この度、将棋界に奇跡をもたらした異色の棋士・瀬川晶司五段の自伝的作品「泣き虫しょったんの奇跡」(講談社文庫刊)が、豊田利晃監督により映画化。主演を務める松田龍平ほか、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、妻夫木聡、松たか子、國村隼といった<主役級>の豪華キャストが集結!本年度の第42回モントリオール世界映画祭フォーカス・オン・ワールド・シネマ部門に正式出品された話題作が、現在、全国の劇場で絶賛ロードショー中!
幼い頃から将棋一筋で生きてきた“しょったん”こと瀬川晶司(松田)は、「26歳の誕生日を迎えるまでに四段昇段できないものは退会」というプロ棋士養成機関・奨励会の規定により、26歳にして人生の目標を失い社会の荒波に放り出されてしまう―。一度は夢破れた“しょったん”が、周囲の人々に支えられながら、史上初めて奨励会退会からのプロ編入という偉業を成し遂げた奇跡の実話を描く。

この度、松田龍平、豊田利晃監督、瀬川晶司五段(原作者)が登壇し、大ヒット御礼舞台挨拶が行われた。
公開から約一カ月が経ち、SNSでは「豊田利晃監督の新たな傑作!しょったんの周りの人々がみんないい人達なのにも涙した。本当良い映画だった!」「好きな事を仕事にする難しさ、覚悟、周りの人の暖かさが沁みる作品でした」「今年観た邦画で一番泣いたかも…」など絶賛の声が相次いでいる本作。監督はその反響に、「観ていただいた方の評判が凄く良くて嬉しいですね」と驚いた様子。さらに松田も「将棋映画として本当に素晴らしい作品なので、もっと多くの方に観て貰えたら嬉しいです」と本作への想いを改めて述べた。その反響は本作の主人公のモデルであり、原作者の瀬川の元にも届いたようで、「昔一緒に苦楽を共にした奨励会時代の友人も観てくれて、たくさん連絡をいただきました。『奨励会時代の自分を思い出したよ』『良い映画をありがとう』というような言葉はたくさんいただきましたね」と語る。さらに劇中で松田演じる主人公しょったんが、淡い恋心を寄せるカフェ店員の真理子(上白石萌音)のモデルとなった女性からも瀬川の元へ連絡が来たことを明かす瀬川。「お互い恥ずかしくてそのシーンについて話すことはなかったのですが(笑)、久しぶりに甘酸っぱい気持ちになりました。この映画をきっかけに昔の人と交流する機会も増えて嬉しいですね」と語り、微笑んだ。また、本作には実在するプロ棋士がモデルとなった登場人物も多く登場しており、瀬川はプロ棋士から感想を聞くことも多いという。「永山絢斗さんが演じた新藤正和役は、近藤正和というプロ棋士の方がモデルとなっていて、ご本人からも感想をいただいたんですが、ご自分の役の感想しか言ってくれなくて。映画の感想をもっと聞きたかったのですが、『俺カッコイイじゃん!満足だよ!』と言って去っていかれました(笑)」と明かすと、場内は笑いに包まれた。

さらに話題は松田の将棋の所作についての話へ。撮影中の苦労について問われた松田は「将棋の見せ方は苦労しましたね。手元をクローズアップで撮られることも多くて、少しでも動いたら撮影をやり直すこともありました。自分の中のタイミングでもあるんですが、自分との戦いが繰り広げられていた感じがします」と回顧。さらに劇中では実際にプロ棋士と対局するシーンも収められており、それについては松田も「棋士の方々の個性やオーラが本当に凄かったです」とプロ棋士たちの堂々とした佇まいに圧倒された様子だった。

また今回、本日より新たに本作の公開が始まる各地の劇場用に、監督ディレクションにより製作されたアザーポスターが公開!小中学生のしょったんと親友の悠野が対局する姿を切り取ったものから、松田の顔に涙のようにあしらわれた“駒”が印象的なポスターの3種類がお披露目された。監督は「子供時代から今に至るまで、人生が繋がっていくような感じ」をイメージし、制作したという。そんなポスターをまじまじと見つめながら松田も「凄くカッコイイです。字体も味があってカッコイイですね」と呟くと、瀬川も「凄く懐かしい感じがしますね。子供部屋なんて、こんな感じだったなあと思いだします」と気に入った様子をみせていた。

イベントの最後には、「この映画を通して、僕は瀬川さんに出会えたこと、瀬川晶司という人を演じられたこと、豊田監督とまた一緒に映画が出来たことを本当に嬉しく思います。今日は楽しんでください」(松田)、「この映画を初めて観た時、本当に素晴らしい映画を作って貰ったなと感じました。そして今、たくさんの方から感想を聞きながら、日々その思いを強くしています。気に入っていただけたら、ぜひ周りの方々にも伝えていただけたら嬉しいです」(瀬川)、「昔、奨励会にいた僕が、将棋の映画を作るのはこれが最初で最後だと思っています。そんな作品を、松田龍平を主演に撮ることが出来て本当によかったです。まだまだ上映続きますので、全国のみなさんに届けられれば」(監督)と、それぞれから観客へ向けメッセージが語られ、温かい拍手が沸き起こる中、ゲストらは会場をあとにした。