日本アカデミー賞ほか国内映画賞34部門を受賞した『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督が、直木賞作家である中島京子の同名小説を映画化する最新作『長いお別れ』が5月31日(金)に全国ロードショーとなります。父の70歳の誕生日。久しぶりに帰省した娘たちに母から告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だったー。ゆっくり記憶を失っていく父との、お別れまでの7年間。それは、思いもよらない出来事と発見に満ちた日々。蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山﨑努という、日本映画界が誇る豪華実力派俳優陣の共演で贈る、笑って泣いて、前に進んでいく家族たちの、新たな愛の感動作です!

この度、本作の公開を前に、監督・脚本を務めた中野量太監督と映画評論家の松崎健夫氏をお招きし、トークイベントを実施いたしました。

映画 『長いお別れ』 公開記念トークイベント 概要

■登壇者:中野量太監督、松崎健夫さん(映画評論家)
■日程: 5月9日(木) トークイベント 20:40〜21:10
■場所: ユーロライブ (渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)

映画の上映直後に行われた本イベント。涙を拭い、鼻をすすりながらイベントの開始を待つお客様の姿が見えるなど、感動の空気に包まれていた場内に中野量太監督と松崎健夫氏(映画評論家)のお二人が登場。大きな拍手に迎えられてスタートしたトークイベント。早速、松崎さんから「はじめて小説を映画化したということですが、その理由を教えてください」と質問された監督は、「もちろん、素直に原作を読んで面白い!とも思えたし、何より映画を作る上で大事にしているテーマがあると感じたんです。それは、“今、必要である”ということ。認知症という病に関わる人は今後、多くいると思うので時代に合った新しい認知症映画を作りたかったんです。」と明かし、さらに、「家族というものをずっと撮ってきましたが、一所懸命さの中にくすっとユーモアをもたせるのが得意なんです。原作もそういう物語だから、映画にするなら、、と考えながら読めたのも大きいですね。」と初めて小説の映画化に挑んだ想いを吐露。

「原作と映画と、大きく設定も変わっていますよね?」と松崎さんから聞かれると、「小説は短編集でした。映画として一つのドラマにするには、時代を4つに分け、描く世代も3つに構成すれば上手くいくのでは?とアイディアがあって。その中で、情報を整理する意味も込めて姉妹や孫の人数を減らしています。」と、原作へのリスペクトを語りながらも、映画としてドラマを描くことに徹したことを明かしています。

また、本作で認知症を患う父・昇平を演じた山﨑努さんについての話題になると、「最初はあの山﨑努さんということで緊張していました。」と語る監督でしたが、脚本を渡した後に、山﨑さんがすごく気に入ってくれている、という噂を耳にした瞬間に「半分勝ったな」と感じたとか。実際にお会いした時も「最初、山﨑さんから「君が量太か!」と気さくにお話ししてくださって、最後にはハグまでしてくれたそうです。最後の方、僕はお酒に酔っちゃってあまり覚えていないんだけど、、」とエピソードを披露し、場内の笑いを誘っていました。

松崎さんは撮影現場にも取材に入っていたそうで、「この映画の撮影はシーンの順番通りに撮っているわけではないので、認知症の症状を含んだ山﨑さんのお芝居がどうなるのか、、と思っていたんですが、完成した映画を観たときに本当に素晴らしい!と思ったんです。」と語ると、監督は山﨑さんの役作りについても言及。「撮影の初日だけは、症状の進行具合を相談しながら進めましたが、それ以降、僕から細かな演出は基本的にしていません。本当に良く脚本を解釈してくださっていて、役作りもしっかりされる俳優さんだと思います。ご自身で表みたいなものを作っていて、考え抜いたお芝居をされていました。」と語り、日本が誇る名優との信頼関係を覗かせる撮影秘話を告白。しかし、その話を聞いた松崎さんは「ちょうどその初日のタイミングにお邪魔していたんですが、中野監督が山﨑さんの最初のお芝居に物申すのを観て、この監督勇気ある!!と驚いたのを覚えています(笑)。」と冗談交じりに当時を振り返り、場内からは笑いが。まさに、生の現場を見ていたからこその松崎さんのエピソードが飛び出し、場内の雰囲気も盛り上がってきたところで、来場者とのティーチインを実施。

早速手があがった来場者から「原作は未読なんですが、1シーン、1シーンがすごく丁寧に作られている映画だと思いました。どのような想いをこめたのですか?」と質問が。すると中野監督は「実は映画には原作にないオリジナル要素を多く入れています。例えば、昇平がいつも持っている傘もそのひとつ。前作の「湯を沸かすほどの熱い愛」は僕のデビュー作でもあって、とにかく攻めて攻めて、攻め倒した映画なんですが、この作品は引き算もしながらそれぞれのエピソードをとても大切に描きました。観る人の心を掴む映画になるように、と思っています。」と答え、前作から本作にかけて、アプローチを変えて映画作りに挑んでいたことを披露。

松崎さんは「この映画のラストには“継承”という想いが込められているのを強く感じました。」と語ると、監督は「僕は映画の中で「生きる」ということを描きたいと思っています。ある意味、このラストに決めるのは勇気が必要でもありましたが、家族って、受け継がれて巡っていくものでもあると思っているので、こだわりましたね。」とコメント。最後には「口コミは大切なので、、ぜひ感想を投稿してください。僕、エゴサーチしてるんで(笑)!」と冗談交じりでメッセージを残し、イベントを締めくくりました。

その他にも、上映後のトークイベントということで、時代の移り変わりを表現した中野監督こだわりの演出や仕掛け、過去作から通じるアイテムでもあり、劇中にも登場する“川”や“橋”、そして原作にも多く描かれる“食”というキーワードを紐解きながら、映画の見所を語り尽くした本イベント。ここだけの話、、と前置きする秘話も多く飛び出し、来場者は大満足の様子でトークイベントは幕を閉じました。

監督:中野量太 出演:蒼井優 竹内結子 松原智恵子 山﨑努
北村有起哉 中村倫也 杉田雷麟 蒲田優惟人
脚本:中野量太 大野敏哉 原作:中島京子『長いお別れ』(文春文庫刊)主題歌:優河「めぐる」
企画:アスミック・エース Hara Office 配給・制作:アスミック・エース 
©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋
公式サイト:http://nagaiowakare.asmik-ace.co.jp/ 公式Facebook:www.facebook.com/nagaiowakaremovie/ 公式twitter:@nagaiowakare_mv