とある地方都市で起きた轢き逃げ事件をきっかけに、人間の底知れぬ心情に光を当てた映画『轢き逃げ-最高の最悪な日-』。予測不能のサスペンスから深い感動へと誘う本作で脚本、監督を務めるのは監督第二作目となる、水谷豊。本作では、初脚本ながら完全オリジナルストーリーに挑んだ本作が遂に5月10日(金)公開を迎えました。

公開1週間も経たない中SNSでは「何度観ても涙が止まらない。」「心引き込まれる作品、時間があっという間に過ぎていった。」「私のハートを鷲掴んで離さぬ映画であった!」などの反響が相次ぎ、本作をご覧いただいた著名人からも絶賛コメントが相次いでいます。

この反響を受けて、本日コアな映画ファンたちが集う渋谷ユーロスペースにて、監督・脚本をつとめた水谷豊が舞台挨拶に登壇し、公開後の今だから話せるスペシャルトークを繰り広げました。

水谷監督
今日のユーロスペースのティーチインがプロモーションの最後なんですね。自分の作品について語るのは得意ではないけれども今日は作品や自分にまつわることを語りたいと思います。

宇野(水谷さんが)脚本も書かれているということですが、どうして脚本を手がけるようになったのでしょうか。

水谷 最初は書こうとは思っていなかったんですが、出来たアイデアを話したら反応が良くて、これを語るのは長くなるので文字に書きます、というところから始まったんです。文字に買いたらキャラと出来事がどんどん出てきて、止まらなくなってしまったんです。

宇野iPadで書くと聞いてビックリしました。携帯小説かな?と

水谷脚本は、これ(フリック入力)で書いたんです。かつてはキーボードで書いていたんですけどね。
宇野信じられない。今の若手のライターさんでは時々いますけど、脚本家としては先鋭的な手法でびっくりしました。
宇野これからも監督を続けていかれると私は思っているんですけど、今まで様々な現場を験されたり、脚本や、監督、出演などの役割を経験されて、いろいろな世界を知っているわけですが、次の世代になにかを引き継いでいくという使命感はあるんですか?

水谷 「TAP」も「轢き逃げ」もそうなんですが、あとで自分はこれをどうやって撮ったんだろうと思うんですね。考えてみたら、俳優でもそうなんです。杉下右京の時もどうやって演じていたんだろう?と思うんですね。自分でもスイッチが入ったかどうかはわからないんですが。
昔は、どうして不良をやってくれないの?なんて周りに言われたりもしたんですが、「熱中時代」のシリーズが終わる頃になって、生徒が「先生に言いたいことがあります。一番最初に先生が入ってきた時に草刈正雄さんの方が良かったな、と思ってたんですけど、やっぱり先生でよかったな、と思いました」って言われたんですね(笑)。なので自分ではどうやっていたのかわからないのですが、結果良かったんだと思います。

水谷監督最後の挨拶
今日は、ありがとうございました。実は60代で3本やりたいと口を滑らせた映画というのは実際に果たして次ができるのかというのは難しいこともあります。確実にできるとは言えない世界です。でももし3作目のチャンスがあって、つくることがあるとしたら、またみなさんお会いしましょう。