「ガレッジセール」のゴリ改め、照屋年之が監督を務め、第 40 回モスクワ国際映画祭、上海映画祭、ハワイ映画祭など世界各国の映画祭でも話題を呼び、先行公開された沖縄でも 3 週連続観客動員 1 位の記録的な大ヒットを続けている映画『洗骨』が2月9日(土)より東京・有楽町の丸の内 TOEI、新宿シネマートほか全国で公開、満席の映画館も続出のロケットスタートを切った。

公開翌日となる 2 月 10 日(日)新宿シネマートにて、照屋監督をはじめ、奥田瑛二、筒井道隆、水崎綾女、大島蓉子、坂本あきら、鈴木 Q 太郎、筒井真理子ら出演者が舞台挨拶を行いました。上映後には客席から自然発生の大拍手が起こり、監督・キャストは感動も面持ちで登壇、笑いと涙に包まれた温かな舞台挨拶となりました。

■日時: 2月10日(日)■場所: シネマート新宿(スクリーン1)
■登壇者:照屋年之監督(46)・奥田瑛二(68)・筒井道隆(47)・水崎綾女(29)
大島蓉子(64)・坂本あきら(6)・鈴木 Q 太郎 (44)・筒井真理子(58)


“洗骨”とは、沖縄の離島などごく一部にいまなお残っている、死者を風葬にし、さらに数年後にもう一度取り出して骨を洗うという風習。照屋監督は「短編映画を粟国島で撮ることになり、ロケハンのときに偶然洗骨の話を聞いたのが初めてでした。沖縄出身の僕も知らなかった。命を繋いでくれたご先祖にいまの自分があるのを感謝する行為、これは映画になると急遽、台本を変えて短編を作りました。その作品が賞を頂き、いざ長編にしようとするときに母が亡くなりました。2 日間の通夜で母と添い寝したんです。ここの人のおかげで俺が生まれたんだよな、その母はばあちゃんのおかげで…と遡ると、祖先が生きることをあきらめないで命を繋いでくれたから自分がいると思えたんです。
だから母が書かせてくれたシナリオです。」と語った。

公開まで精力的に宣伝活動を行った主演の奥田さんは、監督から沖縄での大ヒットの報告を聞くと「3 週沖縄で 1 位ということは…僕が木村君やクィーンに勝ったってこと?」とニヤリ。場内からも大きな笑いと拍手が飛んだ。
「この年齢になって、よくぞこんな映画に巡り合えたと思います。昔巨匠と仕事をしたとき、脚本を読んだ瞬間に『監督に会いたい~!!』と叫んだ。そして今回も『監督に会いたい~!!』と叫んだんです。思えば 20 数年、一生懸命仕事をしてきたけれどそんなことはなかった気がします。だから気合が入りすぎて、役作りをどうしていたのか、どんなことを思いながら沖縄にいたのか記憶がない。それくらい強い想いと自信をもって、お届けできていると思います」と語った。

筒井道隆さんは沖縄での撮影を振り返り、「もともとが沖縄が好きで。撮影では約 1 ヶ月滞在しました。沖縄の歴史なども知らなかったから調べたりして。今も、もっと勉強しようと思いますね」と笑みを浮かべていた。

水崎さんは、この作品と巡り合う前は引退も考えていたことを明かし、「(女優人生の)第二章の始まり、スタートのような気がしています。」と語った。信綱の長女で妊婦の優子を演じたが、お腹のシリコンを巻いたまま、撮影が休みの時も生活を続けていたそうで「『命を繋ぐ』がテーマで、わたしの妊娠姿がとても大事だったので。そうして生活していると、町に出ても妊婦さんが自然と目に入ってくるんです。旦那さんと寄り添って幸せそうなのに、自分は一人で寂しくなった。そういう気持ちが優子が感じている気持ちなのかなと。それから食堂のおばちゃんがわたしのお腹を見て「もうすぐ生まれるね」「この張り方は男の子ね」と応援してくれてちょっと心苦しかった(笑)。映画が公開されたことで、役作りのために頑張っていたことをわかってもらえるかなと思います」と明かした。

撮影期間中、水崎さんのリアルすぎる妊婦姿が誤解を生むことが合ったようで「周りのお客さんが食堂のすみでご飯を食べている奥田さんと水崎さんをチラチラ見てるんです。でも話しかけない。“奥田瑛二が若い女優をはらませて、落ち着くまで沖縄潜伏してるんじゃないか”と勘違いしていて(笑)。」と思わぬ騒動を暴露し、会場は爆笑に包まれた。
また、妻亡き後生きる気力を失くした信綱に寄り添う姉・信子を演じた大島蓉子さんは、満員の客席を前に「初めての舞台挨拶なので緊張していますが 2 度 3 度と足を運んでいただいて、この映画を知らない方にも教えてあげてください」と堂々の挨拶。現場では「わからないことがあると、監督がやって見せてくれるんです。それが上手すぎて!」と語ると監督は、「大島パニックと呼んでたんですが、現場では『急に言われてもできない!準備していたことしかできないよ!!』と慌てるのに、本番の声がかかると堂々の演技。この人、本当に本番に強いんです」と現場での様子を語った。
坂本さんは独特のテンポで「今日大雪にならなくてよかったです。それもこれも皆さまのおかげです」とあいさつ。また、水崎さん演じる優子の恋人役で俳優デビューを果たした鈴木さんは挨拶のあと「10 年前に流行ったギャグをやらせていただきます!」と万感の思いを込めて「卑弥呼様~!!」を全力披露していた。
そして、信綱の妻役で数シーンの出演ながら、キーマンとなる恵美子を演じた筒井真理子さんは、「遺影にはこだわりましたね。

台本を読んだときに、なんて幸せな役なんだろうと思ったんです。でも失敗すると映画が成立しなくなる役。死に顔と遺影にはこだわらせていただきました」と語った。照屋監督も筒井さんのこだわりには舌を巻いたそうで、「(死体役で)桶に入っても、何度も目を開けて『監督、頬がこけるメイクをもうちょっといいですか?メイクさーん!』というやり取りを繰り返し、『早く死ねよ!』と思った(笑)タイトルが『黄泉がえり』になっちゃう(笑)」と話すと場内も大きな笑いに包まれた。

また、映画になぞらえ、「女は強し!」と思ったエピソードを問われた奥田さんは、「うちの家族を想像していただければ言うことないと思います…」と語ると場内も納得の雰囲気。「僕は女性至上主義者なんですが、すべての女性に感謝している今日このごろです」と語った。

照屋監督は、「女は強しというのを水崎さんに感じて…」と、本作が初上映された 2018 年沖縄国際映画祭のレッドカーペットのときのエピソードを披露。屋外で実施されるレッドカーペットが雨天で中止になりかけていたときに、水崎さんが「わたしに任せてください!」と両手を空に掲げると…「まさかの土砂降りの雨!雷までなってたぞ!(笑)」(監督)「わたし、晴れ女なんですけどね(笑)」(水崎)「女は強いというか、水崎は強い(笑)」(監督)と語り、場内は爆笑の渦に。

最後に奥田さんは「もう何も言うことはありません。このままの勢いで走ってくれることを祈っています。この映画を語るときは“あんな奥田瑛二見たことない!”をキーワードでお願いしますね」と笑顔でいうと、「股間の伸び切ったブリーフはいた奥田さんなんて他では絶対見られないですよね!」と監督も納得。「宣伝期間中にこの話をどこかで聞いたみたいで、グンゼから最新式の赤いボクサータイプとブリーフが 1 ダースづつ送られてきた(笑)今日も履いてます!」(奥田)

照屋監督は、本作について「大勢の人の血と汗が混じって作り上げたと思っています。わが子のように可愛い作品です。見せたくて仕方がない、年賀状に赤ちゃんの写真を載せる人の気持ちがわかりました!」と語り、劇場公開の喜びを語っていた。

奥田瑛二 筒井道隆 水崎綾女 / 大島蓉子 坂本あきら 山城智二 前原エリ 内間敢大 外間心絢 城間祐司 普久原明 福田加奈子 古謝美佐子
鈴木Q太郎 筒井真理子
監督・脚本:照屋年之 音楽:佐原一哉 主題歌:「童神」(歌:古謝美佐子)製作総指揮:白岩久弥 製作:藤原 寛 小西啓介 宮崎伸夫 武富和彦
エグゼクティブ・プロデューサー:片岡秀介 プロデューサー:高畑正和 小西啓介 協力プロデューサー:飯田雅裕 具志堅 毅
アシスタントプロデューサー:南 陽 ラインプロデューサー:金森 保
撮影:今井孝博(J.S.C) 照明:鳥越博文 録音:横澤匡広 美術:木下沙和美 装飾:石上淳一 ヘアメイク:荒井ゆう子 スタイリスト:むらたゆみ
キャスティングディレクター:杉野 剛 沖縄コーディネート:鳥越一枝 編集:堀 善介 音響効果:佐藤祐美 助監督:丸谷ちひろ 制作担当:刈屋 真 柴野 淳
宣伝協力:新垣尊大 須藤淳子 平野誠也 スペシャルサンクス:粟国村 粟国村の皆さん
制作協力:キリシマ1945 制作プロダクション:ファントム・フィルム 制作:よしもとクリエイティブ・エージェンシー 製作:『洗骨』製作委員会(吉本興業
ファントム・フィルム 朝日新聞社 沖縄タイムス社) 配給・宣伝:ファントム・フィルム(C)『洗骨』製作委員会
2018/日本/カラー/スコープサイズ/上映時間 111 分公式HP:senkotsu-movie.com