ぴあフィルムフェスティバル2003スカラシップ作品『バーバー吉野』上映!
今年で25周年目のぴあフィルムフェスティバルが今月12日より始まった。オープニング作の三池崇史監督『牛頭』に引き続き上映されたのは、第13回PFFスカラシップ作品『バーバー吉野』である。監督の荻上直子はおととしのPFFアワードで『星ノくん・夢ノくん』が入選し、音楽賞を受賞している。『バーバー吉野』は、男の子全員がまるでマッシュルームみたいな”吉野ガリ”という同じ髪型をする伝統がある町に、東京からやってきたカッコいい転校生の存在によって男の子たちが自分達もかっこよくなりたい!と自我に目覚め成長していく姿を、ほほえましく時にはユーモラスに描いた作品である。床屋を経営し町の男の子全員の髪の毛を散髪する主人公ケイタの母親役のもたいまさこのキャラクターもコミカルで魅力的だ。この日の上映がはじめての上映だったこともあり、荻上監督は上映後「狙ったところでちゃんと笑いが起きててくれてよかった〜!!」とほっと一安心していた様子。特別ゲストの主人公となった男の子たちの登場に観客は手をたたいてよろこんだ。
ぴあフェスでは、「才能の発見」としてコンペティション部門のPFFアワードが毎年設けられているが、その先の「才能の育成」をおこなっているのがPFFスカラシップである。このスカラシップ制度からは過去に、橋口亮輔が『二十才の微熱』を、矢口史靖が『裸足のピクニック』を生み出した。他にも園子温、熊切和嘉、斉藤久志、古厩智之など多くの監督たちが、PFFのトータルプロデュースによる長編劇映画製作というチャンスによって映画監督として大きく成長し、現在の活躍に至っている。とすると、今回スカラシップで製作されたこの『バーバー吉野』の荻上直子監督もこれからさらなる成長を遂げ、日本映画を背負って立つような映画監督になる可能性は高いのかもしれない。
☆ぴあフィルムフェスティバルは日比谷シャンテ・シネにて7月25日まで開催中!!
(綿野かおり)