映画『MAKI マキ』が本日 11 月 17 日ユーロスペースにて公開し、初日舞台挨拶として、原田美枝子、サンドバーグ直美に加え、ニューヨークより出演のジュリアン、ナグメ・シルハン監督が来日、登壇いたしました。

映画は、ニューヨークの日本人コミュニティを舞台に展開。自由の国、様々な人種・国籍の人間が行き交う世界一活気に満ちた街。ゆえにアイデンティティを見失い、流れ着いた人々が生きる夜のニューヨークをクールに描く。映画初出演にして主人公・マキ役に抜擢されたモデル出身でアートディレクターでもあるサンドバーグ直美は「知らないことだらけで最初は緊張しました。アメリカ・ニューヨークの撮影、時差ボケもあったので頭がふわふわしていたのですが、緊張感の中、スタッフふくめみんなのエネルギーをもらいました。いい現場でした」
マキを愛しながらもミカのコントロール下を逃れられないトミーを演じたのがブロードウェイで活躍するジュリアン。「昨日ニューヨークから到着しました。2年前に撮影した当時は初めての映画でした。インディフィルムなので18日間で撮影したのですが、自分の衣装を自分で調達したり、大きなバジェットの作品とは違います。最初の映画の経験として思い出深いですし、ニューヨークで日本人の話を伝えられたというのは誇りに思う」と語った。

そしてクラブオーナーであり、コミュニティの権力者ミカ役には日本を代表する女優・原田美枝子。「映画撮影のシステムが違うので、日本だとテストを何度もやって本番が 1 回、という形なんですけども、あちらではテストを 1 回したら何回も撮っていく。そうしたスタイルの違いが自分としては戸惑ったし慣れるのに時間はかかりました。でもイラン人のナグメさんが日本に来てくれて一緒にやりたいと言ってくれたのは本当にうれしかったし、日本だとやりたくてもやれなかったりするので。一緒に夢を見る、映画で遊ぶというのをやらせてもらった感じです。チャレンジすることが好きなので」と笑顔を見せた。
アメリカでも珍しい女性監督であり、自身はイラン人でアメリカ在住というルーツを持つナグメ・シルハン監督は、同郷のアミール・ナデリ(「CUT」監督)に師事。これが長編作品は 2 本目となるが、「前の映画を撮った後、「日本で撮ってみたら?」と勧められたんです。もともと日本に憧れがあり、日本の深い文化を知りたいという思いがありました。素晴らしいキャストに恵まれました。そしてこうして日本で上映されることがとてもうれしいです」と語った。

本作は先日ニューヨークのチェルシー映画祭で監督賞を受賞しており、そのときの気持ちを尋ねられるとナグメ監督は「自分にとっては客席からの反応が一番のフィードバック。上映のときにとても反応が良くて、映画祭側も再上映を決めてくれました。賞についてはショック!という感じです(笑)」と語った。映画祭にナグメ監督とともに出席したサンドバーグ直美とジュリアンはその時の様子を「映画祭に友人が来ていて。
「『MAKI』すごい好きだったよ!あれジュリアン出てたんだ」と言われた。コンペ 18 本中女性監督作品はこの 1 作だけで注目度も高かった」(ジュリアン)「映画祭はとてもパワフル。上映後スタンディングオベーションでした」(直美)
なお、ナグメ監督は最後観客へのメッセージを求められると、代わりに原田さんを指名。原田さんは照れながらも「映画を楽しんでください。ナグメさんにはこれからたくさんの映画を作ってもらいたいと思っています。才能、エネルギーにあふれた人なので、すごく面白いものを撮れると思う。この言葉をナグメに送る!」と締めくくり、舞台挨拶を終了しました。

監督・脚本:ナグメ・シルハン 出演:サンドバーグ直美、ジュリアン、おおのゆりか、ブランカ・ヴィヴァンコス / 原田美枝子
撮影:ベン・ウルフ、柳島克己/編集:ナグメ・シルハン、横山昌吾/音楽:マット・ガンディ、トム・ポール/プロデューサー:ショーレ・ゴルパリアン/制作:Ugly
Productions、Small Talk Inc. 【2017 年/アメリカ・日本合作/89 分/DCP】 配給:ユーロスペース