『十年 Ten Years Japan』釜山国際映画祭にて、ワールドプレミア上映! 台風一過、國村隼と 4 監督が満席の会場に感激!
11/3(土)より全国公開の『十年 Ten Years Japan』が釜山国際映画祭(10/4-13、韓国にて開催)でワールドプレミア上映を行いましたので、ご報告させていただきます。10/7(日)20:00の上映に先駆けて、前日入り予定だった早川千絵監督、木下雄介監督、津野愛監督、藤村明世監督(石川慶監督は撮影の為、不参加)。しかし、強力な台風25号が日本から釜山を直撃した為、搭乗予定の便が欠航。上映までに間に合う7日の便を再度手配して、なんとかたどり着き、『いたずら同盟』主演、俳優として国際的に活躍し、釜山映画祭の審査員を務める國村隼さんと対面を果たしました。同映画祭では、『十年』タイ版・台湾版ともに3作品すべて満席上映となりました。
本作は日本映画界の若手の活躍の場を広げるため、是枝裕和監督が総合監修として取り組んだプロジェクト。國村さんは大作の出演の合間をぬって、『いたずら同盟』への出演を快諾。日本映画界を盛り上げるために、一肌脱いてくださいました。
日時:2018 年 10 月 7 日(日) 20:00-(上映後 21:39 頃より舞台挨拶:約 30 分)
場所:LOTTE CINEMA Centum City Screen 5
登壇者:早川千絵監督、木下雄介監督、津野愛監督、藤村明世監督、柳英里紗、國村隼
國村:本日は、こんなにたくさん観にきてくださってありがとうございます。『十年』という映画は香港で始まったムーブメントですが、実は私は香港とは縁があります。香港が中国に返還される前、2~3 年ほど滞在して5~6 本の作品に出演しました。そのため、『十年』という企画は自分にとって身近に感じることができました。また、今度はその日本版が是枝裕和監督指揮のもと製作されることになり、木下監督にオファーをいただいたとき、ぜひこれは参加したいと思いました。
柳:釜山国際映画祭は憧れの映画祭だったで、この場に立つことができて嬉しく思います。私は石川慶監督の『美しい国』に出演しているのですが、「十年」というのは 30 年、40 年離れた遠い未来よりも想像するのが難しいテーマで、でも面白く感じました。未来のことを深く考えられていない若い女性の役だったので、等身大で演じました(笑)。この企画に参加できてとても良かったです。
早川監督:『PLAN75』という安楽死を推奨するかのような制度ができて、命の価値が揺らいでしまうという 10 年後の未来を描きました。架空の世界ではありますが、今私たちが生きている世の中にも、その兆しを感じることがあります。高齢者に限らず、社会の役に立たない人は生きている価値がないという思想に対して恐れと憤りを持って、この作品を作ろうと思いました。この映画の中では、そういった社会が良いか悪いかは提示していませんが、観た方がどういうふうに感じるかが大切だと思っています。
津野監督:『DATA』は記録と記憶のお話です。主人公の少女は母親の記憶をあまり持っていません。そんな時に、記録を信じていいのか、記憶を信じるべきかを迫られます。今私たちは情報や記録にまみれて生きていますが、これから先、記録というデータが多くなった時、曖昧な記憶の存在を忘れてしまうのではないか、目に見えず残らないものを忘れてしまうのではないかという危機感を持ち、この作品を作りました。映画を作り、国境を越えてここにきて、皆さんに観てもらえたことは私の未来への希望です。映画を作り続けていきたいと思いました。
木下監督:個人的なことですが、自分の息子が生まれて 3 日後にこのプロジェクトの話をもらい、その時に 10 歳のこどもを描こうと決めました。「十年」というのはあまり遠くない未来だと思うので、技術的なところも、自分の考えうる範囲で描いてみました。映画の中では、これが正しい、これが間違っているという価値観を決めつけず、行動していくことが未来を作り上げるということに重点に置いて表現しました。國村さんにはその手助けをしていただき、とても嬉しく思っています。
藤村監督:この企画の話をいただいた時に、十年後の未来は今から想像できるものなのか、想像を超えるものになるのかを考えました。2011 年に起こった東日本大震災と原子力発電所の事故により放射能で空気が汚染され、私はそれを経て「空気が怖い」と思うようになりました。10 年前は「空気が怖い」と思うことなんて想像できませんでした。もしかしたら、10 年後は、空気から逃げて、地下に住む未来がくることもあるのではないかと思い、このお話を作りました。原子力による発電が良いことか悪いことか、自分の中では白黒はっきりできません。ただ、その事故のことは忘れないで生きていきたいと思っています。
エグゼクティブプロデューサー 是枝裕和
『PLAN75』川口覚、山田キヌヲ、牧口元美 ほか 【監督】早川千絵
『いたずら同盟』國村隼ほか 【監督】木下雄介
『DATA』杉咲花、田中哲司 ほか 【監督】津野愛
『その空気は見えない』池脇千鶴ほか 【監督】藤村明世
『美しい国』太賀、木野花、柳英里紗ほか 【監督】石川慶
本作は、香港で社会現象となったオムニバス映画『十年』(2015 年製作、日本公開 2017 年)を基に、日本、タイ、台湾それぞれで、自国の現在・未来への多様な問題意識を出発点に、各国約5名の新鋭映像作家が独自の目線で 10 年後の社会、人間を描く国際共同プロジェクト「Ten Years International Project」の日本版。昨年 2017 年には是枝裕和監督とともに、香港&台湾&タイ版の制作チームとともに制作発表記者会見を行い、日本版は本編の完成を改めて釜山で世界発信することになりました。
プロデューサー:髙松美由紀 福間美由紀 水野詠子 ジェイソン・グレイ
十年 インターナショナル 統括プロデューサー: 蔡廉明 伍嘉良 馬兆姻 曾憲玟
音楽プロデューサー:齋見泰正 製作:分福 吉本興業 十年電影工作室 朝日新聞社 フリーストーンプロダクションズ
配給・宣伝:フリーストーン
2018/日本/カラー/99分/ビスタ&シネスコサイズ/5.1ch ©2018 ‟Ten Years Japan” Film Partners