『 鈴木家の嘘 』神田松之丞「してやられた!!」講談界の風雲児をも唸らせた野尻克己監督の演出とは!?
突然訪れた長男の死によって巻き起こる家族の混乱と再生を、ユーモアをまじえつつあたたかく描いた感動作『鈴木家の嘘』が11月16日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開致します。第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門にて作品賞を受賞し注目が集まる本作。この度11月5日(月)に行われた一般試写会の上映後トークショーに人気講談師・神田松之丞さんの登壇しました。是非、ご紹介頂きますようお願い致します。
神田松之丞が「してやられた!」と唸る!
映画のトークショーは人生で2回目だという神田松之丞さん。「僕映画を観る才能がないんです。深刻的な問題で。そんな僕になぜオファー頂いたのかと思いまして、実は僕の父親も加瀬亮さん演じる息子・浩一と同じような状況になったので、ああ、いろいろリサーチしてくれて有難いな、と思ったのに、宣伝の方に聞いたらそれが理由なわけではなかったみたいでちょっとガッカリしましたよー」と冒頭から神之丞節がさく裂!「ただこれも縁だと思いましたし、タイトルを観て“どんな嘘をつくんだろう”と気になってしまって。まんまとお引き受けしました」とぼやきつつも快諾した理由を明かし、冒頭から会場の空気をがっちりと掴んだ。本作の感想を聞かれると「講談は、はじめの10秒でお客さんを笑わせられるかで心をつかまえられるか決まる。でも『鈴木家の嘘』は冒頭たらたらしてるんで、最初の3分観たときキツかったんですよ…ただ段々なにかあるんだろうなと思わせてきて。その後すぐに引き込まれる瞬間があって“してやられた!”と思いましたね!あれは敢えてだったのかと!」と自身の考えと逆を突く野尻監督の演出に絶賛!
悲劇的なことは喜劇として語る!野尻監督との共通点はここに。
野尻監督自身の経験を基に書かれ、映画化された本作。観終わった後にそれを知った松之丞さんは「野尻監督は過去の経験もあったからこそ映画監督になったのだと思ったんです。若い頃にはできなかっただろうけれど、現在40代で自身の辛い経験と向き合い、一生懸命コメディ要素を入れて楽しませようと映画として成立させた。その気迫が感じられましたね」と語る。さらに「悲劇的なことほど喜劇として語るのは本当にそうで、まじめな話ほどをいかに面白おかしく技術を使って伝えられるがプロ。人間の汚さや面白さを味付けをして世に出すのが僕とか映画監督の仕事で共通する部分だと思いますね」と自身と監督との共通点を語った。それに対し「さっきから作品の核心に触れているし、めちゃくちゃ映画見る目あるじゃないですか!」とMCを務める映画評論家・森直人が突っ込みを入れると「本当ですか?どうせお客さんは僕のこと“偉そうなこと言いやがって”とか思ってるんでしょうよ」と卑屈に会場を煽りつつも「実は俺才能あるんじゃないかな?」と調子に乗り笑いを誘った。
また最近子供が生れたという松之丞さん。本作を観ていた時に感じたことがあるそうで「子供が生れていなかったらきっと浩一の視点で観ていたと思うんです。
けれど生れたことでいつの間にか岸部一徳さん演じる父・幸男の視点になっていて、父親としてどうしていいか分からない感情がすごい分かった。観客一人一人それぞれの視点があって、本作の見方がみんな違うのも面白いですよね」と父親目線でしみじみと語った。会場では終始笑いが起き、予定時間を超えても席を立つ者はいないほどに松之丞さんの話術にすっかり魅了された観客。松之丞さんは最後のフォトセッション時、マスコミからの「講談師っぽいポーズで」という要求にも笑顔で応じ、トークショーは終了した。
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11月16日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー!