突然訪れた長男の死によって巻き起こる家族の混乱と再生を、ユーモアをまじえつつあたたかく描いた感動作『鈴木家の嘘』が11月16日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開致します。第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門にも出品され注目を集めている本作。この度10月31日に同映画祭の上映後ティーチインにヒロインを務めた木竜麻生さんと野尻克己監督が登壇致しました!

木竜麻生は純朴さとスター性を兼ね備えた第二の薬師丸ひろ子!

第31回東京国際映画祭にて2回目の上映が行われた昨日。先日のワールドプレミアに引き続き会場は満席!そんななか上映後Q&Aにヒロインを務めた木竜麻生と野尻克己監督が登壇した。
まずはじめに『鈴木家の嘘』がデビュー作となった監督へ脚本を書いた経緯をきかれると「脚本は書くのに4年ほどかかりました。橋口亮輔監督の『恋人たち』の助監督を務めていた当時、オリジナルの脚本は素晴らしいと感じたんです。それで自分も書こうと思い、映画化に至りました」と監督。
本作は監督の実話をベースにしていることでも注目されている。それについて監督は「僕の兄が自死してしまったことは事実ですが、そこから始まる家族の話を作りたかったんです。独りよがりの映画にはしたくなかったですし、エンターテイメントも取り入れたかったので嘘をつくことで物語が広がっていくように書きました」と明かした。
木竜は4日間のワークショップを経て本作のヒロイン役として抜擢された。その理由について監督は「(木竜は)あまり最近いないタイプの女優だった。
映画『Wの悲劇』の薬師丸ひろ子さんのように、純朴さとスター性を兼ね備えた雰囲気を持っていたんです」という言葉に、木竜は「ありがとうございます。
すみません」と照れた様子で返した。

岸部一徳と原日出子へ16テイク!?撮影は深夜まで!

観客より最もテイクを重ねたシーンについて聞かれると、「岸部一徳さんと原日出子さんの夫婦喧嘩のシーンですね。16回ぐらいやったかな。画面には2分ぐらいしか映らないのですが、30年ぐらいの夫婦の歴史を映したいと思ったんです。微妙なニュアンスを求めすぎたせいで撮影は深夜まで及んでしまって…細かすぎるって怒られちゃいました(笑)」と当時のエピソードに会場からは笑いがこぼれた。また木竜へ撮影前に徹底したことについて聞かれると「新体操の練習に4か月通いました。その間に私が演じた鈴木家の長女・富美のことをずっと考えるわけではなかったのですが、体を動かすことで頭が空っぽになったり、新体操のことだけを考えたりすることで、富美や自分自身の気持ちに自然と向き合うことにつながったと思います」と振り返った。本作には鈴木家の周りに物語のキーとなる人物が登場する。それについて監督は、「客観性が見えない映画にはしたくないと思ったんです。他人は他人ということをきちんと映したかった。
人間必ず同じ苦しみをもつというのはないんですよね。表面上明るいかもしれないけれど、他人には想像つかないトラウマがあるかもしれない人や悲しいけれど必死な姿がおかしく見える人、愚直だけども愛すべき人…客観性も大事にしたからこそ濃いキャラクターを取り入れたんだと思います」と答えた。

野尻監督「伝えたい芯の部分は忘れない」!

重いテーマを扱っていてもユーモアが溢れ、悲しみと笑いが絶妙なバランスで描かれている本作。「すごくコメディにするのはよくないし、伝えたい芯の部分は忘れないように、面白いところは人間的な性格や行動原理に必ず理由があるように書きました。ストーリーに溶け込まないようなギャグはやらないようにしていましたね」と自身の想いを語った。また実際に役を演じる木竜へ、笑いと悲しさが交互するストーリーは演じる上で大変だったか聞かれると「変化についていけないことはありませんでした。大変な場面やつらい場面ももちろんありましたけど、面白い部分は心から笑えたり、それこそおじさんが素麺を吹き出したら“汚い!(笑)”とテーブルを拭いたりするのも自然に出来ましたし!演じていて私はとても楽しかったです!」と、監督や出演者との信頼関係があったからこそ自然に演じれたと胸を張って答えた。Q&Aも終わりに差し掛かり、最後に監督から「面白いと思ったら是非口コミなど広げて頂ければと思います。今日は観に来てくださり本当にありがとうございました!」とメッセージを残し、Q&Aは終了した。

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11月16日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー!