国内外で圧倒的評価と人気を誇る映画監督・黒沢清が、主演に前田敦子、その他キャストに加瀬亮、染谷将太、柄本時生を迎え、シルクロードを舞台に描く『旅のおわり世界のはじまり』が、6月14日(金)全国公開いたします。この度、本作の完成披露舞台挨拶を実施いたしました。

 <映画『旅のおわり世界のはじまり』 完成披露舞台挨拶> 

◆日時:6月3日(月) ◆会場:スペースFS汐留 ◆登壇ゲスト:前田敦子、加瀬亮、柄本時生、黒沢清監督 

国内外で圧倒的評価と人気を誇る映画監督、黒沢清による新作映画『旅のおわり世界のはじまり』が6月14日(金)からいよいよ公開。6月3日(月)には東京のスペースFS汐留にて完成披露試写会が行われ、主演の前田敦子、共演の加瀬亮、柄本時生、そして黒沢清監督が参加しました。
“舞台で歌う”という夢への情熱を胸に秘めたテレビリポーター・葉子(前田敦子)が、番組のクルー(加瀬亮、染谷将太、柄本時生)と取材のためにウズベキスタンを訪れ、異国での様々な出会いによって成長していく姿を描いた本作は、約1ヶ月間に及ぶウズベキスタンで全編オールロケ撮影が行われました。
今回の前田敦子さんの登壇は、足の怪我後、初の公の場となり客席からの「可愛い~」という感嘆の声に迎えられた前田さんは、怪我の状況について聞かれると「(状態は)いい感じなんですが、ご迷惑おかけしました。こういう舞台に立つのが久しぶりなので緊張しています」と照れ笑いを浮かべました。撮影から約1年経ち、その間に結婚、出産を経験しており「撮影から完成、公開まであっという間で、それを特に感じます。この1年間、私自身にも色々なことがあったので、思い出深い作品になりました」と感慨深い様子。劇中にはシャンソン歌手・エディット・ピアフの名曲『愛の讃歌』歌唱シーンもあり「ボイストレーニングを3ヶ月くらいやらせていただき、そういった準備期間も初めての経験だったので、すべてをひっくるめて贅沢な時間でした」と振り返りました。
クライマックスでは標高2,443mの山頂で、空気が薄い中アカペラ歌唱に臨み「空気って大事なんだなぁと思った」と苦労を滲ませる一方で「撮影中に『うわっ!』と思ったのが、このシーンの撮影に関係のない加瀬さんが見に来てくれたこと。加瀬さんが居ることがプレッシャーでしかなくて、『なんで来たの?』とは言えないから、無視していました」と初暴露。それに加瀬さんが「単純に歌を聞きたいと思ったので…すみません(苦笑い)」と恐縮すると、前田さんは「イヤなお客さんがいました」と笑いながら振り返りました。このシーンについて黒沢監督は「僕も加瀬さんと一緒に楽しく観客として前田さんの歌を聞いていました」と加瀬さんの回答に乗っかる形で応対しました。
黒沢監督作品に5度目の出演となる、カメラマン役の加瀬は「黒沢作品では今まで変な役ばかりだったので、脚本を読んだときにいつもと違うと思いました。自分の役も初めてまともな人で、今までの監督の作品とは違う印象がありました」と語り、家族全員が黒沢監督ファンという柄本は「お話をもらった時は、今年1年の仕事すべてがチャラになると思うくらい嬉しかった。まずはお兄ちゃん(柄本佑)に自慢しました」と嬉しそうに報告しました。

ウズベキスタンのロケでは様々なハプニングがあったようで、前田は「酔っぱらった現地の方に求婚されました」と驚きの告白で「日本人の女性スタッフさんも求婚されていて、現地の男性は可愛い=結婚してくれ!みたいな感じ。それが凄かった」とカルチャーショック。黒沢監督は「僕も現場を目撃しました。前田さんに求婚していたのは紛れもなくオジサンでしたね。僕もそれなりに衝撃を受けました」と説明すると、加瀬も「僕もその様子を見ていましたが、僕は無責任なので『(結婚しちゃえば)いいんじゃないの?』と伝えてしまいました」と語り、男性陣の反応に前田は「誰も助けてくれなかった。厳しい世界だなと。明日から頑張ろうと思った」と笑わせました。
一方、柄本はホテルのエレベーターに閉じ込められたそうで「5階くらいで止まってしまって。皆に連絡したのですが連絡がとれず、30~40分ぐらい閉じ込められました。階上から染ちゃん(染谷将太)の『時生~!』という声が聞こえて、助かりました」と九死に一生エピソードを披露。その柄本は前田から外出する際の連絡係を頼まれていたそうだが、前田は「時間があればみんなに連絡してどこかに行こうと伝達係をお願いしていたのに、『忘れていた!ごめん!』みたいな。夕方までホテルの部屋でDVDを見ているだけなのに何もしてくれなかった」と柄本に公開説教。柄本は「ごめんね~!」と反省していました。
最後に主演の前田は「ウズベキスタンの色々な場所で撮影し、色んな風景を見ることができた。歌も私なりに頑張ったつもりなので、少しでも心に響いたら嬉しい」と観客にアピール。黒沢監督は「この映画を観てくれた古い友人から、初期の作品のようだと言われた。僕自身も新鮮な何かが生まれたような気がする」と心境を明かし「映っている俳優たちも日本の映画やテレビで見るときとは少し違う顔をしている。ウズベキスタンにいる独特の雰囲気が俳優にも出ている。美しい見慣れない風景と、見慣れない俳優の顔に注目してほしい」とメッセージを送りました。

【あらすじ】 心の居場所を見失ったら? 扉を開く鍵はここにある──
テレビ番組のリポーターを務める葉子は巨大な湖に棲む“幻の怪魚”を探すため、番組クルーと共に、かつてシルクロードの中心地として栄えたこの地を訪れた。夢は、歌うこと。その情熱を胸に秘め、目の前の仕事をこなしている。収録を重ねるが、約束どおりにはいかない異国でのロケで、いらだちを募らせるスタッフ。ある日の撮影が終わり、ひとり街に出た彼女は、聞こえてきた微かな歌声に誘われ美しい装飾の施された劇場に迷い込む。そして扉の先で、夢と現実が交差する不思議な経験をする──。彼女が、旅の果てで出会ったものとは……?

監督・脚本:黒沢 清   出演:前田敦子、加瀬 亮、染谷将太、柄本時生、アディズ・ラジャボフ
配給・宣伝:東京テアトル (C)2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO