分を裏切っていくことがすきです。登場人物たちは、不器用で近道の出来ない人たち。そういう感じが伝わったら嬉しいですね」とにっこり。
 監督は恥ずかしがり屋なのだそうで、「挙動不審と言われないようにしなきゃ」と言って笑いを誘った後、「脚本を大事にしましたが、言葉ではなく動きで表現しているものも伝わっていたらと思います。弱い人間が強くなるのではなく、弱いままでどうやったら生きていけるかと考えました。僕がやりたいことにプラスα してくれる役者バカとスタッフバカと共に、奇蹟の連続のようにして出来上がった映画です」と、作品に対する熱く真摯な想いを語った。 

 多くの著名人たちも涙したという本作。あなたも、この映画をご覧になってみてはいかがでしょう?
そして、神木くんの「心はあったまりましたか?」の問いに、あなたなりに答えてあげてください!
(村松美和)

『お父さんのバックドロップ』は、シネ・アミューズにて“号泣”ロードショー中!