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米アカデミー賞・外国語映画賞のイタリア代表に選ばれたカルピニャーノ監督第2作!南イタリアのカラブリアを舞台にロマの少年が生き、成長するために選んだ決断までを追う、生々しいほどに超ドキュメンタリスティックなドラマ、「チャンブラにて」が1月26日に日本公開を迎えました。

公開を記念しイタリア文化に精通し、本作の字幕の制作・監修も手掛けられた岡本太郎氏を招き、公開記念トークイベントを実施。お客様から拍手をもって迎えられた岡本氏に、本作で描かれたロマの人々や映画についての解説、そして映画をご覧になったお客様からの質問に答えて頂きました。

1月26日 『チャンブラにて』 公開記念トークイベント 報告レポート  
日程:1月26日(土)  場所:新宿武蔵野館
登壇者: 岡本太郎 (ライター・翻訳家)


映画のタイトルにもなっているチャンブラという場所と、そこに住んでいるロマについて。
「チャンブラというのは、カラブリア州のジョイア・タウロという街の郊外にある「通り」の名前です。通りの辺りをチャンブラ地区と呼んでいて、街からは結構離れている場所ですが、そこにロマたちは住んでいます。街や国によっても事情が異なりますが、カラブリアに関しては6世紀位住んでいるロマたちがいます。ただ一か所に定住せず、カラブリア州の中で移動していたのですが、30年位前にチャンブラという地区が出来て、今はそこに定住しています。色々なドキュメンタリーやニュースなどを見ますと、現在チャンブラには80家族位が住んでいるみたいです。」

監督自身、撮影機材の一式を積んだ車が盗まれ、その捜索過程でこの映画の主人公ピオや、その家族に出会ったというエピソードを語っていますが、映画に描かれたような車を盗むという事は、生活の糧として現実にある事ですか?の質問には、「映画の中で、主人公のピオが丘の上から見下ろす風景は、彼らが住んでいる団地のように見えますが、ピオ達が住んでいるのはその外です。実際にチャンブラには電気も通っていませんし、水も通っていなかった時もあるとの話もあり、かなり劣悪な環境ではありますが、真面目に働いている人たちもいて、皆が皆、盗みをはたらいている訳では無いです。基本的には自動車の解体作業等が彼らの仕事の主流になっているみたいです。その車も必ずしも彼らが盗んだとは限りません。映画の中で少し強面のイタリア人が登場しますが、恐らくこの映画の中では彼らは、カラブリア州のンドランゲタのマフィアであり、ロマ達はその肩棒を担がされているという形で描かれているのだと思います。」


映画のリアリティさについては、「基本的にチャンブラに住んでいる人達は、現地に住んでいる人達で、ピオや家族もそこに住んでいます。この映画は、決してドキュメンタリーではありませんが、それに近い形で描かれています。映画の中で祖父の葬儀のシーンがありますが、カルピニャーノ監督がピオにあった時、祖父が亡くなった状況だったらしく、それを映画にも反映させるなど、現実の下敷きがありますね」

続いて、お客様からの質問コーナーになり、「彼らの話している言葉は何語ですか?」の質問については、
「この映画の中ではカラブリアの方言を話しています。別の監督が、彼らが話しているのはカラブリア方言な上に、ロマの語彙が入っていると語っていましたね」など、続々と挙がる質問に答えて頂きました。

お客様はロマの人々や映画で描かれたシーンの解説など、多岐にわたる岡本氏の話を聞きながら、より深く映画を楽しんで頂けた様子で、大盛況のうちにイベントは終了致しました。

【制作年】2017年 【上映時間】118分 【制作国】イタリア=アメリカ=フランス=スウェーデン
【監督】ジョナス・カルピニャーノ 【キャスト】ピオ・アマート、クドゥ・セイオン、ヨランダ・アマート
【原題】A CIAMBRA 【映倫】R15+ 【公式HP】 http://ciambra.musashino-k.jp/
【配給】武蔵野エンタテインメント株式会社