16 日(土)より渋谷ユーロスペースにて「監督 染谷将太」特集上映が一週間限定でスタートしました。本特集上映は、俳優として幾多の話題作に出演する染谷将太が、監督として制作された短編をまとめて上映するものです。とある一組の男女のすれ違う一日を描いた『シミラー バット ディファレント』(2013)。実在するかも分からない川瀬陽太演じる中年の男と、染谷将太が演じる若者が隅田川付近を漂流する『清澄』(2015)。そして、今回が初上映となる、ある施設の警備員の不可思議な一日をめぐる、虚構と現実が交差する『ブランク』(2017)。
昨日 17 日(日)は上映後に『ブランク』主演の山本剛史、そして染谷将太監督よるトークショーが開催されました。

「監督 染谷将太」特集上映トークイベント
■日時:1 月 17 日(日) ■場所:ユーロスペース
■登壇者:山本剛史、染谷将太監督 ■MC:菊地健雄

俳優・染谷将太の短編作品群をまとめて上映する「監督 染谷将太」特集上映が渋谷ユーロスペースにて現在開催中だ。本日は、今回初上映となる『ブランク』の主演、山本剛史と染谷将太監督が上映後に登壇した。

まず制作の経緯を問われた染谷が「過去に制作した『シミラー バットディフェレント』、『清澄』は特に誰から頼まれたわけでもなく、親しい友人たちと作った作品だったのですが、今回は山口情報芸術センター[YCAM]からの依頼で制作された作品です。条件として、山口県で撮影するシーンを最低1シーン以上入れること、あとは自由と言われて引き受けました」と語った。継いで「ロケハンに行ったら、その山口情報芸術センター[YCAM]がとても面白い場所だったので、ここを撮影場所にしようと。そうすると、施設内を巡回している警備員がいて、その後ろに白タイツの男がつきまとっているという漠然なアイデアがうまれました」と語った。シナリオはそのアイデアを基にして、染谷の妻である女優の菊地凛子が脚本にまとめたものだと言う。

司会から染谷に、山本剛史を主演に据えた理由を問われると、「この謎の役を演じられるのは、山本さんしかいないとはじめから思っていました」と顔をほころばせて回答した。対する山本はオファーを受けて、「何かの間違いじゃないかと思うくらいびっくりしたし、普通の映画のオファーより緊張しました」とその時の感想を述べた。また、「染谷くんに殴られるシーンがあるんだけど、ふりができないから、本当に殴ってくれと言ったら、本番でこつん、と優しくやってくれて、優しいなと」と、染谷監督の人柄が垣間見えるエピソードも印象的だった。

司会の菊地健雄は、今回の3作品すべてに監督補として参加し、自身も『ディアーディアー』や『体操しようよ』などの監督作品もあるが、「僕らは物語に縛られがちで、とにかくドラマを撮ろうとしてしまうけれど、染谷監督の場合は、場所と人物から自由に発想していく感じ。結果どうなろうと恐れていない大胆さがある」と染谷作品の特徴を語った。それを受けて染谷も、「今回に関しては、人物の起承転結は考えていたけれど、完成したものがどうなるかは、あえて考えず作っていました」と通常の映画とは異なる自由な発想で制作したことを明かした。最後に染谷から「俳優をやりながらも、こうやってなんだかんだ作品を撮り続けていくことができて、それを支えてくれる周りのスタッフ、そして観てくれる方がいて、本日は感無量です」と喜びをにじませながらにこやかに語りトークショーは終了した。
「監督 染谷将太」特集上映はユーロスペースにて連日 19 時より 22 日(金)まで開催中。なお、最終日の 22 日(金)は、3作品で音楽を担当した渡邊琢磨と染谷将太監督のトークが予定されている。

<「監督 染谷将太」特集上映>
主演・山本剛史、監督・染谷将太が登壇!
『ブランク』監督:染谷将太/脚本:菊地凛子/出演:山本剛史、染谷将太
2017 年/26 分/カラー/配給:ミックスヴォイス
染谷将太監督作『シミラー バット ディフェレント』『清澄』を併映