12/3(金)、テアトル梅田にて映画『COME & GO カム・アンド・ゴー』の公開初日舞台挨拶が行われた。リム・カーワイ監督と渡辺真起子さんが本編上映前に登壇した。

大阪の“キタ”を舞台に、中国・台湾の観光客、韓国のホステス、マレーシアのビジネスマン、ネパールの難民、ミャンマー人留学生、ベトナム人技能実習生など、日本を含むアジア9ヶ国もの人々が出会い、すれ違うこの作品。見ようとしなければ見えてこない多層化した日本の今の姿をシネマ・ドリフターことリム・カーワイ監督が描き出す。

キャストはツァイ・ミンリャン作品の常連である台湾のリー・カンションさん、ベトナム映画「ソン・ランの響き」のリエン・ビン・ファットさん、ネパールの国民的歌手モウサム・グルンさんらがアジア各国から参加した。日本からは渡辺さん以外に千原せいじさん、桂雀々さん、兎丸愛美さん、尚玄さんらが出演している。

渡辺さんは劇中、捜査二課の刑事・富岡(千原せいじ)の妻で日本語のボランティア教師をしている佳子を演じた。ネパール出身の留学生モウサン(モウサン・グルン)と付き合っているという役回りから、年下の男性について尋ねられた渡辺さん。
「私全然年下好きじゃないです。どちらかといえば年上が好きですね」と率直な回答。
「僕はチャンスがないですね(笑)」
リム監督がつなげると、間髪入れず
「ないね (笑)」
と一刀両断にするコンビネーションの良さを見せ、観客を沸かせた。


●渡辺さんから見た大阪人の印象は

撮影は2年半前に大阪で行われた。大阪人の印象を聞かれた渡辺さん。

「デリケートですね。話のテンポは独特の関西弁のうねりがあって出来上がったものだと思うんですけど、私が今まで出会った方々は細やかでよく気を使って頂いて、デリケートな方が多いなというイメージがあります」

その言葉から、自身の思いをできるだけ正確に伝えようとする誠実な姿が見える。


●リム監督、即興演出の魅力とは

リム監督は、これまでもあえて脚本を起こさず、構成だけを決めて行う即興演出を行ってきた。アジア人の女性バックパッカーが旅の中でバルカン半島に生きる人々の歴史を知る『いつか、どこかで』(19年)。バルカン半島で暮らすトルコ人夫婦の物語『どこでもない、ここしかない』(18年)。古いところでは香港の妖しいリゾート地で日本人と韓国人の女性たちが生と死の境界に迷い込む2作目の『マジックアンドロス』(10年)がある。

即興演出の魅力について尋ねられた渡辺さん。

「緊張感は高いですよね。セリフを一言一句間違えないで正確に伝える作業もとても必要な事なんですけど、何が繰り出されるがわからないので、物語を運んでいきたい方向を見誤りたくない。もちろん正解は監督の中にあるんですけど、どれぐらいの飛距離でたどり着けるか、良い意味でのプレッシャーはあります。画が強くなる、表現が強くなる気がします」

リム監督から見た渡辺さんについて、

「やはり素晴らしいですね。出演作を沢山見たが、映画によって演じるキャラも全然違うし素晴らしい。出演して頂いて嬉しく思います」と信頼と感謝を寄せた。

スクリーンでは佳子の激しい感情の奥に率直さに裏打ちされた人間性が見える。その人が脆さをさらけ出した時の表情の変化にも注目したい。


●旅立てる日に思いを寄せる

コロナ禍が落ち着いたら「GOしたい国」という質問には、
「一度くらいはマレーシアに行って春節の担々麺や餃子を食べたい」
と渡辺さん。

思いたったときに旅立てないことにじんわりした息苦しさを感じるという。コロナが収束したら、
「その時思いついた場所に素直に行きたいです。できれば暖かいところがいいかな」
「それはマレーシアしかないですね(笑)」
自国のPRも忘れない。リム監督自身が一番行きたい国は韓国だと言う。

「数年間ずっと韓国に行ってなくて、コロナが起きて行けなくなってしまいました」
「リムくんがそこに行きたいってことは、そこで映画を撮るってことになりますか?」
鋭い指摘をする渡辺さんに笑うリム監督。
「可能性はありますよね。よく分かっていますよね(笑)」

『マジック&ロス』ではキム・コッピさん、ヤン・イクチュン監督が出演し、今作でもイ・グァンスさんを始めとした韓国人俳優が出演している。数年後、韓国を舞台にしたリム監督の作品に出会えるかもしれない。


●アジア9カ国の人々が織りなす7つの物語

最後に観客に向けて2人からメッセージが贈られた。

「本日は本当にありがとうございました。ちょっと長い映画ですけど、ゆっくりと半分上の空でいるくらいがもしかしたら心地良いかもしれません。それでもきっと心に残るものがあると思います」と、ユーモラスに語る渡辺さん。

コロナ禍で疲弊した映画館に俳優の立場から映画に恩返しをしたいと、井浦新さん、斎藤工さんらと共に立ち上げた映画館を応援する活動「ミニシアターパーク」にも言及。

「今日もTシャツを着てご来場くださった方々がいらっしゃったことに感激しております」と感謝を述べ、

「日本全国のミニシアターの名前を252人の俳優たちが呼びかけております。ささやかなYou Tubeの動画ですが、劇場の名前を思い出してくださればいいなと思っております。どうぞお楽しみください」と締めくくった。

リム監督は「この映画158分、決して長くないですよ(笑)」と渡辺さんの言葉を受けてのアピール。

「アジア9カ国の人々の話で分解していくと7つの物語があるんですよね。1本の映画を観て7本の映画を見たことになる。めっちゃお得だし決して長くはないですね」と胸を張る。

「見て頂いたら嬉しいと思うし興味を持ってくれるはずです。その面白さをぜひ多くの人に拡散をして宣伝してください!」


映画『カム・アンド・ゴー』は全国へ向けて拡大上映中!

【大阪】
テアトル梅田:12/16(木)まで
シネ・ヌーヴォ:12/24(金) まで
シネ・ヌーヴォX:12/25(土)〜1/14(金)

【京都】
京都シネマ:12/10(金)〜
出町座:近日

【兵庫】
シネ・リーブル神戸:1/14(金)〜
宝塚シネ・ピピア:1/28(金)〜2/10(木)

【東京】
アップリンク吉祥寺:12/17(金)〜12/23(木)

【神奈川】
横浜シネマ・ジャック&ベティ:12/18(土)〜

【愛知】
名古屋シネマスコーレ:12/25(土)〜1/7(金)

その他の地域も順次公開。詳しくは公式サイトにて!