3月8日(金)より、ABCホール、シネ・リーブル梅田、阪急うめだホール他にて開催させていただきました「第14回大阪アジアン映画祭」が3月17日(日)、閉幕いたしました。クロージング作品『パパとムスメの7日間』のジャパンプレミア上映前に実施いたしましたクロージング・セレモニーにおいて、グランプリ以下各賞の受賞結果を次のとおり発表いたしました。

1.受賞結果
★グランプリ(最優秀作品賞)
『なまず』(Maggie) 韓国/監督:イ・オクソプ (YI Ok-seop)
※コンペティション部門上映作品を対象に、審査委員会が最も優秀であると評価した作品に授与。 副賞として賞⾦50 万円を贈呈。
<受賞理由>
革新的な語り口。抽象的で複雑なコンセプトを軽妙に描いた手腕に敬意を評す。
<イ・オクソプ監督受賞コメント>
「こんな⼤きな賞をいただけて光栄です。英語タイトル“Maggie”はハングルでは(“なまず”という意味の他に)“マジック”の発音に似ているのですが、今日、この会場でまさにマジックが起きました」

★来るべき才能賞
バイ・シュエ(BAI Xue/白雪) 中国/『過ぎた春』(The Crossing/過春天)監督
※コンペティション部門上映作品を対象に、審査委員会が最もアジア映画の未来を担う才能であると 評価した人に授与。副賞として賞⾦ 20 万円を贈呈。
<受賞理由>
地理的、政治的な境界、人と人との境界、私たちの内や外にある様々な境界。多⽂化社会の中で、⼦どもから⼤人へと未知の領域に踏み込んでしまう少⼥の姿を、伝統的な構成と語り口を⽤いながらも、監督の新鮮な目線で観客の目を釘付けにした。

★スペシャル・メンション
『ブルブルは歌える』(Bulbul Can Sing) インド/監督:リマ・ダス(Rima DAS)
<受賞理由>
⾃分たちのアイデンティティを受け⼊れていくティーンエイジャーたちの成⻑物語。都会を遠く離れたインドの⼀地⽅での若い⼥性の体験を、率直に誠実に描き、⾒るものの⼼を捉えた。

★スペシャル・メンション
ハン・ガラム(HAN Ka-ram) 韓国/『アワ・ボディ』(Our Body)監督
<受賞理由>
1 人の⼥性が⾃分の体を、そして⾃分⾃身を変えていこうとする様⼦を、成熟した視線で、重層的に描いている。
中・上流社会の様々なプレッシャーや期待と折り合いをつけつつ⽣きていく人間の、嫌な部分にも目をそらさず、優しさをもって表現した。
<受賞コメント>
「観客の皆さまがすごく熱⼼に私の映画を⾒て下さったので、とても⼒になりました。スタッフから“いつ賞を取れるの?”と催促されていたのですが、ついに喜びの報告をすることができます」

★ABCテレビ賞
『アルナとその好物』(Aruna & Her Palate) インドネシア/監督:エドウィン(Edwin)
※当映画祭実⾏委員会参加の朝日放送テレビにより設けられたスポンサーアワード。アジア映画の新作(⼀部作品を除く) を対象に、朝日放送テレビが最も優れたエンターテインメント性を有すると評価した作品に授与。副賞として賞⾦ 100 万円(テレビ放映権として)を贈呈。(ただし、放送⽤素材製作費を含む)

★薬師真珠賞
ニルミニ・シゲラ(Nilmini SIGERA) スリランカ/『アサンディミッタ』(Asandhimitta)主演⼥優
※薬師真珠により創設されたスポンサーアワード。上映されたすべての出演者を対象に、薬師真珠が最も輝きを放っていると評価した俳優に授与。副賞として真珠装飾品を贈呈。
<受賞コメント>
「スリランカ映画が⼤阪アジアン映画祭で上映されたのは2回目だと思います。しかも私にとって初の出演作品ですので、感動しております。皆さんのことが⼤好きになりました」

★JAPAN CUTS Award
『JK エレジー』 日本/監督:松上元太(MATSUGAMI Genta)
※インディ・フォーラム部門の日本映画を対象に、米国ニューヨーク市のジャパン・ソサエティー(日本映画祭「ジャパン・カッツ!」主催団体)がエキサイティングかつ独創性に溢れると評価した作品に授与。
<松上元太監督受賞コメント>
「今東京で映画を撮っていますが、⼤学⽣の頃、最初に映画を作ったのは⼤阪でした。それから 18 年ぐらいが経ち、
今回、⼤阪で受賞できたことが感慨深く、やってきて良かったです」

★JAPAN CUTS Award/スペシャル・メンション

『WHOLE』 日本/監督:川添ビイラル(KAWAZOE Bilal)
<川添ビイラル監督受賞コメント>
「⼼臓がすごいことになっています。出資者の⽅々、スタッフ、キャスト、友達、家族のおかげだと思います。会場に(関係者は)誰もいませんが、どこかで聞いていたら、ありがとうございます」

★芳泉短編賞
『じゃあまたね』(till next time/楔子) 台湾/監督:ポーリー・ホアン(Paulie HUANG Chih-Chia/⻩芝嘉)
※芳泉⽂化財団により創設されたスポンサーアワード。今年度映画祭で上映された 60 分未満の作品(協賛企画《芳泉⽂化財団の映像研究助成》を含む)のうち、日本初上映の作品を対象に、審査委員会が最も優秀であると評価した作品に授与。副賞として次回作研究開発奨励⾦ 10 万円を贈呈。

★ 芳泉短編賞/スペシャル・メンション
『2923』(2923) 台湾/監督:サニー・ユイ(Sunny YU/于瑋珊)

★ 観客賞
『みじめな人』(Still Human/淪落人) 香港/監督:オリヴァー・チャン(Oliver Siu Kuen CHAN/陳小娟)
※全部門の上映作品の内(⼀部作品を除く)、当映画祭の上映が日本初上映となる作品について、観客の投票による得点平均が最高の作品に授与。副賞として薬師真珠より真珠装飾品を贈呈。

2.クロージング上映『パパとムスメの7日間』
授賞式後に、クロージング上映のベトナム映画『パパとムスメの7日間』の落合賢監督が登壇し、舞台挨拶が⾏われました。五⼗嵐貴久⽒の人気⼩説「パパとムスメの 7 日間」をベトナムで映画化した本作は、昨年 12 月 28 日に公開後、すでに 100 万人近くを動員しています。ストーリーを現代風かつベトナム風に映画化した落合監督は、「ホーチミンとハノイは、東京と⼤阪みたいなもの。南部ホーチミンの笑いは⼤阪の笑いと似ています。本当は字幕も関⻄弁にしたかったのですが、⽂字数が多くなってしまうので断念しました。頭の中で関⻄弁を想像してごらんください」と、関⻄のノリに似たコメディーであることを熱弁。最後に、「ベトナムは家族の構成人数が多いのですが、パパと娘の 2 人だからこそ強まった親⼦の愛を共有していただければ」と、本作の⾒どころを語りました。