『デイアンドナイト』監督・脚本家・プロデューサーが語る 山田孝之プロデューサーとの知られざる製作の“裏側”と 物語に隠された想いとは
数々の映画、ドラマに出演し、名実ともに日本を代表する俳優・山田孝之が、一切出演せずに裏方へ徹した初の全面プロデュースに挑戦し、映画『キングダム』などへ出演する阿部進之介が長編映画初主演を務めた映画『デイアンドナイト』。完全オリジナル作品である本作が問いかけるテーマは「人間の善と悪」。家族のいのちが奪われ、自らの善悪に翻弄される者たちの物語は、混沌とした現代で強く生きることの厳しさをも描き出します。監督を務めるのは、ドラマ「100万円の女たち」や映画『オー!ファーザー』『青の帰り道』などを手掛ける若手監督の最注目株とも呼び声の高い藤井道人。山田、阿部と共に同世代のメンバーが熱い思いをぶつけ合いながら、2017年11月3日にクランクイン。秋田県の秋田市、鹿角市、三種町で同年11月末まで撮影が行われ、こころ揺さぶる人間ドラマが誕生しました。
この度、2月9日(土)に本作をさらに深掘りする公開後トークショーイベントを実施いたしました。
<『デイアンドナイト』公開後トークショーイベント>
【日時】2月9日(土)【場所】シネマート新宿(新宿3丁目13-3 新宿文化ビル6F・7F)
【登壇者】藤井道人監督、小寺和久(脚本)、伊藤主税(プロデューサー)、松崎健夫(映画評論家/MC)
名実ともに日本を代表する俳優・山田孝之が完全裏方に徹し、初の全面プロデュースに挑んだ映画『デイアンドナイト』が、1月26日(土)に全国公開を迎えた。公開直後からSNSやレビューサイトで熱い感想が飛び交っている本作。積雪の中、満席となったシネマート新宿に、藤井道人監督、脚本家の小寺和久(こてら・かずひさ)、山田とともにプロデューサーを務めた伊藤主税(いとう・ちから)の、本作を裏から支え続けた3名が登壇。
今回のイベントでは、撮影中の撮影秘話のトークとともに、事前に映画公式SNSで募集した質問に、3人が答える質問コーナーを実施。500人ものオーディションから本作のヒロイン・奈々役を射止めた清原果耶の「嘘だよロリコン!」という台詞はどのように生まれたのか、という質問に対し、台詞が出来た過程を知らず、山田に問いかけたという藤井は「山田さんの奈々への想い入れが凄くて、『奈々はこの台詞を言います』って、断言されたんです」と、笑いながら明かした。さらに、奈々の10年後・20年後・30年後はどのような女性であってほしいか、との質問に藤井は、「すれ違うたくさんの人の中に、奈々がいるんだなっていうことを、山田さんと話しました」とコメント。本作で様々な考察が飛び交っている奈々と北村(安藤政信)の衝撃のシーンについての質問には、藤井は「北村が背負えなかったものを描きたかった」と語りつつも「観客の皆様の考えに委ねたいと思います」と答えた。
北村の仲間である青柳(笠松将)と、明石の名前に含まれている“アオ”と“アカ”の対比の意図を聞かれると、「考えてましたと言えればいいんですけど、全然考えてなくて」と、藤井の衝撃の告白で会場は笑いに包まれた。一方で、主人公の明石幸次(阿部進之介)の名前には意味があるという。長男であるはずの明石がなぜ“幸次”なのか。「脚本を作っていく過程のなかで、明石には兄がいたというバックボーンをつけています」と、劇中では描かれていない裏側を明かした。また、小寺は山田とのやりとりの中で、「下の名前いらないです。逆にあると、想像の幅を狭めちゃう」と言われ感動したエピソードを明かした。
口コミでも評判だった、秋田県の風景や、“善悪”の対比を映し出した映像美について意識したことを聞かれると、多くは言わず信頼あるカメラマンに任せていたという藤井は「一番は、秋田県の風土が映像に力をもたらしてくれたと感じました」とコメント。また、これまで明かされなかった裏側を聞かれると、伊藤は、山田が仕事の都合でクランクアップに立ち会えず、「いたくてもいれないんだよ!」と絶叫し心が折れていたエピソードを披露。さらに、実は安藤が1度だけ脚本に助言をしたことがあり、明石と三宅(田中哲司)が対峙するシーンに「彼が最後に三宅を殴るカタルシスを見てみたい」と藤井に助言し、藤井もそれに賛同。安藤の助言のおかげで、納得のいくシーンが撮れたという。また、会場から質問もあがり、本作で一番難しかったシーンを聞かれると、質問にもあった奈々と北村の衝撃のシーンを挙げた藤井は「あの選択は間違っていなかったと思う」と胸を張った。そして、大きな拍手に包まれながら、イベントは幕を閉じた。
<あらすじ>善と悪はどこからやってくるのか。
父が自殺し、実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ、家族もまた、崩壊寸前であった。そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失っていく——。
■出演/阿部進之介 安藤政信 清原果耶
小西真奈美 佐津川愛美 深水元基 藤本涼 笠松将 池端レイナ 山中崇 淵上泰史 渡辺裕之 室井滋 田中哲司
■タイトル/「デイアンドナイト」 ■企画・原案/阿部進之介 ■脚本/藤井道人・小寺和久・山田孝之 ■監督/藤井道人
■プロデューサー/山田孝之・伊藤主税・岩崎雅公 ■制作プロダクション/and pictures inc. ■制作協力/プラスディー・BABEL LABEL
■上映/2019年1月26日(土)全国公開 ■配給/日活 ■コピーライト/©2019「デイアンドナイト」製作委員会