ⓒ2025「オオムタアツシの青春」製作委員会

福岡県大牟田市を舞台にした映画「オオムタアツシの青春」が9月19日より福岡で先行公開、9月26日より全国公開となる。

一度レッテルを貼られた人間は、その分類に甘んじるべきなのか。3人の大人と小学生はあがき続ける。
「オオムタアツシの青春」はそんな真っすぐな映画だ。

「あんた、大牟田ばなめとるでしょ」
“駅前の店舗で敷金・礼金ナシ、家賃2万円の予算”。
大真面目に希望を伝え不動産屋のお姉さんに睨まれたのは、パティシエの亜美。一緒に洋菓子店を始めるはずの友人に見限られ、独り大牟田で物件を探している。

何軒も断られ続け、駅から離れたシャッター商店街の物件を紹介された亜美。
資金がない亜美は内装工事を“彼ら”に依頼することを思い立つ。それは、ケガをした小学生・日菜子を一緒に助けた車上生活を送る初老の静雄、過去を隠して目立たないように生きる青年・司の2人だった……。

彼らは、人を助けることで自身も助けられ、新たな青春を切り拓く。そして貼られたレッテルを自ら貼り変えていく。

岡田義夫氏はサミュエル・ウルマンの詩 「Youth(青春)」をこう訳した。
「青春とは人生のある時期ではなく、心の持ち方である」
このオオムタ・アベンジャーズの姿を見ているとそんな言葉が思い出される。

ⓒ2025「オオムタアツシの青春」製作委員会

亜美を演じたのは筧美和子。モデルやレポーター、バラエティ番組での出演などで活躍。「スマホを落としただけなのに」(18)、「犬猿」(18)、「孤狼の血 LEVEL2」(21)など話題作に出演し、今回初となる映画主演を務める。友人に悪意のない傲慢通常運転ぶりで「上からモノを言う」と切られた亜美を、あっけらかんとバイタリティたっぷりに魅せる。

ⓒ2025「オオムタアツシの青春」製作委員会

昭和のおじさん的物言いで、亜美と丁々発止の言い争いを繰り広げる静雄を飄々と演じるのは陣内孝則。映画「ちょうちん」「さらば愛しのやくざ」といった強面のイメージから、近年ではドラマ「何曜日に生まれたの」「大奥」など幅広い役柄を演じている。

人に寄り添う優しさがありながら、過去のせいで自分を尊ぶことのできない司を、NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(25)や映画「若き見知らぬ者たち」(24)など活躍の場を広げる福山翔大。

持病を抱えた小学生・日菜子役の奥野楓は、今回が映画初主演。大人らしくない3人の元で、辛口批評に格闘技好きな素の姿を見せ始める日菜子を初々しく演じた。

おおむた大蛇山まつりの当日にオープンにした亜美の「月と夕焼け」。流れてきた祭りばやしに誘われ、亜美、静雄(トラボルタ風ダンス!)、司、日菜子が思い思いに踊り出すシーンは必見!
引き回される山車には、稲藁の骨組みに和紙を貼り色鮮やかに塗られた大蛇の頭部。滝のように落ちる花火と煙。そしてダイナミックな総踊りの波がスタイリッシュに映し出される。

彼らが夢に向かって奮闘するひなびた商店街、心を解放する豊かな海など、大牟田の風景を魅力的にカメラに収めたのは「断捨離パラダイス」(23)、「夜を越える旅」(22)の宗大介。

脚本を務めたのは「真夏の果実」(25)、「雑魚どもよ、大志を抱け!」(23)の松本稔。

メガホンを執ったのは「ラーメン侍」(11)、「カラアゲ☆USA」(14)、「恋のしずく」(18)、「スパイスより愛を込めて。」(23)など、地域色豊かなオリジナル作品、オールロケ作品にこだわり、プロデューサーも務めて来た瀬木直貴。大牟田市動物園を舞台にした「いのちスケッチ」(19)では、大牟田セントラル1館で観客動員26,000人を記録した。

冒頭のタイトルバックでは、かつての炭鉱の町・大牟田のエネルギーにあふれる人々の営みが映し出される。3人を受け入れた現代の大牟田にも、かつてこの地にあった過酷な労働条件を生き抜くための助け合いの精神が形を変えて息衝いていることに気付かされる。
失敗に不寛容な時代だからこそ、その先に進もうとする人々にエールを送る本作の福岡県から全国に向けた飛躍が期待される。

置きざりにして来た過去に寄り添うようなMisiiNによる主題歌「 Heartache Homework」が、更に作品の世界観を広げている。

ところで、オオムタアツシって誰?……もしくは何?の疑問は、本編を観てのお楽しみ。
命名者が格闘技好きの日菜子だけに、本来の意味とは別のちょっとした遊びゴコロが見えるような。

(Text:デューイ松田)

「オオムタアツシの青春」公開情報

ⓒ2025「オオムタアツシの青春」製作委員会
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出演:筧美和子/福山翔大/林田麻里/陣内孝則
監督:瀬木直貴
脚本:松本稔
プロデューサー:宮崎逸郎/瀬木直貴
音楽:田上和由 主題歌:「Heartache Homework」(MisiiN)
撮影:宗大介
製作:「オオムタアツシの青春」製作委員会(ソウルボート/無限フィルムズ/渡辺商会/西日本新聞社/KBC九州朝日放送/テレビ西日本/TVQ九州放送/ホンダカーズ博多/スタッフ・アンド・ブレーン/ピークスマインド・TMエンタープライズ)
後援:福岡県・大牟田市・大牟田医師会・大牟田観光協会
支援:映画「オオムタアツシの青春」を応援する会 
制作プロダクション:ソウルボート
配給:フリック
omuta-atsushi.com
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