アカデミー賞®3部門ノミネートの傑作サスペンスアクション『ボーダーライン』の続編、『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』の公開を直前に控え一般試写会上映後にトークイベントが行われました。

■日程:11月7日(水) 20:30~21:00
■会場:神楽座 (東京都千代田区富士見2-13-12 KADOKAWA 富士見ビル)
■登壇者:丸山ゴンザレス氏(ジャーナリスト)、ギンティ小林氏(フリーライター)

前作にあたる『ボーダーライン』のキャラクター、設定はそのままに新たな国境麻薬戦争の闇に切り込んだ『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』。一般試写会が行われ会場の興奮冷めやらぬ中、メキシコ麻薬カルテルや世界中のスラムなど独自の視点で取材を続け、TV 番組「クレイジージャーニー」(TBS)に出演し、人気を博すジャーナリスト・丸山ゴンザレス氏と掟破りの映画雑誌「映画秘宝」に欠かせないフリーライターギンティ小林氏が登壇し、メキシコでの現地取材の実体験を交えながら熱く濃厚なトークが繰り広げられた。

ギンティ「上映後だからもうネタバレ関係ないですもんね!まさかの予想を裏切る展開多かったですね。3部作ということでこれは本当に早くその続きが観たいっていう。前作ではミステリアスだったアレハンドロ(デルトロ)のキャラクターにさらに深みがでていてそういうところが好きでしたね。」
丸山「脚本や映画として見所は沢山ある中で、僕はこの映画に対して"現実の写し鏡”というコメントをしました。リアリティがありすぎて逆に嘘っぽく思われるかもしれないですけど、不法移民が国境を越えようとするシーンの描写なんかは実際にとてもリアルです。カルテルにとって、ビジネスで今儲かるのは麻薬ではなくて「人」なんだという現状についてもそうです。」
劇中で描かれる不法移民問題から話題は、トランプ政権とアメリカ中間選挙、12 月に控える新メキシコ大統領の就任が麻薬カルテルに与える影響へ。丸山「政治的な情勢が変化するタイミングは、カルテルにも大きく影響を与えるんです。大きく自分たちに便宜を図ってくれるのか。少なくとも取り締まりが強化されるか否かはカルテルにとって重要なことなので。今、メキシコとアメリカの国境って世界的に注目されているところじゃないですか。今、メキシコシティまで到達した中米からの移民キャラバンが国境まで達したときに、あの大人数の彼らを受け入れるかどうかはトランプ政権に突き付けられる大きな課題になると思います。」と語る。

日本とメキシコでは警察の採用方法が違い、訓練を受けたエリート警官がいる一方、地元採用の制服警官になると比較的基準が緩く、特に血縁などの繋がりが強いエリアでは汚職やカルテルとの癒着もそれに伴い増加している印象とのこと。「映画でも従兄弟に誘われてカルテルの世界に足を踏み入れる少年が登場しますが、実際に中南米のマフィアの人たちにその道に入ったきっかけを聞くと『従兄弟に誘われて』と、悪いことに誘うのはだいだい従兄弟なんです。そのあたりもリアルですね(笑)」と丸山の分かりやすい解説に会場に笑いが起きる一幕も。

アレハンドロ役のベニチオ・デル・トロに『ボーダーライン』『~ソルジャーズ・デイ』と2作続けて電話インタビューをしたギンティはその時のエピソードを披露。予告編でも使われている印象的な射撃シーンについて、デルトロ自らのアイデアでずっと温めていた案だったとのこと。「デルトロ曰く『エレキギターを弾くようなかんじ。近距離の奴を撃つ時に使うんだ』って。iphone で撮影して監督に見せたそうです。あのシーンでみんなハートを掴まれましたよね!あのストイックさと侍感、日本映画と共通するところがあるから聞いてみたら『頭の中では三船敏郎をイメージしている』そうです。でも『宮本武蔵』を知らなかったのでにわかファンかも。(笑)」

丸山「メインのストーリーとサイドストーリーが並行してあって、エンターテイメント的な要素とドキュメンタリー的な現実にそくした部分が描かれていると思います。映画としてのエンタメ要素ももちろんもありますが、作り話だと思わずにここに描かれていることは必ずどこかで起きたことかも。そう思ってみてみると恐ろしいと思う反面、また別の見方もできて面白いと思います。」
ギンティ「この映画でもう少し余韻に浸りたいと思ったら、テイラー・シェリダン作品以外にもこの作品を撮ったステファノ・ソッリマ監督にも注目です。イタリアの暗部、政治とマフィアの癒着など実話ベースの犯罪ドラマを得意とする監督です。この監督にもぜひ注目してもらえればと思います。」それぞれの視点で見所を熱く語り、興奮冷めやらぬ中トークイベントは終了した。


タイトル:丸の内ピカデリー爆音映画祭 『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』公開直前トークイベント
公開表記:11月16日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
配給:KADOKAWA
クレジット:© 2018 SOLDADO MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.