『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』 完成披露上映会
2018年10月より放送され、多くの反響を呼んだTVアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」は、空と海が輝く町・藤沢を舞台に描かれる、切なくも瑞々しい思春期ファンタジー。「さくら荘のペットな彼女」でタッグを組んだ鴨志田一と溝口ケージが手掛ける、累計150万部突破の原作小説『青春ブタ野郎』シリーズを、「PERSONA5 the Animation」などで知られる『CloverWorks』が鮮やかに映像化。スタッフには監督/増井壮一、構成・脚本/横谷昌宏など実力派が集い、繊細なストーリーや感情を豊かに描き上げました。
さらにTVシリーズに続き、2019年初夏に劇場公開となるのが、アニメ「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」。原作シリーズの第6弾と第7弾にあたる、感涙のストーリーを描き切ります。
この度、本作の最速上映となる完成披露上映会が5月25日(土)@新宿バルト9にて開催いたしました。
司会の天津 向の呼び込みで梓川咲太役・石川界人、桜島麻衣役・瀬戸麻沙美、増井壮一監督が登場すると、本編を観終えたファンから盛大な拍手で出迎えられる。3人からの挨拶を終えて早速トーク開始かと思いきや、本作を語る上では欠かせない牧之原翔子を演じる水瀬いのりがサプライズゲストとして登場。
直前まで本編を観覧していたことも相まってか、どよめきと歓喜の声が漏れ聞こえる客席に対し、水瀬は「はい、翔子さんです!」と応えて満面の笑みを浮かべた。
改めて、今回のイベントを迎える心境について石川は「『青ブタ』が終わっちゃうんだなと思って。みんなに届けたかった、観てほしかった、でも観てもらっちゃうと終わっちゃう……嬉しいけど寂しいという複雑な気持ちです」と胸の内を明かした。
続いて瀬戸は、本編を一足先に観たファンへ向けて「みなさんの目に焼き付けていただいたことが嬉しかったです。私も(本編を)観たのは昨日と今日の間くらいだったので、もしみなさんが私と同じ気持ちだったら、2回目を観るのが今から待ち遠しいんじゃないかなと思います」と喜びを噛みしめる。
水瀬も劇場内のファンに観てもらえたことについて嬉しさを露わにしつつも「劇場版としてTVシリーズから築かれてきた物語を背負って、改めて大きなスクリーンで描かれる翔子の物語ということでプレッシャーを感じていました」と今の心境を吐露。何よりファンの反応が気になっているようで「上映を終えてもドキドキしています」と答えた。
TVシリーズに引き続き監督を務める増井は「(『青ブタ』シリーズは)キャスト・スタッフ・制作のみなさんに、大切に、思いを込めて作っていただきました。劇場版についても、時間ギリギリまで制作のみなさんが少しでも良くしたいという一心で頑張っていただきました。なんとか間に合って一安心かな、と(笑)」「もっともっと良くしたいと思うところがたくさんありすぎて、それを解消していったら来年くらいに公開した方が……(笑)」と冗談交じりに話し、会場の笑いを誘った。
また、TVシリーズのその後の物語が咲太・麻衣・翔子を中心に描かれる今作。TVシリーズと劇場版におけるキャラクターの印象の変化を石川は「TVシリーズの最後の方で咲太は感情的になっていましたが、今作でも感情的になるシーンがあって、その感情の質が違うなと個人的に思いました」と語る。「TVシリーズでは、“喪失感とそこから新たに踏み出す一歩”が描かれていましたが、今回は“葛藤と選択”が描かれているので、その違いが(演技にも)出ていればいいなと思います。今回の劇場版では苦しみという感情が強かったように思いますし、演じていても本当に辛かったです」とコメント。
TVシリーズに全話出演していたこともあるためか、役作りについて大きく悩むことはなかったという瀬戸。しかし、約1時間半ノンストップで描かれる劇場版という形式について「1日で収録しなくてはならないので、30分のTVアニメを収録するとき以上に集中力が必要だなと思いました。(作中は)急かされず遅すぎず、心地よいテンポで描かれていると思いますが、自分たちが生きている中で流れる時間よりは早いので。その早さを(受け手に)感じさせず、翔子さんをはじめとするみんなが生きている物語が見えるようになれば」と、演じる上で意識した点を述べた。
また、今作でも様々な世代の翔子を演じる水瀬は「台本をもらう前から覚悟は決めていましたが、TVシリーズには多くなかった翔子の名前の数々に、一瞬だけ抱えきれなくなって閉じてしまいました(笑)。途中から翔子という文字がゲシュタルト崩壊して……咲太の名前にもチェックを入れてしまって(笑)」と今作で急激に増えたセリフ量にまつわる苦労話を披露し、会場は笑いに包まれた。
そして、注目してほしいポイントについて尋ねられると石川は、本予告映像でも描かれている翔子の「私だって生きたいんです!」と叫ぶシーンをピックアップ。改めて水瀬の芝居に感動したと熱弁し、前後のシーンも含め何度でも観てほしいと呼びかけた。
瀬戸は、二転三転する今作における中盤のクライマックスのシーンを挙げると、「(初めて観る段階では)衝撃が強すぎて後半は放心状態になると思うんです。だから2回目以降を観るときは、展開がわかると思うので、その際は“後半も集中して観るぞ”という気持ちで臨んでほしいです」と語る。
水瀬は、映画館のスクリーンで観られる翔子のウェディングドレス姿がポイントだと答えると、続けて「物語を通して翔子の夢が詰まった作品になっているので、あらすじや結末を知った上でもう一度観ていただけると、些細なシーンも翔子の夢のひとつだったんだなと分かって、観れば観るほど泣けると思います。彼女のひとつひとつの表情を注目していただきたいです」とファンへ向けて言葉を贈った。
さらに増井監督は「理央が説明をするシーンがありますが、彼女は頭が良いため一度に多くのことを話しています。それは何度か観ていただいて理解していただけると、よりこの作品が膨らんで見えると思うので、その意味を読み取って楽しんでいただけたらいいなと思います」と、今作でも欠かせない思春期症候群にまつわるエピソードを挙げた。
最後に、公開を心待ちにしているファンへ向けて登壇者からメッセージが贈られると、当日一番の割れんばかりの拍手がファンから寄せられる。そして、降壇の際に石川の放った「ありがとう、ブタ野郎共」の一言をもってイベントは幕を下ろした。