トム・クルーズがハリウッド史上初「武士道精神」をテーマに据え、日本を舞台に製作・主演するエンターテイメント超大作、『ラスト・サムライ』の記者会見が行われトム・クルーズ、監督のエドワード・ズウィック、トム・クルーズ演じるネイサンに大きな精神的影響を与える勝元役の渡辺謙、ネイサンに剣道を教える武道の達人氏尾役の真田広之、勝元の妹たか役の小雪、天皇役の中村七之助、武道師匠・中尾役の菅田俊、無口な侍役の福本清三、参議・大村役の原田眞人、飛源役の池松壮亮が会見に現れた。

日本ひいきとしても有名だったトム・クルーズだが、好きが高じて日本の精神性にまで興味をもって今回のような作品を製作することになったのだろうか。

トム「武士道を知りたくてこの映画をつくりました。名誉や忠義を尊ぶそういう価値観や純粋さはすべての人々を幸せにするものだと思います。もう、武士道については何時間でも話せるほどもう魅せられているんだ。その美学の素晴らしさを是非映画にしたいと思った。」

監督エドワード・ズウィック「この映画で描いているのは、日本の転換期です。ちょうど武士道から人々が離れようとしている時期のことです。サムライスピリッツは近代でも維持できるかどうかというクエスチョンを含んでいます。しかし、それは現代においても、そして世界中においても通用する問いではないかと思っています。」

アメリカ映画が日本を描くとなると、いささか不安がよぎらないでもないが、それについては日本人キャストの中でも特に精力的に映画に参加していた渡辺と真田はこう語る。

渡辺「彼らはとても細かく当時の日本を研究していました。描き方についても違和感はまったくない。とてもディープなレベルで意見を出し合いながらの作業でした。アメリカの映画製作の現場のすごさには、敬服します。」
真田「海外の方が武士道というものを考えるとき、まず刀をふりかざす姿が思い浮かぶと思うんです。けれどこの映画は侍の戦士という側面だけでなく、精神性や哲学的な内面の思考を描いている。前日ちょっと言ったことに対し、翌日ピシッと完璧な状態に治していくという意識の高さに驚きました。」

そして話はトム・クルーズにおよぶと

渡辺「トムはこんな成りですが、もう日本人ですよ!こんな熱心な人は真田広之以来ですよ。朝から晩まで撮影をした後、さらにまだトレーニングしてるんですから。まだやんのかよ?って思いましたもん。ものすごく高度なバトルシーンがあって、それはもう信頼関係なしにはやれないものでした。そうじゃないとお互い大怪我してしまいますからね。トムとは戦友という言葉がいちばんぴったりくる関係を築けたと思います。」

真田「彼はタフですよ。一騎打ちのシーンには必ず立ち会っていましたが、1日何十時間の稽古をこなしたあとまたトレーニング。その役者根性には驚きました。」

☆『ラストサムライ』は12月、丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にて日米同時公開