映画『この道』AKIRA・和田薫登壇トークイベント
童謡の誕生から100年、稀代の天才詩人・北原白秋の波乱に満ちた半生と、秀才音楽家・山田耕筰との友情を描いた映画『この道』が、いよいよ今週11日(金)より全国公開致します。
トンデモナイ甘ったれで女たらしでありながら、どこか憎めない北原白秋を演じるのは、今や日本映画界に欠かせない存在となっている大森南朋。明治の文豪たちが口を揃えて褒め称えるほどの才能を持ちながら、「かわいそうな女の人がいたら、放っておくわけにはいかないでしょう?」と隣家の人妻との恋に夢中になるダメ男を、コミカルに、しなやかに演じます。そして、日本初のオーケストラを創設し西洋音楽の普及に貢献した音楽家・山田耕筰役に、マーティン・スコセッシ監督『沈黙―サイレンス―』でハリウッドデビューも果たしたAKIRAが熱演。今回、バイオリンやピアノの演奏、更には合唱団の指揮に初挑戦しています。
他、鈴木三重吉役は柳沢慎吾、与謝野鉄幹・晶子夫妻は、松重豊と羽田美智子、白秋の最初の妻・俊子は松本若菜、三度目の妻・菊子は貫地谷しほりが演じ、作品を一層華やかに彩ります。更に、若かりし日から童謡歌手として長年歌い続けてきた由紀さおり、安田祥子姉妹も歌手役で出演しており、AKIRAが由紀、安田姉妹にタクトを振っているシーンも本作見どころの一つです。「この道」、「からたちの花」、「ペチカ」、「赤い鳥小鳥」…誰もが口ずさむことができる童謡の数々。それまで、ドイツ民謡に日本語の歌詞を乗せた童謡しかなかった時代に、日本人による日本人のための新しい「歌」を誕生させた二人の天才を、佐々部清監督が丹念に描きます。更に、映画『秘密』や『忠臣蔵外伝 四谷怪談』、また、大人気ゲーム「キングダムハーツ」シリーズや「モンスターハンター4」の音楽を手掛ける、映画・アニメ・ゲーム音楽の第一人者、和田薫が、煌びやかな音楽で本作を盛り上げます。
この度、本日1月10日(木)に映画公開直前イベントとして、山田耕筰を演じたAKIRA、音楽を担当した和田薫が登壇するスペシャルトークイベントを行いました。劇中音楽の制作秘話やATSUSHIが歌う「この道」など、音楽映画としての魅力を存分に語っていただきました。更に、ピアノ演奏・バイオリン演奏・指揮に初挑戦しているAKIRAによる撮影秘話も存分に語っていただきました。
『この道』公開直前スペシャルトークイベント 概要
【日時】1月10日(木)14:00~14:30
【場所】HMV&BOOKS “HIBIYA日比谷 COTTAGEコテージ” 内 イベントスペース
【登壇者(敬称略)】AKIRA、和田薫
盛大な拍手の中、山田耕筰役・AKIRAさんと、本作の音楽を担当された和田薫さんが登場。AKIRAさん「いよいよ映画が明日公開になります。とても素敵な映画になっていると思います。童謡100年という記念すべきタイミングにこの映画に携わることができ、そしてこうして和田さんと一緒にイベントができて嬉しいです。もっともっと童謡を多くの方に知っていただきたいですし、伝えていきたいと思います。」、和田さん「普段は裏側なので緊張していますが、童謡100年、この作品が音楽映画として皆様に愛されるよう、盛り上げていきたいです。」と一言ずつ挨拶がされました。
本作でピアノ、バイオリン演奏・指揮にも初挑戦し、先日行われた完成披露イベントでは実際に指揮も披露したAKIRAさん。役を演じた感想を「今回は遂に封印していた歌を披露しました(笑)。準備期間はライブと同時進行だったので、ライブには楽器を持って行き、終わった後はメンバーに隠れて練習していました。バイオリンは意外と筋力が必要だったんですが、普段から鍛えているのでEXILEのパフォーマーで良かったなと思います。気負うことなく形だけでも思って臨みました。そしたら、しっかり音も出すことができ、先生方のおかげだと思っています。 」と熱く語りました。
また、指揮や楽器に挑戦したAKIRAさんの様子を見て「いくつもの楽器を同時に練習することはあまりないです。AKIRAさんは才能がおありだと思います。バイオリン、指揮のフォームもとても綺麗です。ピアノを弾かれる指も綺麗でした。とても自然な演奏で、吹き替えなしで弾いていらっしゃるのが驚きです。」と、AKIRAさんの役に向き合う真剣な姿勢に感服している様子の和田さん。
また、オープニングのシーンの撮影では現場に立ち会ったという和田さんは、60代の山田耕筰さんを演じるために特殊メイクをされていたAKIRAさんを見かけ、その見事な変貌ぶりに驚いたというエピソードも明かされました。
劇中では、AKIRAさん演じる山田耕筰が実際に多くの童謡を歌われ活躍されてきた由紀さおりさん、安田祥子さん姉妹に指揮をしています。「緊張を超えて、こんな贅沢な経験をして良いのかと思いました。お二人とも世界で活躍されている方ですからね。お二人にもリードしていただき、素敵なシーンになりました。お二人が『からたちの花』をレコーディングされた時、こんな難しい歌はないとおっしゃていました。それだけ山田耕筰さんの歌は歌ってみると難しいのだと思いました。」とお二人とのエピソードを踏まえプロの歌手を前に自らが指揮をした当時の思いを明かしました。
世界的な指揮者としても活躍されている和田さんはAKIRAさんの指揮を見て「伝説の指揮者の渡邊暁雄さんにとても似ていらっしゃって、演奏する皆さんにとても伝わりやすい指揮をされていました。特に山田耕筰さんの曲は拍子が変わってとても複雑なんです。それを全て暗譜されていて、もう長年やっているのかなと思うくらい素晴らしかったです。 」と称賛を送りました。
劇中だけでなく、完成披露イベントの際も多くの観客の前で合唱団に指揮をつけたAKIRAさん。本日イベント会場では、練習風景を記録した映像が映し出されました。「合唱団の皆さんと歌を披露できたことは、嬉しい気持ちと緊張感がありました。北原白秋さんと山田耕筰さんの作った校歌を90年以上経った今でも大切に歌われていることが素敵だなと思います。皆さんの素晴らしい歌にリードしていただいて、歌からいろんなものを得ることができてよかったです。」とその時の印象を語り、AKIRAさんの力強い指揮を見た和田さんは「演奏者一人一人の顔を見ているのが素晴らしいと思いました。譜面があると譜面を見てしまうのですが、一緒に音楽を作っていくという雰囲気が感じられて素晴らしかったです。」と大絶賛。
普段EXILEのパフォーマーとしてダンスをしているAKIRAさんは「ダンスで音をリードするようなジャンルもあったりして、それは体と気持ちを使う指揮と、ダンスの共通する点かもしれません。」と、ダンサーならでは視点で指揮の経験を振り返りました。
童謡が日本に誕生してから100年が過ぎ、劇中では「この道」をはじめ100年前から歌い継がれてきた童謡の数々が登場します。本作の音楽を担当した和田さんは「普段童謡のオペラを作っているので、童謡はライフミュージックです。映画の音楽としては、既成楽曲と背景音楽との違和感がないよう、馴染ませなければいけない。作中には13曲の童謡が出てきますが、それぞれバランスを考えながら作っていました。」とその苦労を明かしました。
映画音楽のみならず、ゲーム・アニメなど幅広いフィールドで音楽制作をされている和田さんは「実写は人のパワーがすごく出てくるので、音楽は寄り添う形になります。アニメやゲームはその逆で音楽が全面的に出てくるものが多いですね。」と楽曲制作の裏側を明かしました。
「『この道』は童謡誕生100年の記念の映画だとも思うので、ご年配の方々は故郷のあたたかさ、懐かしさを感じていただいて、若い人には、こういう日本の文化を感じていただき童謡を愛していただければ意味のある映画になると思います。音楽をやっている方は特に観ていただきたいです。僕が山田耕筰さんを演じることができたこともご縁だと思いますし、日本の音楽、音楽家や詩人の歴史を知れたので、僕自身も勉強になりました。」と改めて山田耕筰役を演じたこと、作品への思いを語りました。
本作の見どころの一つでもあるATSUSHIさんの歌う主題歌について「僕の一つの目標として、いつかATSUSHIくんに主題歌を担当してもらえたら嬉しいなと思っていました。このタイミングで僕が山田耕筰さんを演じ、 ATSUSHIくんが主題歌を歌ってくれたことはとても意味のあることだと思います。思い描いていたことが叶いました。ATSUSHIくんは映画を3回も観てくれたそうで、ものすごい長文で感想を送ってくれました。ATSUSHIくんも音楽を愛してる人なので山田耕筰さんに感情移入しながら観てくれたそうです。共感して涙が止まらなかったと熱い言葉をもらいました。僕の歌についてどう思ったのか気にしていたんですが、おかげさまで『泣けました』というハンコをいただきました。(笑)」とATSUSHIさんとのエピソードをたっぷり明かし、会場のファンを盛り上げました。
ここで、宝仙学園合唱団の皆さんから色紙と写真のプレゼントが贈られ、「これは、以前の教師もののドラマを思い出しますね(笑)。」と話し、会場を沸かせ、最後に「いよいよ明日公開になります。北原白秋さんと山田耕筰さんの激動の人生を、あたたかく感動するストーリーに仕上げました。100年以上歌い継がれる歌を作ったお二人がどんな人だったのか、どんな人たちが周りにいたのか、どんな時代だったのか、また、現代に生きる人たちへ反戦へのメッセージにもなる重要なポイントも込められています。ぜひ映画を観ていただき、周りの人にも勧めていただきたいです。」とメッセージが送られイベントは大盛況のうちに幕を閉じました。